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FREE THE TONE/PT-3D/DC POWER SUPPLY開発秘話 [楽器機材]

PT-3D-1.jpeg12月7日に発売予定のPT-3D/DC POWER SUPPLYの開発秘話をご紹介いたします。実は、この製品は8月に発売予定でしたが、様々な要因があって再設計する事になり発売が大きくズレてしまいました。

この製品開発が決まった発端は、PT-1Dでは対応できない、大電流を必要としているエフェクターへの対応でした。Free The ToneのWEBでもPT-1DはStrymon製品に対応していませんと、注意文を掲載させていただきましたが、多くの方がStrymon製品、またEVENTIDE製品やWhammy、Line6社の製品を使用されていますので、出来る限り多くの製品に対応しようと設計をスタートしました。

電流を多く消費するエフェクターに供給する電源は、グランド共通タイプでは対応が難しく、どうしてもノイズの問題を引き起こしてしまいます。グランドが完全に絶縁されたアイソレートタイプにする事が必要です。Pedal Power2などはトランスを使用し、電源のグランドをアイソレートしています。ところが、このタイプのトランスは日本で作ろうとすると、非常に高価で、また海外から輸入すると非常に重いため、想像以上に高価なものになってしまいます。10年以上前からリサーチしていますが、今回もコストの面からトランスを使用することは諦めました(苦笑)。

PT-3D-3.jpeg他社と異なる手法を取るのが好きな性格なので(笑)、熟考した結果、ボードに入れても出来る限り重くならない、軽く小さいパワーサプライを開発する事にしました。持ち運びを考え、ボードを小さく軽くしたい事を考えると、軽く小型にするにこした事はありません。重量目標は200g以下としました。PT-1Dでも使用していますが、航空機でも使用している軽量で強度の高い国産アルミニウム合金を使用する事で達成することが出来ました。

これまで多くのペダルボードを製作していますが、最近は大電流を必要とするエフェクターの台数がどんどん増えています。(*大電流と言っても立ち上がり時に必要なのが1から2アンペア程度なのですが、他のエフェクターと区別するために大電流と言う事にします)そのため、大電流に対応する対応する出力を2個は必要と判断しました。もちろん、この出力は消費電力が小さなエフェクターにも対応します。大電流出力は「ISOLATED OUTPUTS」と名付けました。出力電圧はDC9Vです。

PT-3D-2.jpeg全体の仕様としてはサイズや重量を考えDC9V出力を合計8個。このうち2個が大電流に対応する仕様で、残りの6個はPT-1Dで使用しているLOW NOISE STANDARD端子と同じ仕様としました。この6個のDC出力はグランドが共通ですが、スターグランド配線になっていて、ハムノイズが起こりにくい手法を取り入れています。出力の電圧は約DC9.8Vです。新品のバッテリーの電圧を参考にしています。

case.JPG8月に発売予定でしたが、どうして12月までかかってしまったかと言うと、小型化しすぎて温度上昇の問題が解決できなかったからです。最初はケースに全く放熱用の穴を開けていない状態でした。試作では、写真の様な穴空きケースを種々類製作し、実験を繰り返しながら出来る限り穴を小さくできるように工夫しました。穴が大き過ぎると、何年も経った後、ゴミが内部に入ってしまい汚くなってしまいます。

何度も何度もパーツの配置変更や基板のレイアウト変更を伴いましたが、ようやく設計目標をクリアし発売に漕ぎ着けました。

今回はDigiTech® WHAMMY DT™/WHAMMY 5™、Eventide® TIME FACTOR/MOD FACTOR/PITCH FACTOR /SPACE、LINE6 ® DL4™/MM4™/FM4™ 、Strymon® TIMELINE/MOBIUSに対応する事を目標としていましたので、各製品を取り扱う国内代理店様にコンタクトを取り、あくまでフリーザトーンの責任においてですが、対応の記載についてお願いをしました。その結果、快く皆様に許諾していただきました。この場をお借りして各社に御礼申し上げます。今回は本当に、各社ご担当者と連携が取れたのが嬉しかったです。

具体的な使用方法ですが、いくつかの製品にPT-3Dから電源を供給するには、専用のDCケーブルをご用意していただく必要がある物がございます。

DigiTech ® WHAMMY DT™/WHAMMY 5™
添付されたケーブルで御使用いただけます。

Eventide® TIME FACTOR/MOD FACTOR/PITCH FACTOR /SPACE
これらはセンター「マイナス」ではなくセンター「プラス」です。さらにジャックのピンの直径がφ2.5のタイプを使用していますので、φ2.5を使用し、さらに逆極性になるタイプの変換DCケーブルをご使用ください。

LINE6 ® DL4™/MM4™/FM4™
これらの製品に添付されているACアダプターはAC9Vタイプですが、DC9Vタイプの電源も使用できます。EVENTIDE製品用と同じ、φ2.5を使用し、さらに逆極性になるタイプの変換DCケーブルをご使用ください。

Strymon ® TIMELINE/MOBIUS
添付されたケーブルで御使用いただけます。

ユーザーの方がACアダプターの数を減らしたい、軽くしたいという願いは世界共通だと思います。PT-3Dが日本だけでなく世界の方々にもお役に立てればと願っています。

これで、PT-3D/DC POWER SUPPLY 開発秘話は終わりです。次回は、ARC-53Mの開発秘話をご紹介する予定です。お楽しみに!



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matsu

500mAのEventide H9への使用を想定対応したパワーサプライをいち早く制作されたのはさすがだと感じました。

H9のメリットはやはり、MIDIの使用によって、空間系、モジュレーション系のエフェクターをボードに複数個設置する手間が省けることだと思います。これによって、スイッチャーのLOOP数が5個程度でも十分足りるようになり、ボードを大幅に軽量化できるようになったはずなのですが、H9によって得られる恩恵と噛み合った、軽量(800g以下)のMIDI付きプログラマブルスイッチャーが、現状、ほとんど存在していません。

musicom EFX LITE 6Mは750gでMIDI対応ということもあって、H9と噛み合った数少ないプログラマブルスイッチャーともいえるのですが、12VですのでPT-3Dで供給できないという致命的な弱点があります。サイズや重量を少し妥協して、ARC-53Mを導入することも考えましたが、こちらも12Vです。

このように、現行の製品がH9やPT-3Dとなかなか噛み合ってくれず、自分なりに最適解を見出せないのが今の私の悩みです。新型の軽量プログラマブルスイッチャーの発売等、なんとかこの状況を打破できる製品を開発してくださることを期待しています。
by matsu (2014-08-29 00:31) 

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