SSブログ

イギリス滞在記(4) [音楽]

8月13日(火)

ピートからダイオードチェッカーをもらった。かわりにピートには半田吸い取り器のセットをあげることになっている。

今日はケーブルの製作をじっくりと習った。半田付け作業がメインである。半田付けはスムースでストレスがなくというのが基本だとのこと。まずワイヤのストリップが難しい。いままで加工したことがない種類のケーブル。2芯シールド線である。外皮がラバーで、耐熱になっていて、その内部が黒コットン、紙、シールド線となっていてさらに内部はいろいろ入っている。さらに内部の線材は、ワイヤのように弾力がある。むずかしー!
なんとかすべて半田付けが終わった。特にシールド線の処理が難しい。処理したあと、一本の線のように見えるように処理するのがよいとのこと。外皮を少しめくりその中からシールド線を解き、いったん後ろにまわして一本に束ねる。
またシールド線を途中で断線したまま使用しようとすると、シールド線が回りにタッチしたりして、ノイズを発する可能性があると言っていた。ピートが使用しているプラグはノイトリックが多いのだが、留意点がいくつかあった。まず半田付けするときは、予備半田を必ずすること。半田付けをした後、ストレスがかかってないか、ストレートに付いているかを確認する。またシールド線とホットの間が近くならないようにすることも大事とのこと。空気が一番良い、絶縁材だと言っていた。そりゃそうだ。チップから半田付けし、次にシールドを半田付けする。
ヒートシュリンクのときは、必ずセンターからシュリンクをはじめ、外側にシュリンクしないと中央に空気が入ってしまう可能性があるからとのこと。

ポールマッカートニーのルーティングユニットは1989年に作られ1992年に改造された。入力回路に簿いゲインボリュームがあって、これをロックタイプに変更した。ロックタイプのコレットは別ピースであった。
ボリュームを使うときは、必ず同じロットを使用し、2 INPUT等、セットの場合は、かならず隣り合ったものを使用すること。これで精度が上がる。
ちなみにリニアのボリュームはセンター位置が6dBダウンでLOGテーパの物はセンターが大体20dBから15dBダウンである。

基板が大きくなると機材がゆれたとき、曲がりを吸収できない。また基板自体が半田付けして曲がってしまうので、ピートは必ず小さな基板で組み上げるようにしている。各ケーブルはかならずループ(たるみ)をつくり振動に耐えうるように考えている。
現在は、ボリュームのターミナルやヒューズホルダーにもスリーブをつけるようにしている。これは絶縁用。
ラック内部の配線材に使用しているケーブルの外皮は、PBCインソレーションといわれているもので、いくつか問題がある。本当は、ラバーのものが良いらしいが、高価なので内部の配線には、このPBCタイプを使用しているとのこと。欠点としては下記の通り。

1. 高温で溶ける。(ヒートシュリンクは使用できない)
2. 低温で硬くなる。
3. 経年変化で硬くなっている時がある。

cable.jpg
こちらがポールマッカートニー向けに製作したワイヤレスケーブル



8月14日(水)

今日は、ポールマッカートニーのシステムを仕上げる日。ユニットやワイヤレスのテストを行なった。自分が作ったワイヤレス用のケーブルをすべてテスターと音出しでチェック。問題ないことを確認。ワイヤレスも外に出て、約50m届くことを確認。すべての入力にオシレーターからの信号を入れて、エフェクトON/OFF時や入力によるレベルの違いを調整し、ユニティに設定。必ずオシレーターからの信号をレベル計で測定して確認し、さらに音を出して再確認すること!ワイヤレスのチェック時もケーブルをゆすって問題がないか確認した。
ポールマッカートニーの使用するワイヤレスはSURE製で非常にすばらしいものである。送信機は、ダイキャストでしっかりしていて、9Vの電池を使用せず単3乾電2本での駆動になっている。ピートは、すばらしい設計だと言っていた。電池は、セルがすくない方が、インピーダンスが低いので、電流を取り出せる能力が大きい。9V電池は、いくつもの小さなセルがシリーズに入っていて、インピーダンスが高いそうだ。単3電池は、セルが2個くらいなのでインピーダンスが非常に低く良いそうだが、エフェクターでは9Vが標準になってしまっているので、どうしようもないといっていた。
送信機の電源をOn/Offしてもノイズがまったく出ないのですばらしいと言ったら、プロフェッショナルなワイヤレスはノイズが出ないのだと。そらからSUREのワイヤレスは、送信機からのシグナルが低くなっても、変なノイズを出さないで、ミュートするようになっているらしい。

ワイヤレスが故障したり、ギターを交換する必要がステージでは、いくらでもある。よって、すぐにギターを取り替えて演奏を続けられるようにする必要がある。ピートのやっている方法は、スイッチでA/B切り替えを行い、すぐにギターをスイッチできる方法と、フロントパネルにギターインプットを配置し、ジャックのスイッチを使用して、プラグを指すと直ちに切り替わるようにする方法。以上の2つがある。

ワイヤレスのレベルとギター(ケーブル)のレベルは、必ず同じレベルである必要がある。ワイヤレスのシステムがギターを強く弾いてもひずまないようにレベルを設定し、その後それにケーブル側のギターレベルを合わせる。

LEADという表記は、混乱のもとになるので、イギリスでは使わないらしい。ローディが混乱する可能性があるとのこと。LEADには、いろんな意味があるからだそうだ。ポールのラックには、DISTORTIONと表記されていた。SUTUDIO22ブギーのアンプを使用しているそうだ。

