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イギリス滞在記(2) [音楽]

8月9日(金)

今日は、ピートのバンドのベーシストGUSさんに会った。dpと書いてあるベースを4本も持ってきて見せてくれた。すべて5弦ベースだった。ベースの簡易システムをピートが製作することになっていて、その打ち合わせだった。一年間くらいお金がなくて頼めなかったらしい。GUSさんの持ってきたアンプは、リンダが半田付けしたキットアンプのようだった。
ポールマッカートニー用にP-2 FUZZのラックマウント版を製作していたのを見せてもらった。

今日の話の中で私が重要だと感じたポイントは、

1. フロントパネルとリアパネルの接合を良くするために、穴をあけてリベットを打つ。フロントパネルは特にメッキがかかっているので、特別に作った専用ドライバー(ピートは必要な工具を自作しています)で傷をつけ、しっかりと接合するように工夫する。

2. 以前のモデルは、BOSS/SD-1を組み込んでいたが、この時の入力回路はトランスインプット(入力回路にシグナル用のトランスを使ったタイプ)であった。トランスは物理的にセンタータップを設けているために、CMRRが5,60dBが精々であった。インプット回路を変更し、CMRRを調整できるようにしたら約100dBのリジェクション効果を得ることができた。

3. トランスをインプットとアウトプット両方に使用すると、f特が劣化し理想的ではない。

4. LEDの明るさと色は必ず確認してから装着する。同じに並ぶラック等があったら、場所や色、明るさをそろえる。ピートはLEDテスターを使って全てのLEDを確認していた。

5. メタルワークは、振動によるびびり(鳴き)を抑えるために、必ずシール(シリコン)すること。ねじも同様。

6. ピートのスタビライザーは、オートスライダックが入っている。モータードライブになっているため、電気的ノイズは全く出ない。サーボアンプが制御用に入っている。

7. ロジャーウォータズのケーブルが断線していることがあった。完全に断線していたので、どこなのか探したところ、ケーブルの中の途中でシールド側が完全に切れていた。コットン(シールド線の絶縁材)が汗を吸って、シールド線を腐食したのが、原因とのこと。プレイヤーの汗が非常に問題になることがあるとの事。汗が付く可能性があるところは、半田上げしてあるケーブルが望ましい。裸の銅線に汗が付くと酸化してしまうので、問題が出ることがある。

8. リレーは、少し高い電圧でON/OFFさせたほうが反応が早く良い。

夜は映画に連れて行ってもらった。リンダがわざわざ予約してくれて“GOLD MEMBER”というコメディものを見た。めちゃめちゃ面白かった。日本でもこれは見てみよう。



8月10日(土)

今日は休みかと思ったら、仕事だった。ピートは土曜も働くのね。働き者!今日は、いろいろ工具について話してくれた。ネジの種類やドライバーなど。ものすごい種類の規格があって、とても覚えられる量ではなかった。ネジは、締めたとき必ずナットから出るようにし、ナットから最低1.5溝分出ていると信頼性があると教えてもらった。
ピートは、抵抗を通販会社から購入しており、すごく良い抵抗だそうだ。

マスターオシレーターの話になった。いくつもチューナーが存在している場合は、マスターの440Hzオシレーターを作ってそれで全てをキャリブレートしているそうだ。ペダルボードのチューナーもすべてそれで調整して出荷しているそうだ。これは必要だ!

朝、LINER BOOSTが故障したことがある事をピートに伝えた。入力回路に使用しているICは、入力回路がFETタイプで保護用のダイオードも入っていないので、アンプや他のエフェクターの電源が入っている状態で接続すると、入力回路が破壊するのだろうとピートは推測した。
イギリスやアメリカは必ずアースを取っているので、このような事故は、いままで起こった事がないと言っているが、日本では状況が違うので、日本向けに変更しないといけないな、基板もそれにあわせて変更しようということになった。(後日、検討を重ね最終的に変更はしませんでした)

ピートからすると、接地されていない機材がどういう振る舞いをするのか想像がつかないと言っていた。作業場を作る時は、アースを落としたほうがよいとアドバイスを受けた。

入力回路を検討するにあたって、ローランドの回路図を見せてくれた。(イギリスでは有償ですが回路図提供のサービスが一般的に行われているそうです)SDEシリーズは、入力回路にダイオードと抵抗が入っていて、電源電圧以上に振れないようにダイオードでクランプし、入力とシリーズに電流制限抵抗を入れてあった。おそらくローランドも同じような問題を抱えていたのではないか?と言っていた。FETインプットタイプのICを使用するときは要注意だ。

(つづく)
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