SSブログ

イギリス滞在記(1) [音楽]

2002年、2ヶ月間ほどイギリスに滞在しました。ピート・コーニッシュ氏とのプロジェクトと言うことで、胸の高鳴りと少しの不安を抱えながら、イギリスに向かったのを覚えています。なぜ、ピート・コーニッシュ氏の元に行くことになったのか、少し流れをお話ししたいと思います。

ピート・コーニッシュ氏は、1970年代からカスタムペダルボードを製作したりラックシステムを構築したり、機材をカスタマイズしたり、多くのミュージシャンの要望に応えてきました。特にイギリスにおいて大きな功績を残しています。ポールマッカートニーやスティング、デイヴ・ギルモア、ジミー・ペイジ、エリック・クラプトン、ブライアン・メイなど多くの著名人の機材に関わってきました。私は1989年にピート・コーニッシュ氏の存在を知り、いつか直接会って見たいと思っていました。

1998年頃、ローリングストーンズのテックをしていた方と知り合いになり、それがきっかけでピート・コーニッシュ氏の連絡先を手に入れることができました。1989年に手に入れたピートコーニッシュ氏の住所・電話番号はすでに変わっていて、連絡を取ることができないでいました。連絡先が分かり、すぐに電話をしてみました。初めて電話した時のことを覚えています。以前、イギリス人の方と数ヶ月一緒に仕事をした経験があったので、イギリス英語には慣れていたつもりでしたが、電話だと全然聞き取れず、たまりかねたピートが、FAXでやり取りしようと提案してくれました(汗)それからFAXでのやり取りが始まります。
当時は、ギターテックやベーステックとして、主にレコーディング現場での仕事をしていた私は、ピートにエフェクターやパラボックスなどを作ってもらい仕事で使用していました。そのクオリティーの高さに本当に驚かされ、自分もこのような製品が作れるようになりたいと思ったことをよく覚えています。

当時、ギターテックの仕事の他に、機器の電気設計やカスタム品製作、システム設計なども行なっていましたが、一人前のプロオーディオ機器の設計者になりたいと言う気持ちが徐々に強くなり、テックの仕事もやめる決意をし、中途採用で日本ビクターに入社します。中途採用試験のために半年間、死に物狂いで勉強しました。大学受験の時より勉強したと思います(笑)

私が日本ビクターに入社し働き始めても、ピートとのFAXのやり取りは定期的に行いました。電気回路の話をFAXでやり取りです。アナログ回路の技術はピートにはかないませんでしたが、デジタル関係のことは私がピートに教える立場でした。この頃になるとE-mailもインターネットも普及してきていて、徐々にFAXからメールに移行して行きましたが、2001年まではFAXも併用して使っていました。図や回路を書く時は、FAXの方が簡単で早かったのです。

2002年に転機が訪れました。ピートからイギリスに来ないか?とお誘いがあったのです。以前から、私がギターやベースのシステム構築に興味があることをピートは知っていましたので、それを汲んでのお誘いでした。当時、息子が2歳でしたので非常に迷いましたが、これを逃したらもうイギリスに行くチャンスは無いだろうと思い、決心してピートの元に行くことになりました。
まずは、目的が無いまま来ても意味がないから、一緒にラックシステムを製作しようと提案がありました。
ピートは、「一緒にシステムを作って、君が何ができるか分かった後、その後のことを相談しよう。」と私に言いました。確かにその通りです。研修生になるような気分でピートの元に行くことになったのです。

イギリスでは、毎日その日の出来事や、ピートに習ったことを日記につけていました。読み返してみて、補足が必要と思った箇所は加筆しています。またピートからこれは他の人に教えてはダメだよ(笑)と言われたことは、怒られるといけないので、削除していますことをご了承ください。
少しでもギターやベースのシステム、カスタム品について興味を持っていただけると幸いです。

約2ヶ月分の日記ですので、結構長いです(笑)
それでは、スタートしたいと思います。

8月7日(水)
イギリスに到着。ピートとリンダが空港まで迎えに来てくれて再会した。感激!これから住む家に連れて行ってくれるとの事。どんな感じだろうと胸を躍らせ、約1時間の道のりを走った。なかなか英語が聞き取れなくて大変だったが、なんとか慣れてきた。
借りる家に到着。早速、大家さんのキースさんが出迎えてくれた。挨拶をかわし、家の中を案内してもらい、説明を受けた。洗面台の上の換気扇からは雨漏りがするらしいので、注意してとの事だった。早く直してくれぇ!
鍵を受け取ったあと、ピート夫妻と夕食しに行った。以前も行ったことのある、イタリアンレストラン。パスタとビールを頼み、久しぶりの再会をお互いに喜んだ。特にリンダは、自分の子供のように思ってくれているようだ。その後、テスコ(スーパーマーケット)に買い物に行き、必要最低限のものを購入。朝のサンドイッチも買った。ピートには、朝からサンドイッチを食べるのか?と驚かれた。イギリス人は、朝に何食べるの?
夜中12時過ぎに帰宅。シャワーを浴びて寝た。バスタブがないではないか!今になって気づいた。


8月8日(木)
9時にピートが迎えに来てくれた。道を丁寧に教えてくれた。仕事場に着くと早速自分の作業するスペースを作るように言われた。AC100Vの電源も用意してくれていて、カスタムで作ってくれたらしい。ありがたい。2個作ったので、ひとつは自宅用にとのことだ。さらにありがたい。すぐ入ったところには、ポールマッカートニーのラックが置いてあって、これも早く仕上げないといけないと、言っていた。むむ、すごすぎる。作業台の上には、CE-1を改造した私分のラックユニットが置いてあって、長く待っただろう!とピート。待ってました。ステレオで鳴らすのが最高なんだと言うことで、ジャズコーラスの120とマーシャル1959とピービーのキャビで鳴らした。本当はまったく同じアンプ2台で鳴らすのが最高とのこと。それはそうだ。コーラスでは、ステレオで鳴らすのが最高!ビブラートは、モノにしたほうが良かった。エフェクトのON/OFFはバイパススイッチがついている。うーん至れりつくせり。写真を撮り記録に残した。
次は、送った荷物の荷解きをし、PMS-16U(MIDIコントローラーの事)のセッティングをした。コンピューターを使ってのソフトフェアアップデートのデモをし説明をする。
早速、PMS-16Uの評価を始めた。メタルワークとディスプレイの認識度が非常に良くなったと誉められた。回路的には問題点をあげられた。外部接続のケーブルが断線したり、ショートした場合、大丈夫かどうか?という内容である。ショートした場合、内部の集合抵抗の47Ωはおそらくもたいないであろう。いろいろ検討した結果、ポリスイッチがいいのではないかということになった。温度特性と応答時間が問題なので、それを確認してからに進めようということになった。まだいろいろと指摘がありそうな気配だ。

(つづく)

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。