ラックの内容は、ギターインプットとベースインプットがあって、切り替えることができる。ギター側には、CE-2のラックマウントタイプとSD-1のラックマウントタイプ。今回は、P-2 FUZZのラックマウント版を追加した。

引き出しには、ピックやおそらくファンから投げられたベアのぬいぐるみ。ツアー用のセットリスト。それから驚くべきことにポールの曲の詩集が特別にMPL(ポールの会社)によって作成されていて、その冊子が入っていた。

ポールのストロボチューナーの入力ジャックが壊れていたので、テストだといわれ、どうやったら、壊れにくいように改造できるか?とピートに言われた。機構的にまずい設計で、フロントのジャック(モールド)2本だけで基板がとまっていた。今日は時間がなくなったので、明日にすることになった。

入力インピーダンスの重要性について習った。ピートがなぜTrue Bypassにしないかのレクチャーを受けた。エフェクターが2つや3つであれば、True Bypassもいいだろう。しかし、それ以上になったとき、ケーブルの長さの総合計は、相当なものになり、信号のロスは大きなものになる。これを考えないといけない。またTrue Bypassされた次につながるエフェクターがもしクライベイビーのように入力インピーダンスが低いものであれば、信号がどうなるか容易に想像がつく。通常は後ろに何がつながれるか、想定できないので、何がつながれても問題ないようにするのが一番良い。

ピートは、A/B比較できるダイキャストボックスをみせてくれた。これに、ピートのLINER BOOSTをつなぎ、音の比較を行なった。使用したアンプがJC120で入力インピーダンスが低いので、とくにLINER BOOSTを使用したときの効果を認識できた。コピーできるように、写真と回路図をとらせてもらった。また、ボリュームを絞ったときの高域の劣化を確認できた。パラボックスを間にいれて、バリアブル抵抗を途中につなぎ、抵抗値を変えながらそのロスがどれくらいあるかを耳で確認できた。
重要なポイントは、高域が失われると、これを補正するためにアンプのトレブルもどんどんあがり、結果的にノイズが多いサウンドになってしまうということであった。ノイズを減らすためには、アンプでトレブルを上げる必要がないように、ギターの信号のロスを極力減らすということが重要とのことであった。
LINER BOOSTの入力インピーダンスは1Mである。多くのチューブアンプの入力インピーダンスが1MΩなので、それにあわせたらしい。それがもっともナチュラルとのこと。
A/B比較用ボックスの製作用にスイッチを売ってもらった。価格は、GBP5.50。

入力インピーダンスを計測する方法を聞いた。ピートはそれを簡易化するための、計測器をカスタムで作っていた。ソースと測定する機材の間に可変抵抗を入れて、ちょうど-6dB下がる抵抗値をさがす。すると分圧比で「入力インピーダンス=可変抵抗値」がもとまる。ただ、FUZZのような信号をひずませコンプレスするタイプのものは、出力レベルが正確にでてこないので、入力側で測定するしかないが、入力インピーダンスが10MΩくらいあるプローブでモニターしないと正確に測定できない。日本に帰ったら、ステップタイプの可変抵抗器がいくらくらいか調べる。

JVCで私が設計していたデジタルアンプの話になって、スイッチング電源の話になった。イギリスではグランドが必ずあって、接地されているが日本はどうなっているのだという話だった。シャーシの電位が定まらないので、非常に問題だと言っていた。ノイズは、グランドに戻すものであるが、フローティングされていたら、シャーシが汚いままではないか?と不思議がっていた。たしかにその通り。

話の流れで、スイッチング電源を用いたラックエフェクターとハイゲインのエフェクターをつないだときに、すごいノイズが出たという話をした。ピートの経験では、あるフランジャーの内部クロックが垂れ流しだったため、そのあとにエコープレックスをつないだら、クロックの低域分周された信号がノイズとして出てきたと言っていた。

ポールマッカートニーのラックの仕事に戻る。システムの接続に使われているマルチコアのピンが曲がっていた。ダミープラグ(保護用)を付けないまま、使用していたようだ。ポールのシステムは、ペダルが2台つながるようになっていて、本人用とローディ用のペダルがある。それぞれ、チューナーがあり、スイッチもリンクして動作するようになっているので、1つのスイッチあたり4本の線が必要で、多ピンのケーブルが必要になってしまったと言っていた。最近はそれを避けるために、On/Off/Remoteのスイッチをつけるようにしたとのこと。

MIDIペダルの話。モーメンタリースイッチはITWのスイッチがベストらしい。クーラシェイカーのMIDIシステムは、このスイッチを使用しているらしい。壊すのが難しいくらい丈夫らしい。また、ピートはMIDIペダルもカスタムでケースをおこすので、スイッチとディスプレイとCPUボードが別のピースになっているのが有難いらしい。

今日は、内容の濃い一日だった!

