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イギリス滞在記(22)ルーティングシステム完成! [音楽]

9月20日(金)
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朝、郵便局に寄って郵便を出してからピートの工房に出勤した。ピートは、すでにルーティングシステムのセットアップの準備を始めていた。センターにマーシャルヘッドとピービーのスピーカーを配置。両サイドにエフェクト用として、デラックスリバーブを2台配置した。エフェクターは、ヤマハのSPX1000、BOSS CE-2、DD-2、P-2 FUZZ、NG FUZZを使用した。あらゆるバリエーションでのチェックを行なった。手動でコントロールしたり、PMS-16Uでコントロールしたりして、チェックを行なった。


今回のアンプセットでは、センターのアンプが、両サイドのフェンダーからみて逆相になっていた。
まず、アンプの位相をチェックするときは、ルーティングシステムをMONOにしてから同じ信号をそれぞれのアンプに送り、一つづつ増やしていき、正相か逆相かを確認する。ピートからいくつかのアドバイスをもらった。
「このユニットを持ち帰ったら、自分でいろいろ試して、ミュージシャンがこうしたいと言ったら、不安を持たさないように、すぐに設定できるようにしておくこと。頭のなかに回路を入れておき、信号の流れをわかるようにしておくこと。」
pms2.JPG
ピートは、リイシューのフェンダーアンプの中で、デラックスリバーブが一番良いと言っていた。必ずステレオにするときは、同じロットのものを使うこと。フェンダーは、すこしづつ、回路やパーツを変えたりするので、音質が異なる可能性が大きいとも言っていた。

実際にレベル設定が誤っていると、いかにS/Nが悪化するかをデモしてくれた。とにかくギターからいかに大きい信号を取り出せるかが重要だ。ピートがボリュームペダルの位置を、エフェクターの後に接続してキーボード用を使うのが良いと言っているのもうなずける。

つなぎこみを変えたときに、ハムが出た。CE-2ループをONすると、ハムがでる。これはリターン側のシールドを切り配線しないとグランドループになるので、専用のケーブルを容易しないとダメだといわれた。必ず、エフェクターのアウトにつながるところで、シールドを切らなければいけない。(*このカスタムユニットの場合です)
しばらく音だしをさせてもらって、堪能してから、記念写真を撮って梱包の準備を始めた。

記念撮影.png

リンダが、梱包用のダンボールを注文してくれたので、それを使って真空管の梱包をすすめた。数百本あるので、時間がかかったが、なんとか終わりが見えてきた。梱包している間に、ピートがマーシャルアンプの改造をしてあげようと、言ってくれて、改造を始めた。マーシャルのインプットのリンクを内部で行なう改造だ。ハイワットでも同じようにすれば、同じ効果が得られると言っていた。マーシャルでは明らかに、低域のパワー感がアップし、強いパワフルな音が得られる。綺麗に拭いたり、ガリを直してくれたり、非常に丁寧にメンテしてくれた。ガリを直すのに、何かを入れていた。それは何?と聞いたら、これは秘密だから教えない。といわれたので、しつこく食い下がったら、これは俺が作ったスペシャルな物だ、というので、なんだろうと考えていると、ピートがボリュームの素材は、何から出来ているんだ?と聞かれた。カーボンとなんだろうと考えていると、グラファイトとかカーボンだよ、ガリの原因は抵抗体が削られて、減ってきて発生するわけだから、カーボンを入れて足してあげなきゃいけない。クリーナーで流してしまったら、余計に悪くなるのは、このためだと説明してくれた。鉛筆でもいいそうだ。ちょっとこの話には感動した。今までやってた方法は、完全に間違っていたことになる。昔の、ワイヤレスワールドという本の中にその記事が紹介されていたそうだ。ピートも本から知識を得てることが多いらしい。そのあと、メンテの方法を教えてあげるよといって、実際にやり方を教えてくれた。

バイアスの設定について質問をした。バイアスの設定は人それぞれの考え方があるのだが、ピートは寿命を長くするため真空管に電流を流し過ぎないようにするために、浅すぎと深すぎの丁度中間を狙って調整するそうだ。たしかにクロスオーバー歪みを減らすと音がいいのだが、そうすると真空管が熱くなりすぎて、寿命を縮めるので良くないと言っていた。なのでどちらを選ぶかというのが問題になる。この辺は、それぞれの人の考えかたによると思う。

次の質問で、パワー管のマッチングはどうしているのか聞いた。ピートはスクリーングリッドの抵抗の両端電圧を見ながら、マッチングするそうだ。真空管を外して、抵抗を入れて、流れる電流を見る方法もあるが、時間がかかって実践的でないと言っていた。忘れてはいけないのは、一本変えたら、かならず全部の抵抗の電圧を確認すること、パラレルに真空管が接続されているので、影響しあうというのが理由だ。

また負荷をつながないで、スタンバイを入れてしまった場合に何が起こるのか、聞いたら、OPTの一次側のインピーダンスが上がるので、高い電圧が発生し、真空管をダメにしたり、ソケットが焼けたり、最悪の場合は、アウトプットトランスが焼けてしまうと、教えてくれた。

そのあと、いろいろ本を見せてくれた。買ったほうがいいよと教えてくれたのは、RADIO DESIGNER’S HANDBOOKという本で、アメリカの出版らしい。本の番号を控えたので、帰ったら購入することにしよう。それから、ピートがGECの冊子を貸してくれた。本当にYUKIに貸しても大丈夫かなぁといっているので、誰にも見せないし、自分だけの物にしておくから、コピーさせてと頼んだらやっと貸してくれた。ほんともったいぶるなぁ。「ちゃんと返さないと、死ぬことになるぞ!」とかいうので、「死にたくないから盗むのはやめて返すよといっておいた。」おっさん、こういうやり取りが結構好きみたいなんだな。はは。こっちは疲れるぞ!

