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イギリス滞在記(17) [音楽]

9月9日(月)

今日は朝から大工さんが来て、ピートの工房の入り口に新しいドアを取り付けてくれていたが、雨と風がすごくて、途中で作業を中断し明日も来ることになった。大雨の中、本当にご苦労さまです。

その後、リンダが出勤。基板のエッチング作業を行った。本当に基板まで手作りだ。穴あけ作業も手で行なっていた。半田付けの作業中、写真を撮らせてもらった。なかなかチャンスがないからなぁ。ここは逃さず!他の人に見せたらダメよと念を押された(笑)

今日は、リアパネル側のワイヤリングを終わらせようということで、ワイヤリングの方法を再度習いながら、ワイヤリングを決定した。まず、ケーブルの下準備を行なった。ピートが長さを決め、それぞれのワイヤにどこにつながるかを書いたテープを張り、識別しやすいようにした。次にワイヤの片側をコネクタに半田付けできるように加工した。線材の絶縁材を傷つけないように注意して作業をするように言われた。非常に剥きにくいベルデンのケーブルだった。ベルデンのケーブルは本当に作業しずらい!そういえば以前一緒に働いたことのあるSHEP(ビンテージNEVEを生産するライセンスを持っているイギリスのプロオーディオメーカー。NEVEの設立者7人のうちの1人が立ち上げた。)もこのケーブルを使用していた、CANFORDの2芯シールド線に似ている。
スイッチクラフトのXLRコネクタに半田付け作業を開始したが、半田の表面が鏡面状になるように半田付けするのは、大変だった。何度もやり直して、ようやくOKをもらった。ベルデンの絶縁材は、熱に弱く溶けやすいので、半田付けの際は、細心の注意が必要である。スピードも重要であるが、半田付けする際のケーブルの角度が非常に重要であることがわかった。ピートの解説では、コネクタに穴がある場合は、ケーブルを90度に曲げ、機械的強度を持たせることが出来るが、XLRのようにそれが出来ない場合は、しっかり半田を盛ってさらに強度を持たせた半田付けをする必要があると言っていた。それから昔の話しらしいが、ハイワットの半田付けは、軍関係の作業員がバイトでやっていたらしい。なので、ハイワットの半田付け作業やワイヤリングは、軍仕様の手法であったそうだ。確かに、古ハイワットの中を見ると綺麗にワイヤリングされている。

次にPMSを含めて、再度各リレーとLEDと信号が意図した通り、動作するかのチェックを回路図上で行い整理し、次に各ステップで故障が発生した際に、何が起こるかを確認する作業を始めた。PMSが何かの原因で、電源が落ちた場合どうなるか。コネクターが外れた場合どうなるか。ルーティングシステムのリレーが動作しなくなったとき、どうなるか。等、全ての故障を想定して、最善の方法を決め回路構成を再度確認・修正した。ピートがここまでやっているとは知らなかった。ピンクフロイドのデイブギルモアのシステムは、4段階のバックアップシステムを用意したそうだ。ワールドツアーで一度もバックアップを使用することはなかったそうだが。ここまで考えないと、プロフェショナルとは言えないと説明してくれた。ほんとうに、この人はすごい!

回路構成を再確認したあと、ピートは簡易的にワイヤリングを行い動作チェックを開始した。PMSの動作と各リレー、LED等が間違いなく動作しているのを確認してから、正式な配線を始めた。本当に徹底して各段階でチェックを行なっている。後から修正するのは、本当に大変なので、各段階で確実にチェックするのだと、説明してくれた。