(つづく)
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

イギリス滞在記(3) [音楽]

8月11日(日)

朝から洗濯!途中で動かなくなって、どうしたのかと思ったら、プログラムスイッチが途中で動いているではないか?戻したがまた止まった。ドアが開かない!止まってから数分は、保護のためすぐにドアが開かないようになっているらしい。ふー。ぜんぜん、日本と違うぞ。

今日は、ピートの家の庭の手入れを手伝いに行った。ラズベリーの手入れだ。毎年夏に収穫して、古い枝は捨てて新しい枝だけにして、枝を紐でつないで固定しているそうだ。たわいもないことを話しながら、午前中の作業を終え、昼食をともにした。リンダのお母さんが来ていて挨拶した。すごく穏やかなソフトな感じの方で、しゃべり方が弱弱しかった。ひじを骨折したそうで、手術のあとが痛々しかった。
昼食は本当においしかった。野菜は無農薬野菜だそうで、全部おいしかった。もちろんパンとハム、チーズ、サラダって感じの内容だが。一緒に出てきたスパークリング・アップルジュースも最高においしかった!ピートも言っていたが、今日のランチは格別うまかったと言っていた。「多分、Yukiが来たからじゃないかな?毎週くるか?」みたいな事を言って笑った。
(Yukiというのは私の海外での呼び名。欧米人はユキヒロと発音するのが難しいようで「ウキイロ」に近い発音になってしまうことからユキになりました)

ピートの家はバスルームが2つあって、一つはピートが作り直してるんだといって見せてくれた。イギリスのお父さんは、家の修理や工事を自分でするらしい。またバスルームも広いんだこれが!それから庭にはたくさんの植物が植えられていて、ピーチやアップルの木も庭に植えられていた。昔この家は、このあたりの地主さんが所有していたものらしく、昔は馬を飼っていたところだそうだ。リンダはなるべく手をいれて変えたいらしい。それからリビングにはピートの作ったオーディオセットがあって、スピーカーもクロスオーバーもプリアンプも全部ピートが自分で作っていた。とくにプリアンプはかっこよかった。今度写真を撮ってこよう。

帰りの車の中で、音作りをどのようにやっているの?とピートに聞いてみた。必ず新しくつくるサーキットは、音に変化がないかどうか確認して、注意深く設計しているとのことだ。特に音作りをしているわけではないらしい。外部からノイズを入れないように、ノイズを出さないように注意深く設計しているそうだ。特にギターの微小信号をノイズなく増幅するのは難しいが、私はそれを達成したと話してくれた。ノイズのないクリアな音がピートの音質といえそうだ。
それから、前回買うとピートに話していたアンプやエフェクターを送るのにパッキングサービスが必要だと言われた。ピートではパッキングが難しいとの事なので、送るときは近鉄に連絡して送るのがいいかもしれない。



8月12日(月)

朝、レンタカーやさんに行って、日産MICRAをとりあえず7週間レンタルした。受付のインド人ぽい、おばさんは、ライセンスとかエレクトリックエンジニアのスペルがわからなくて、ピートに聞いていたのが微笑ましかった。入ったばかりの人なのかもしれない。7週間で約15万円。一応こちらが想定していた価格であった。250ポンドはデポジットとして別に払った。綺麗なまま戻したら返してくれるそうだ。地図も一緒に購入した。

車を無事レンタルしたあと、ピートのあとについて車を運転した。まずは買い物にTESCOへ。
でかいスーパーマーケットだ。買い物を済ませたあとは、ピートのワークショップ(工房)へ。
今日はP-2FUZZのラックマウントタイプの作り方を見せてくれた。

1. まず電源周りから作り始める。トロイダルタイプの電源トランスの配線は、ハムの調整のため回す可能性があるので少し長めにして配線しておく。

2. フロントパネルの接合を確実なものにするため、かならずヘアラインのメッキも削って取る。

3. ACコードのグランドピンとリアパネル、フロントパネルの抵抗値が1オーム以下であることを確認する。

4. 電源のN/H/Gすべての組み合わせで絶縁を確認する。もちろんH/N間はトランスの巻き線がわなので抵抗値のみ確認する。
(日本のPSE対応のための絶縁耐圧試験に近い作業です)

5. 次にAC電源を投入し、スライダックをゆっくりとあげていく。想定しているACの上限まで電源電圧を上げトランスの2次側に入っている、コンデンサの耐圧を越えていないか再確認する。トランスのばらつきを考慮したチェックだと思う。
(カスタム品ならではの細やかなテストをピートは実施しています。)

6. ピートは、非常にノイズの少ない電源がほしいときは、ダブルレギュレーションの方法を取っている。例えば、最初に32Vや25Vくらいの電源を用意し、その後その電源から9Vを作るという方法だ。

7. 配線が終わったら音出しチェックを行い、必ず電源トランスを回転させハムノイズが最小であることを確認する。

今日はポールマッカートニーのワイヤレス用カスタムケーブルの製作を始めた。添付されていたケーブルは、新品なのにすでに酸化して、シールド側が緑に腐食していた。ピートから徹底的に製作方法、半田の方法を聞いた。半田付けにどれだけ時間がかかるんだぁってくらいの内容だ!ピートはちゃっちゃ作っているので、これも慣れなのだろう。それにしてもピートが用意したケーブルは製作しにくい。日本製のケーブルは作業しやすい!

特に注意されたのは、配線してケーブルとプラグが必ず直線になっていないといけないということ。ケーブルやワイヤにストレスをかけてしまうからとのこと。それから空気が最高の絶縁だから、他のケーブルと離して半田つけする事!と教わった。それからもっと大事なことは、スムースにハンダ作業!