また、梱包作業に戻った。特に電源トランスの梱包が大変で、手間取った。箱が全部で10箱になった。家に2箱あるし、ソフトケースが2箱ある。アンプがまた7台あるから、全部で21だ。見積もり250キロでとったけど、倍くらいありそうだなぁ。やはり送料30万円くらい行くかもしれない。

梱包が終わりにちかづく頃、ピートはリクエストしていた、回路図を揃えてくれた。希望したのは、マエストロのエコープレックス、ビンソンエコー、ブギーマークⅠだ。とくにエコープレックスの調整内容の資料は誰も持っていないのでは?と言っていた。

それからビンソンの回路図も用意してもらったが、たぶん役に立たないといっていた(笑)回路図が省略されているにもかかわらず、その部分について記載がなかったり、説明や調整内容がちゃんと載っていなかったりするそうだ。そういえば、STUDERの前身のREVOXをQUEENは使用していたらしいが、このマニュアルはすごく丁寧で、大手会社のサービスマニュアル並であった。ピートは、スピード調整の改造をするのが、大変だったと話してくれた。ついでにQUEENのメモリアルグッズをいろいろみせてくれた。当時のツアーカタログや、ツアーパス、バックステージパスなど、全員メンバーのサイン入りのクリスマスカードまで持っていた。すごい!

さて明日は、自分が運転してブライトンにディナーをピートとリンダと行く日だ。楽しみ!しかし今日は、梱包で疲れた。背中がまるまるぜ。お風呂につかりたいが、シャワーしかないんだよなぁ。



9月21日(土)

今日は、なかなかおきれなくて、11時ごろようやく布団から出た。腰が重い。昨日、梱包作業が大変だったからなぁ。今日、車を自分が運転してブライトンまでディナーをご馳走する予定でいたが、夜遅く運転して、事故を起こしたら大変なことになるなと思い、ピートの自宅に電話して、リンダがでたので、事情を説明して、車に乗せてもらうことにした。いやー悪いことしてしまったなぁ。でも何かがあってからでは、遅いので、これでよしとしよう。これも一つの勇気だよな。

その後、ダンブルを所有する知人から連絡があって、アンプが無事届き、作ったフットスイッチも問題なく動いたよということで、非常に喜んでくれた。イギリスでは、随分真空管が高価らしく、プリ管をいくつか選定して、送ってあげる約束をした。しかし、だいぶ電話で会話ができるようになったので、自分でも驚いている。言語は、時間が解決してくれるんだなとつくづく感じた。こちらもお礼を言った後、家に電話した。もうすぐ会えるなぁ。その後、実家に電話したが、いなかったので留守電に日本に帰ることを入れておいた。

洗濯をしてから、Uckfieldに出かけた。お昼は、久しぶりにマックで食べた。その後、ピートから借りた本と回路図のコピーをした。全部で100枚以上あったので時間がかかった。買い物も済ませてから、自宅に戻り身の周りの整理をした。自宅の荷物は少ないので、意外に早く終わった。

6時ごろピートとリンダが迎えにきてくれた。ブライトンに出かけて、日本食のレストランに行った。すごく混んでいて、なかなか料理がでてこなかった。ピートと日本酒を頼んだら、熱燗が出てきた。ピートは、喜んで飲んでいた。こちらも久しぶりの日本酒だったので、かぱかぱ飲んでしまった。しかしうまい!少しのお寿司と刺身を頼んで、ピートと二人でわけた。リンダは、白身の一部の魚しか食べれないということで、見ているだけだったが、ガリを食べてみたら、おいしいというので、おかわりのガリを頼んだ。ピートも喜んで食べていた。
いろいろ話しながら、今回の滞在のお礼を丁重にした。ピートは、よくやったと誉めてくれたし、リンダも本当は私がやる作業をyukiがやってくれたから、自宅で会計士に見せるための資料の整理が出来て助かったと言ってくれた。本当に、いい人たちだなぁ。今度来るときは、全てやり方が分かっているから、自分でやれるしあまり世話をかけないですむ。あえなくなるから寂しくなるなぁと言ったら、またすぐ会えるわよと、リンダが言ってくれた。今度は、家族で来たら良いわよと言ってくれた。ぜひ、家族にイギリスを見せてあげたい。

なかなかメインディシュが出てこなくて、催促したがなかなか出てこなかった。アパタイザに頼んだてんぷらは、すぐになくなってしまって、しばらく話ながら待った。隣の席は、誕生日を祝う会らしく十数名の若い集団が集まっていて、ものすごい大声で話していたので、こちらも大声で話さなければならなかった。うるせー!
やっとメインが出てきて、リンダはお腹いっぱいとチキンを残していたが、ピートはらくらく全部食べて、デザートも食べるというので、メニューを頼んだ。アイスを食べるというので、3つ頼んだ。いやー腹いっぱい。楽しいディナーだった。帰りはリンダが運転してくれて、家まで送ってくれてた。

家に帰ってからテレビをつけたら、デビットボーイとトムハンクスがテレビに出ていて、トークしていた。デビットボーイがテレビに出て、トークしているなんて、想像がつかなかった。楽しそうに笑いながら、話しているではないか!そいえばこの間見たテレビある番組の曲はルーリードが提供していたし、こちらでは普通に耳にすることができるのだなぁ。しかし、こちらのテレビは、日本のニュースをやらないなぁ。リンダが言っていたが、日本に行ったときにイギリスの新聞を買いたかったらしいが、全てアメリカの新聞ばかりだったので驚いたそうだ。


(つづく)
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