次に自分がやる作業は、LEDアッセンブリだ。LEDの輝度と色を確認して、配線用のワイヤをよじる作業を行い、アッセンブリを準備した。ワイヤのよじり方はこう。バイスに片側を固定し電動ドリルでくるくる回し、最後にひっぱって作るのを教わった。各アセンブリも完成したらチェックするように言われた。本当に徹底してる!
そういえば、点滅するLEDがどういう仕組みで動いてるのか知りたいなぁとピートが言っていた。中に黒いチップが入っていて、どうやらそれが点滅する回路のようだ。日本に帰ったら、だれかに聞いてみよう。60mAくらい流れるといっていた。12V耐圧らしいので、動作させて電圧確認を行なっていた。直列につないでいるダイオードはツェナーダイオードだ。
今日は、だいぶ作業が進んだ。

*赤文字にした箇所は、業務用製品を作る上で特に重要なポイントだと思います。演奏中に何かあってもすぐに対応できる状況をあらかじめ想定・予測しておき設計する。非常にハードルの高い内容です。


9月10日(火)

今日は、昨日の続きで、LEDのアセンブリを午前中に作成した。その後、入力ゲイン調整とブースト量調整のためのボリュームにつながる部分のケーブルアッセイを製作した。ワイヤは3芯シールド線。シールドがドレインワイヤが出ていて、シールドが黒い樹脂のコンダクティブになっていた。ちょっと変わった構造だ。芯線はすごくがっちりしたものであった。ワイヤの両端はモレックスの圧着端子で加工がものすごく難しかった。またピートもチェックが厳しくて、0.3mmくらいの誤差内に収めるように言われた。まじ???って感じだったが、何度かやり直して、ようやく出来るようになった。機械で作れば正確で早いんだろうけど、手作業での圧着なので結構つらかった。作業が終わる頃は手の握力がなくなっていた。明日は、手のひらが筋肉痛だなこれは。リンダも大変な事を知っているので、休憩したらと気を使ってくれた。休憩がてらコーヒーでも入れるか。

今日は、大工のお兄さんが来て、工房に新しいドアを取り付けて行った。随分前に大家さんとの約束で、ドアを取り替えることと、ドア前まで舗装する約束をしていたそうだが、なかなかやってくれなくて、ようやくのことドアが来たそうだ。ドアだけ新品というのもなんか変だ!そいいえば、ドアを見てピートが言っていたが、ピートのお父さんは、バイオリンの修理もやっていたそうだが、直す部分の木目とほとんど同じ物を探してきて、それをはめ込み綺麗に修理していたそうだ。見た目は全く分からないくらいになるそうだ。すごい!

ピートは入力部のワイヤリングを終わらせ、出力部の回路図を綺麗に書き直す作業に入っていた。綺麗に仕上げてから、出力部のワイヤリングに入るそうだ。回路図を綺麗に仕上げながら、最後の確認をしているらしい。時間をかけて確認しながら、手書きで回路図を書いていた。

今日は、真空管の話題をした。ヒーター電源にACを使うかDCを使うかの話だ。電源の違いによるハムは、設計がちゃんとしていれば問題ないといっていた。ピートの実験では、差が見られなかったと言っていた。ピートはDC12.6Vの安定化した電源をヒーターに使用しているとの事だ。理由は、電圧を変動したくないということによる。ヒーター電圧が低いとカソードからの電子が少なく性能が悪化し、反対に電圧が高いと、寿命が短くなってしまう。よって安定化して使用するためにはDC安定化するのが一番良いので、ルーティングシステムに使用している電源と同じ基板を使用して供給しているとのこと。ギルモアのバルブペダルボードやバルブDIもそうらしい。
ピートの使用している電源回路は1.5Aまで使用可能であるが1A以下の使用に抑えているとのこと。熱の余裕度を考えてだそうだ。コンデンサは105℃品を使用するとのこと。ポールマッカートニーのラックシステムを作っていたころは、高輝度LEDの入手が難しかったので、ランプを使用していたらしいが、定格の約10%ダウンで使用すると、寿命が約倍になる特性だったそうだ。

リビング.jpeg

住んでいた家のリビング。壁がレンガ作りで雰囲気が良かったです。

1Fと2F.jpeg

一階がリビングで、二階が寝室になっていました。

(つづく)
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