(つづく)
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

イギリス滞在記(2) [音楽]

8月9日(金)

今日は、ピートのバンドのベーシストGUSさんに会った。dpと書いてあるベースを4本も持ってきて見せてくれた。すべて5弦ベースだった。ベースの簡易システムをピートが製作することになっていて、その打ち合わせだった。一年間くらいお金がなくて頼めなかったらしい。GUSさんの持ってきたアンプは、リンダが半田付けしたキットアンプのようだった。
ポールマッカートニー用にP-2 FUZZのラックマウント版を製作していたのを見せてもらった。

今日の話の中で私が重要だと感じたポイントは、

1. フロントパネルとリアパネルの接合を良くするために、穴をあけてリベットを打つ。フロントパネルは特にメッキがかかっているので、特別に作った専用ドライバー(ピートは必要な工具を自作しています)で傷をつけ、しっかりと接合するように工夫する。

2. 以前のモデルは、BOSS/SD-1を組み込んでいたが、この時の入力回路はトランスインプット(入力回路にシグナル用のトランスを使ったタイプ)であった。トランスは物理的にセンタータップを設けているために、CMRRが5,60dBが精々であった。インプット回路を変更し、CMRRを調整できるようにしたら約100dBのリジェクション効果を得ることができた。

3. トランスをインプットとアウトプット両方に使用すると、f特が劣化し理想的ではない。

4. LEDの明るさと色は必ず確認してから装着する。同じに並ぶラック等があったら、場所や色、明るさをそろえる。ピートはLEDテスターを使って全てのLEDを確認していた。

5. メタルワークは、振動によるびびり(鳴き)を抑えるために、必ずシール(シリコン)すること。ねじも同様。

6. ピートのスタビライザーは、オートスライダックが入っている。モータードライブになっているため、電気的ノイズは全く出ない。サーボアンプが制御用に入っている。

7. ロジャーウォータズのケーブルが断線していることがあった。完全に断線していたので、どこなのか探したところ、ケーブルの中の途中でシールド側が完全に切れていた。コットン(シールド線の絶縁材)が汗を吸って、シールド線を腐食したのが、原因とのこと。プレイヤーの汗が非常に問題になることがあるとの事。汗が付く可能性があるところは、半田上げしてあるケーブルが望ましい。裸の銅線に汗が付くと酸化してしまうので、問題が出ることがある。

8. リレーは、少し高い電圧でON/OFFさせたほうが反応が早く良い。

夜は映画に連れて行ってもらった。リンダがわざわざ予約してくれて“GOLD MEMBER”というコメディものを見た。めちゃめちゃ面白かった。日本でもこれは見てみよう。



8月10日(土)

今日は休みかと思ったら、仕事だった。ピートは土曜も働くのね。働き者!今日は、いろいろ工具について話してくれた。ネジの種類やドライバーなど。ものすごい種類の規格があって、とても覚えられる量ではなかった。ネジは、締めたとき必ずナットから出るようにし、ナットから最低1.5溝分出ていると信頼性があると教えてもらった。
ピートは、抵抗を通販会社から購入しており、すごく良い抵抗だそうだ。

マスターオシレーターの話になった。いくつもチューナーが存在している場合は、マスターの440Hzオシレーターを作ってそれで全てをキャリブレートしているそうだ。ペダルボードのチューナーもすべてそれで調整して出荷しているそうだ。これは必要だ!

朝、LINER BOOSTが故障したことがある事をピートに伝えた。入力回路に使用しているICは、入力回路がFETタイプで保護用のダイオードも入っていないので、アンプや他のエフェクターの電源が入っている状態で接続すると、入力回路が破壊するのだろうとピートは推測した。
イギリスやアメリカは必ずアースを取っているので、このような事故は、いままで起こった事がないと言っているが、日本では状況が違うので、日本向けに変更しないといけないな、基板もそれにあわせて変更しようということになった。(後日、検討を重ね最終的に変更はしませんでした)

ピートからすると、接地されていない機材がどういう振る舞いをするのか想像がつかないと言っていた。作業場を作る時は、アースを落としたほうがよいとアドバイスを受けた。

入力回路を検討するにあたって、ローランドの回路図を見せてくれた。(イギリスでは有償ですが回路図提供のサービスが一般的に行われているそうです)SDEシリーズは、入力回路にダイオードと抵抗が入っていて、電源電圧以上に振れないようにダイオードでクランプし、入力とシリーズに電流制限抵抗を入れてあった。おそらくローランドも同じような問題を抱えていたのではないか?と言っていた。FETインプットタイプのICを使用するときは要注意だ。

(つづく)
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

イギリス滞在記(1) [音楽]

2002年、2ヶ月間ほどイギリスに滞在しました。ピート・コーニッシュ氏とのプロジェクトと言うことで、胸の高鳴りと少しの不安を抱えながら、イギリスに向かったのを覚えています。なぜ、ピート・コーニッシュ氏の元に行くことになったのか、少し流れをお話ししたいと思います。

ピート・コーニッシュ氏は、1970年代からカスタムペダルボードを製作したりラックシステムを構築したり、機材をカスタマイズしたり、多くのミュージシャンの要望に応えてきました。特にイギリスにおいて大きな功績を残しています。ポールマッカートニーやスティング、デイヴ・ギルモア、ジミー・ペイジ、エリック・クラプトン、ブライアン・メイなど多くの著名人の機材に関わってきました。私は1989年にピート・コーニッシュ氏の存在を知り、いつか直接会って見たいと思っていました。

1998年頃、ローリングストーンズのテックをしていた方と知り合いになり、それがきっかけでピート・コーニッシュ氏の連絡先を手に入れることができました。1989年に手に入れたピートコーニッシュ氏の住所・電話番号はすでに変わっていて、連絡を取ることができないでいました。連絡先が分かり、すぐに電話をしてみました。初めて電話した時のことを覚えています。以前、イギリス人の方と数ヶ月一緒に仕事をした経験があったので、イギリス英語には慣れていたつもりでしたが、電話だと全然聞き取れず、たまりかねたピートが、FAXでやり取りしようと提案してくれました(汗)それからFAXでのやり取りが始まります。
当時は、ギターテックやベーステックとして、主にレコーディング現場での仕事をしていた私は、ピートにエフェクターやパラボックスなどを作ってもらい仕事で使用していました。そのクオリティーの高さに本当に驚かされ、自分もこのような製品が作れるようになりたいと思ったことをよく覚えています。

