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イギリス滞在記(21) [音楽]

9月18日(水)

今日は朝からピートは調子が悪そうだった。なんでも夜サックスを吹き始めてしまったので、夜中まで吹いていて、睡眠時間が短かったそうだ。
最後の分のパーツのリストアップを済ませ、ピートに金額を見てもらった。多くは、適当な値段だから問題ないよ。と言っていたのだが、電源トランスとブライアンメイのAC30に入っていたEL84の真空管の値段を見たら、怒り出して(本気で怒っているわけではなく、いつもの調子の怒り方だが)ふざけた値段だ!この値段じゃ売れないからリストから削除しようと言うことになった。まあいいけど(笑)

イギリスでの一般的な真空管アンプの電源トランスの価格を聞くとかなり高価だった。最低150ポンド約3万円だ(当時のレートでの価格)。まあいいかと思っていたら、金額を考え直して、再度オファーしてくれときたので、もうしかたない30ポンドでどうですか?と聞いたら、それなら問題ないと来た。もうおっさん!(笑)

とりあえず、金額と内容のすり合わせを終えてから梱包を始めた。午後ずっと梱包だったので疲れた!でもまだ半分近く残ってる。がんばって早く片つけてしまおう。

ピートから、セルマーのアンプを買わないかといわれた。昔からずっと使っていた真空管アンプで小型の物だが、ピンクフロイドのシステムを製作している時代にずっと使用していたものだそうだ。歴史あるものなので、買いたいと話して、ピートとリンダに記念にサインをもらった。いやっほー!自分へのお土産だ(笑)

ところでピートはエフェクトループ側のワイヤリングを9割くらい終わらせて、各ループのチェックをはじめた。音だしして、エフェクトON/OFF時の音質の差が無いことを確認していた。入力には、A/B/Cボックスを使用して、バランスに変換し、ユニットに信号を入れていた。エフェクトセンドリターンのボリュームにケーブルをつながなくても信号はユニティーゲインで通るようになっていて、ボリュームに何かの異常が発生してもゲインが上がらないようになっている。さすが!
明日は、朝からモレックスの圧着を頼むよ!と言われた。握力がなくなるまでがんばりますよ!先生!

帰りがけにエコープレックスの修理方法の話を聞いたら、修理は簡単だよとか言っていた。いやそんなに簡単じゃないはずだ。よく話を聞くと、調整マニュアルを持っていて、さらに調整用のジグが必要だそうだ。やはり、知ってなければ直せない内容じゃないかぁ、まったく。教えてもらいたいなぁ。



9月19日(木)

今日は朝からFX側のルーティングシステムを完成させるべく、内部配線の手伝いをした。自分が担当したのは、フロントパネルのレベル調整ボリュームと各基板間の配線だ。モレックスの圧着がメインであった。製作に4時間近くかかるくらいの内容で、ピン数を数えてみたら、約100個あった。これは時間かかるわ。今日は昨日と違って、ピートは終始機嫌がよかった。たぶん今日ルーティングシステムが完成するからだと思う。

ケーブルを作っている間に、ピートはフロントパネルのラベル張りを行なった。一枚一枚どこに張ったらベストか?と聞いてくれてお互いに確認しながら、ラベル張りを行なった。ちゃんとこちらの使い勝手のことも考慮してくれている。ラベル張りが終わる頃、私が作っていたワイヤ作成も完了し、最後のワイヤリングをピートが仕上げた。
次に、信号を入力しレベルがユニティーになるように全てのループを調整していた。入力にインプットのマスターゲイン調整トリムがあるので、全体のレベル調整は、それを使用するとの事だ。各エフェクトループのレベル調整は、非常に慎重に行なっていて、全てのループをONしたときに、全体的にレベルが上がったり下がったりしないように、考慮しているそうだ。各部のレベルの調整をしながら、ユニティーゲインのポイントを一つ一つ確認して、白いドットを打っていた。ボリュームによって、誤差があるし取り付けの誤差もあるので、実測した位置でドットを打つそうだ。本当に徹底している。
次に各エフェクトループに信号を通し、センドとリターンレベルを対照にボリュームを動かしたときに、ユニティーで動いているか確認していた。ピートは、センドとリターンが目でみて対照にしたときに、ユニティーゲインになるように、設計したそうだ。視覚的にもこの方が分かりやすいとの事だ。また、リニアカーブのボリュームを使い、20dBを4等分した角度で、それぞれ10dBの可変幅をもたせられるように設計したそうだ。話を聞くと、ものすごく細かいところまで気を使って設計している。こういうところは、あまり気づかないところだ。それから、ボリュームと基板間のケーブルのピン配線の順番もほとんど共通にしているそうだ。ボリュームも手に入れやすい、標準値の10kΩの物に全て設計し直したらしい。カスタム物をやる場合は、特殊なパーツを使うと、あとで困るので、なるだけ標準のものを使うほうがいいとの事だ。ピートがいつもいう口癖は、「自分の設計は古いものより、現在の新しい設計のものの方がより良くなっている。」だ。

ピートは、出荷が近づくと、仕事のスピードが遅くなるんだよねと言っていた。時間をかけて作成したものなので、送り出すのが惜しくなるそうだ。愛情がこもっているんだもんね!

各ボリュームの位置によるレベルの可変幅は、ノートに書いてもらった。ピートの設計のアンプは、40dBのゲイン幅があって、抵抗値の設定でオフセットできる。よって回路パターンを共通化して作っているそうだ。ゲイン特性を見せてもらったが、絞りきり位置と、回しきり位置でのゲインの特性がほんのわずかに変わっていた。

それから重要なポイントで、各シャーシを全てアースボンド(ケーブルでしっかりつなぐ)するのが、大事だから忘れないようにといわれた。

今日は、クイーンの話になって、全員のサインが入ったクリスマスカードをもらったことがあると言っていた。クイーンのファンはものすごいらしい。クイーンリングを見つけるといいと言われた。そういう仲間の集団があるらしい。

明日は、音だしだ!ミンガスのデラックスリバーブもピートが持ってきてくれたし。楽しみだ!
この後、ピートから預かった本のコピーに行かなくては。

カスタムユニット.jpeg

ラベル貼りが完了したカスタムユニット。一番上にあるのがPMS-16U MIDI ROUTING CONTROLLER。その下が、入出力部用のカスタムユニット。一番下が、エフェクター用のカスタムユニット。

(つづく)
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