当時、ギターテックの仕事の他に、機器の電気設計やカスタム品製作、システム設計なども行なっていましたが、一人前のプロオーディオ機器の設計者になりたいと言う気持ちが徐々に強くなり、テックの仕事もやめる決意をし、中途採用で日本ビクターに入社します。中途採用試験のために半年間、死に物狂いで勉強しました。大学受験の時より勉強したと思います(笑)

私が日本ビクターに入社し働き始めても、ピートとのFAXのやり取りは定期的に行いました。電気回路の話をFAXでやり取りです。アナログ回路の技術はピートにはかないませんでしたが、デジタル関係のことは私がピートに教える立場でした。この頃になるとE-mailもインターネットも普及してきていて、徐々にFAXからメールに移行して行きましたが、2001年まではFAXも併用して使っていました。図や回路を書く時は、FAXの方が簡単で早かったのです。

2002年に転機が訪れました。ピートからイギリスに来ないか?とお誘いがあったのです。以前から、私がギターやベースのシステム構築に興味があることをピートは知っていましたので、それを汲んでのお誘いでした。当時、息子が2歳でしたので非常に迷いましたが、これを逃したらもうイギリスに行くチャンスは無いだろうと思い、決心してピートの元に行くことになりました。
まずは、目的が無いまま来ても意味がないから、一緒にラックシステムを製作しようと提案がありました。
ピートは、「一緒にシステムを作って、君が何ができるか分かった後、その後のことを相談しよう。」と私に言いました。確かにその通りです。研修生になるような気分でピートの元に行くことになったのです。

イギリスでは、毎日その日の出来事や、ピートに習ったことを日記につけていました。読み返してみて、補足が必要と思った箇所は加筆しています。またピートからこれは他の人に教えてはダメだよ(笑)と言われたことは、怒られるといけないので、削除していますことをご了承ください。
少しでもギターやベースのシステム、カスタム品について興味を持っていただけると幸いです。

約2ヶ月分の日記ですので、結構長いです(笑)
それでは、スタートしたいと思います。

8月7日(水)
イギリスに到着。ピートとリンダが空港まで迎えに来てくれて再会した。感激!これから住む家に連れて行ってくれるとの事。どんな感じだろうと胸を躍らせ、約1時間の道のりを走った。なかなか英語が聞き取れなくて大変だったが、なんとか慣れてきた。
借りる家に到着。早速、大家さんのキースさんが出迎えてくれた。挨拶をかわし、家の中を案内してもらい、説明を受けた。洗面台の上の換気扇からは雨漏りがするらしいので、注意してとの事だった。早く直してくれぇ!
鍵を受け取ったあと、ピート夫妻と夕食しに行った。以前も行ったことのある、イタリアンレストラン。パスタとビールを頼み、久しぶりの再会をお互いに喜んだ。特にリンダは、自分の子供のように思ってくれているようだ。その後、テスコ(スーパーマーケット)に買い物に行き、必要最低限のものを購入。朝のサンドイッチも買った。ピートには、朝からサンドイッチを食べるのか?と驚かれた。イギリス人は、朝に何食べるの?
夜中12時過ぎに帰宅。シャワーを浴びて寝た。バスタブがないではないか!今になって気づいた。


8月8日(木)
9時にピートが迎えに来てくれた。道を丁寧に教えてくれた。仕事場に着くと早速自分の作業するスペースを作るように言われた。AC100Vの電源も用意してくれていて、カスタムで作ってくれたらしい。ありがたい。2個作ったので、ひとつは自宅用にとのことだ。さらにありがたい。すぐ入ったところには、ポールマッカートニーのラックが置いてあって、これも早く仕上げないといけないと、言っていた。むむ、すごすぎる。作業台の上には、CE-1を改造した私分のラックユニットが置いてあって、長く待っただろう!とピート。待ってました。ステレオで鳴らすのが最高なんだと言うことで、ジャズコーラスの120とマーシャル1959とピービーのキャビで鳴らした。本当はまったく同じアンプ2台で鳴らすのが最高とのこと。それはそうだ。コーラスでは、ステレオで鳴らすのが最高!ビブラートは、モノにしたほうが良かった。エフェクトのON/OFFはバイパススイッチがついている。うーん至れりつくせり。写真を撮り記録に残した。
次は、送った荷物の荷解きをし、PMS-16U(MIDIコントローラーの事)のセッティングをした。コンピューターを使ってのソフトフェアアップデートのデモをし説明をする。
早速、PMS-16Uの評価を始めた。メタルワークとディスプレイの認識度が非常に良くなったと誉められた。回路的には問題点をあげられた。外部接続のケーブルが断線したり、ショートした場合、大丈夫かどうか?という内容である。ショートした場合、内部の集合抵抗の47Ωはおそらくもたいないであろう。いろいろ検討した結果、ポリスイッチがいいのではないかということになった。温度特性と応答時間が問題なので、それを確認してからに進めようということになった。まだいろいろと指摘がありそうな気配だ。

(つづく)

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

Ken Special Liveに行ってきました! [音楽]

5月24日に恵比寿アクトスクエアにて行われた「Ken Special Live」に行ってきました。
今回は、L'Arc〜en〜Cielとしてではなく、Kenさんのソロライブです。
今年に入って初めてKenさんのライブが見れるという事で、わくわくしながら会場に向かいました。

会場は360度のフルスクリーンに囲まれ落ち着いた雰囲気。ディナーを楽しみながらライブを見るには絶好の環境です。

Kenさんはリハーサルで、実際にプレイする音量や音色、声の出し方を確認しながら進んでいました。秦野さんのプレイするグランドピアノの音色も素晴らしく、大人の音楽を楽しめる準備完了です。

今回は2部制で私は1部を見させていただきました。秦野さんのピアノ演奏から始まり、Kenさんのクラッシックギター演奏が続きます。このKenさんの奏でるギターの音色が素晴らしく、ついつい我慢できず、ワインを飲んでしまいました(笑)。
その後、Kenさんの弾き語りや秦野さんとの共演で、あっという間に楽しみにしていたライブが終わってしまいました。今回はアンプからの音量を押さえたプレイでしたが、微妙なタッチも目に見えるような演奏で、やはり凄いなと感じました。

終演後、ご挨拶させていただきましたが、久しぶりの演奏で緊張されてたそうです(笑)。Kenさんでも緊張するんだ!とちょっと驚きました。

Pedalboard.JPGリハーサルの後に機材の撮影をさせて頂いたので、ご紹介いたします。
今回のライブで使われたペダルボードです。ペダルボード内のケーブルはフリーザトーンのCU-5050リンクケーブルが使用されています。スイッチャーにはプロビデンスのPEC-04が使われ、クリーンサウンド、バッキングサウンド、ソロサウンドがプリセットされています。

MS SOV SPECIAL.JPGソロをプレイする際に使用されたフリーザトーンのMS SOV SPECIAL。イギリスのブルースギタリスト、マット・スコフィールド向けに製作したシグネチャーモデルです。Kenさん曰く、「ダンブルアンプを弾いたときの感覚に何か似ている」そうです。ダンプルを意識して設計したオーバードライブでは無いのですが、海外のプレイヤーの方にも言われた事があるので、どこか似たところがあるのかもしれません。


CU-6550&Wah.JPGギターからワウペダルに使用されているケーブルは、フリーザトーンのCU-6550LNGケーブル

CU-6550&AMP.JPGペダルボードからアンプまでのケーブルもフリーザトーンのCU-6550LNGが使われました。

Two Rock Amp.JPG元々はShurアンプが使用される予定でしたが、大きな音量を出せないという音量的な問題があって、今回のショウではTwo Rockのアンプに変更されたそうです。

あ〜、早く次のライブを早く見たい!(笑)
nice!(0)  コメント(5) 
共通テーマ:音楽

SUGIZOさんの最新ギターシステム紹介(7) LEVELING AMP [音楽]

今回からようやくメインラック側の内容となります。もうすでに5月に入り、製作完了してから半年が過ぎようとしています。興味を持って読んで頂いている方には申し訳ないのですが、ゆっくりおつきあいください。

今回の2012_11150004.JPGSUGIZOさんのシステム用に新規で開発したユニットの中にレベリング・アンプ(LEVELING AMP)と呼んでいる、出力レベルをプリセットし、MIDIで制御できるユニットがあります。

なぜ、このユニットが必要になったかが、SUGIZOさんのシステムにおいて非常に重要です。SUGIZOさんのシステムでは、3系統(メイン、クランチ、ディレイ)の出力ラインがあり、それぞれ同時に出力させる事ができます。それぞれの出力用にキャビネットが3台用意されていて、3台同時に鳴らされるれることもあれば、1台しか鳴らされない事もあります。それぞれの組み合わせ、音色の組み合わせによってPAから再生する音量差が生じてしまいます。この音量差を整え、必要なレベルを決めて行く事で、意図した音量をPAから出す事ができるわけです。常時、PAエンジニアがそれぞれの楽器の音量をフレーズによってコントロールしているわけではありませんので、あらかじめレベリング・アンプで音量を決めておく事は、演奏するサイドの表現方法として重要なポイントとなります。聞かせたいフレーズは音量を少しあげる、引く所は音量を下げる。など、音量のコントロールは非常に重要なのです。

2012_11150007.JPGSUGIZOさんのシステムを構築する上で、このユニットの開発がスケジュール的に一番タイトでした。リハーサルが始まる前の半年以上前から開発はスタートしていたのですが、世の中に無い製品を生み出すというのは、非常に困難です。DSPを使用したり、VCA専用のICを使用すれば、それほど難しくはないのですが、音質が非常に重要でしたので、デジタルでコントロールするアナログ回路を開発しました。入り口から出口までアナログ信号の状態ですので、高音質を確保しながらレベルのコントロールをする事が出来ました。

このユニットは、3チャンネル分が内蔵されています。ディスプレイ部には、プリセット番号表示と現在のレベルの表示がされるようになっています。このユニットはラインレベル用で、レベルは0から+6dBまで可変させる事ができます。128段階のステップでプリセットを行うことができます。

2012_11150013.JPGリアパネルはこのようになっています。EXP端子はボリュームペダルを接続し、0から128のステップを将来的にコントロールできるように設けておいた端子です。

アンプのセンドリターンにこのレベリングアンプを接続し、マスターレベルコントロールとして使用したい場面は非常に多いと思います。今までは、マルチエフェクターのボリュームコントロールに頼らざるをえなかったと思いますが、このレベリングアンプを製品化して、いろんな方のシステムでお役にたてるように準備したいと思います。

次回は、ミキサーユニットについてご紹介いたします。



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

SUGIZOさんの最新ギターシステム紹介(6) Pedal Fxセクション [音楽]

DSC07607.JPG今回はSUGIZOさんのギターシステム、 Pedal Fxセクション。使用されている個々のエフェクターを紹介いたします。

アンプに入力される手前で接続するエフェクターの為に用意された12ループ分のセンドリターン回路には、下記のエフェクターが接続されています。

LOOP1: iSP DECIMATOR
LOOP2: CRY BABY DCR-15R (メインラックにマウントされている)
LOOP3: Whammy2 (SUGIZOさんの足下に置かれた黒いWhammy)
LOOP4: BOSS/GE-7とWhammy DT
LOOP5: Providence/VELVET COMP
LOOP6: MXR/Phase90 (Script)
LOOP7: Custom Ring Modulator
LOOP8: Free The Tone/GIGS BOSON
LOOP9: EVENTIDE/MOD FACTORとTIME FACTOR
LOOP10: Providence/PD-3 Booster
LOOP11: Maxon/PDM-1
LOOP12: BOSS/RE-20

iSP DECIMATORは、ステージのコンディションによって、ギターのピックアップがノイズを拾ってしまい演奏に支障がある場合に使用されます。

CRY BABY DCR-15Rはメインラックに組み込まれています。このモデルは、ワウをかけるためのフットコントローラーをステレオケーブルで接続します。かなり長くケーブルを延ばして使用する事ができます。ラックが置かれているステージ袖とステージの距離が離れていても、信号を直接ステージまで引っ張る必要が無いので、音質、ノイズの面で有利です。

2013_01130043.JPGWhammy2はSUGIZOさんが好んで使われています。Whammyはタイプ(時代)によってサウンドが異なりますが、このモデルはSUGIZOさんのギタープレイには欠かせないエフェクターの一つです。
ステージ袖からステージまで信号が送られ、Whammy2を通って、ステージ袖まで戻ってきます。
この信号ラインは出力側に信号用の出力トランスが入っていて、ケーブルを20〜30m延ばしても信号の劣化がほとんど起こりません。また、グランドループも形成しませんので、ハムノイズの発生も皆無です。ループ12のRE-20も同じ方法で接続されています。

BOSS/GE-7はリハーサル時にギターの音色を揃えるために用意されました。本番ではあまり使用されなかったと思います。

Whammy DTはドロップチューニングの為に使用されています。一部のフレーズをプレイする時のみ、Whammy DTがオンになります。

そしてコンプレッサーにはVELVET COMP、フェイザーにはMXRのビンテージのScriptタイプのPhase90がチョイスされています。

ギターソロ時用としてFree The Tone/GIGS BOSONと以前にカスタムで製作させていただいた、Ring Modulatorがループ7と8に接続されています。一音聞いたらすぐに分かるSUGIZOさん独自のソロサウンドは、GIGS BOSONとこのカスタム・リングモジュレーター、ディレイ、そしてEVHアンプから作られています。

EVENTIDEのMOD FACTORとTIME FACTORは同じループにシリーズで接続されています。それぞれ、MIDIで接続されていますので、MIDIによってエフェクトon/off、プログラムチェンジが行われます。

BOOSTERにはProvidence/PD-3が今回選ばれました。ブースターはリハーサル時に色々試し、一番相性が良かったのがPD-3でした。このブースターも私が以前設計したモデルです。

そしてSUGIZOさんが使用していることで有名な Maxon/PDM-1。独特なモジュレーションサウンドを演出します。

最後に「THE ONE」ではSUGIZOさんがマニュアルで操作する場面も出てくるRE-20。RE-20って使い方によって、こんなサウンドが出るんだ!と驚きました。エフェクターって使いこなす人によって、生かされるんだなと痛感しました。

Pedal Fxセクションの紹介はこれでおしまいです。次は、メインラックユニットのご紹介に移りたいと思います。


nice!(3)  コメント(4) 
共通テーマ:音楽

フリーザトーン・今日のつぶやき(251)~(260)をまとめました! [音楽]

フリーザトーン・今日のつぶやき(251)~(260)をまとめました!

(251)楽器用アンプに主に使用される12AX7ですが、これは米国系規格の呼称です。同じ規格でECC83がありますが、これは欧州系の呼称です。この他、12AX7の高信頼管である7025や5751、軍仕様のCV4004があり、同様に互換性があります。

(252) 昨日は、12AX7/ECC83についてつぶやきましたが、今日は12AT7です。12AX7よりローゲインでリバーブ回路によく使用されます。12AT7はECC81、6201、CV4024の呼び方があります。

(253) 昨日は、12AT7/ECC81についてつぶやきましたが、今日は12AU7です。12AT7より更にローゲインです。12AU7はECC82、6189、CV4003の呼び方があります。

(254)最高峰と言われるMullard(ムラードまたはマラード)製の人気のECC83には文字の印刷が白色と黄色があります。昔、イギリスのエンジニアに聞いた話ですが、テスト後、性能が上には白、中には黄、下はシルクを入れずOEM製品となったそうです。

(255) 楽器用に使用される12AX7、12AT7などのプリ管の名称をご紹介してきましたが、プリ管の中には回路が二つ入っています。プリ管を動作させるためには、ヒーターに電流を流して熱する必要がありますので、パワー管だけでなくプリ管も熱くなります。

(256)検討に検討を重ねて、最高の物を!と思って製品を完成させても、しばらく経つと、欠点が見えてきて、まだまだ完成にはほど遠い。簡単には完成品を作れない物です。

(257) アンプやエフェクターのツマミ(ボリューム)の位置は、機器の設計によって異なりますので、センター位置を基準に考える必要はありません。あくまで、音を耳で確認しながら設定していきます。

(258) 人間の耳は結構だまされやすく、例えば低音域が十分に出力されている場合でも、高音域が強く出ている時は、低域が出ていないように感じます。人間の耳は比較に対しては敏感ですが、絶対的な量を把握する事に対しては、弱い傾向があります。

(259) ディレイタイムの設定は、曲のテンポが基本になり、そのテンポに合わせて4分や符点八分などディレイタイムが決まります。フレーズによっては、そのタイム丁度に合わせてしまうと、他の楽器と合わさって聞こえずらくなります。
ディレイの音が聞こえにくいと、ディレイのレベルを上げすぎてしまい、フレーズがさらに聞こえにくくなってしまいます。これを避ける為、ほんの少しディレイタイムを長めにすると、ディレイのレベルが小さくても聞こえてくるようになります。

(260)バッテリーの使用期限は重要です。テスターで電圧を測り電圧が問題ない場合でも、実際にエフェクターに接続し使用すると、電圧が下がってしまい正常に動作しない場合があります。眠っているバッテリーを使用する際は使用期限を確認しましょう。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

SUGIZOさんの最新ギターシステム紹介(5) Pedal Fxセクション [音楽]

2013_01130055.JPG今回は、SUGIZOさんの最新ギターシステム紹介(5) Pedal Fxセクションです。
このセクションがSUGIZOさんのシステムの最もハードルが高く難しい箇所でした。小型化をしながらサウンドクオリティーを維持しなければならない部分です。ペダルエフェクターのすぐ下にある平らな大きなユニットが、今回カスタム製作したユニットです。扱う信号レベルは-10dB。ノイズが入り込まないようにすべての入出力はバランスタイプに設計しました。合計12個のエフェクターが接続できるように12ループ分を用意。センドとリターンにはそれぞれレベル調整が付いています。通常はラックタイプで製作するのですが、今回は小型化するため、ボードに載せる事ができるように新規に設計しました。今まで作った中で一番大きな筐体サイズです。筐体を回転させながら、ワイヤリングを行わないと手が届かないサイズでした。通常の設計だと、ラック7U分の機能がこのユニットに組み込まれています。

2012_11150089.JPGこちらの写真に写っているのが、シグナル・ジャンクション・ボックスです。信号の受け渡しをこのボックスにまとめ、接続を素早く確実に行います。このジャンクション・ボックスは非常に重要な役割を担います。音質も非常に重要となる場所ですので、フリーザトーンのノウハウがたっぷり詰め込まれた設計となっています。このモデルは、JB-41/JB-82としてフリーザトーンから発売しています。ご興味がある方は、チェックしてみてください。

2012_11150140.JPG次にご紹介するのは大きな長方形型の電源ユニットです。このユニットの中には合計10系統の電源が独立して内蔵されています。使用するエフェクターが決まっていますので、それぞれに対して最良の電源が供給できるように設計しました。また使用する電源トランスは、高級なトロイダルタイプを使用しています。この電源ユニットを使用する事で、飛躍的にサウンドが向上しました。

次回は、個々のエフェクターについてご紹介したいと思います。
nice!(1)  コメント(5) 
共通テーマ:音楽

フリーザトーン・今日のつぶやき(241)~(250)をまとめました! [音楽]

フリーザトーン・今日のつぶやき(241)~(250)をまとめました!

(241) MIDI THRUは、MIDI INから入力された信号と同じ信号を出力する端子です。ハード•スルーと呼ばれるハードウェアを使ったタイプと、ソフト•スルーと呼ばれるソフトウェアを使ったタイプがあります。

(242) MIDIの信号は、MIDI IN>>MIDI THRU>>MIDI IN>>MIDI THRUと順番に接続していきます。このルートが長くなったり、接続している機器が多くなると、正常にMIDI機器が切り替わらない場合があります。

(243) <前回の続き>正常に動作しない場合は、まず使用するMIDIケーブルを短くします。それでもダメな場合は、ソフトスルータイプのMIDI機器をなるべく最後に接続したり、MIDI THRU BOXを使ってパラレル接続をします。

(244) <前回の続き> MIDI THRU BOXを使用するメリットは、誤動作を防ぐためだけでなく、ケーブルの接触不良や断線による、システム全体に及ぼす影響を最小限に留める役割もあります。

(245) MIDIケーブルを長く伸ばし過ぎると、正常にMIDIデーターを送れなくなります。ケーブル長は15m以内と規格で定められています。

(246) MIDIに対応しているエフェクターが増えてきました。MIDI機能により、曲に対してディレイの掛かりやタイムを合わせたり、サウンドの幅を広げる事ができます。今までMIDIに対して難しいと感じていた方も是非トライしてみてはいかがでしょうか。

(247) MIDIペダルやスイッチングシステムをマスターとして機器のコントーロールをしている場合で、MIDI INがある場合は、シーケンサーと同期させて音色を切り替えて行く事が可能です。シーケンサー等に音色切替を任せ、自分はプレイに専念する訳です。

(248) 真空管には、ほぼ同等の性能、仕様を持つ物でも地域や用途、または製造メーカーによって、異なる型番を持っている物が多く存在します。

(249) 真空管の中で楽器用に使用されている最もポピュラーなプリ管は、12AX7(A)/ECC83ですが、日本では略して「ペケナナ」と呼ばれる事があります。

(250) 人の耳は、音質が同じでも、音量が大きくなると良い音と勘違いしてしまう傾向があります。音質の比較をする場合は、音量を揃えてから行うと、正確に比較をする事ができます。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。