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イギリス滞在記(12) [音楽]

8月29日(木)

朝、大家さんのキースさんと会った。ずいぶん長い間旅行に出ていたなぁ。船を借りてエーゲ海を回っていたそうだ。お金持ちはやることが違う!お土産にフランスのワインをもらった。これって高いのかなぁ?(笑)

朝からピートがケーブルのシュリンクをやっていたので、どうしたのか聞いたら、昨日の夜中にポールマッカートニーからの注文のケーブルを作っていたそうだ。ほとんど寝る時間がなかったよと、ぼやいていた。おまえもこういう事をしなければならないときがあるんだからな!と脅かされた。はっ、覚悟は出来てます!

今日は、リアパネルに付けるコネクターの配置を決め、寸法を入れるようにピートから指示を受けた。正確にな!といわれたので、集中して穴位置等の寸法を入れた。この辺は得意とするところなので、ピートからもえらく誉めてもらった。がはは!2枚分なんとか終えて、後はピートにチェックしてもらうだけだ。

ピートはその間、TB-83EXTRAの製作を進めていた。チェックをしながら、2台をつなげたり、
TB-83をつなげたりして、サウンドの実験を行なった。アンプは、ローランドJC-120直前に250kΩのボリュームをつないで、アッテネートしてアンプに送った。そうしないとアンプの頭で歪んでしまうからだ。ブライアンメイは、最初TB-83だけ使用していたらしいが、その後TB-83を入れっぱなしにしてTB-83をさらに追加したくなったらしく、ピートにTB-83EXTRAの製作を依頼したそうだ。リードソロの時などに、TB-83とTB-83EXTRAを両方ONにして、あのトーンを得ていたそうだ。で、われわれも試して見ることにした。TB-83を始めに、次にEXTRAをつないで音だしすると、歪んで低域のないサウンドであった。あまりいい音ではなかった。次にEXTRAを始めに次にTB-83にして音だしをした。EXTRAのボリュームの設定をセンターから2時くらいにすると、非常に艶のあるクイッとくるサウンドになり、倍音も豊かに出るようになった。二人でおお!これはいい!と言う話になった。

波形をチェックしてみようということになって、波形を見てみると(3kHzでチェック)ちょうどいい音だといっていたところが、真空管アンプで歪ましたような丸まった非対称の波形になっていた。

次にEXTRAを2台つないで試した。これは非常に面白く、両方のボリュームの位置によって、全然音のニュアンスが変わった。これにギターのボリュームを可変したりすれば、相当なバリエーションを得ることができそうだ。ブギーアンプの3ボリューム方式みたいだなぁと話した。EXTRAのボリュームをフルにすると、TB-83と全く同じ状態になる。EXTRAだけ、トゥルーバイパスを採用している理由を聞いたら、ブライアンメイの使用しているギターとのマッチングを考えて、回路設計したので、EXTRAをつないでOFFにしたとき、後につながるTB-83にギターが直接つながるようにしたかったということらしい。途中でバファを入れたのは、このあとのTB-83 PLUSかららしい。いろいろなバージョンをブライアンメイに作ったそうだ。それから、2Wくらいのアンプも作ってあげたそうだ。レコーディングには、これを使ったらしく、このアンプの後ろにもマイクを立てて、表の音とミックスしたりして音作りしたそうだ。クイーンのどれかのアルバムでこの音が聞けるらしい。なんか、たくさんネタがあるらしい。トップアーティストの秘密という題の本が書けるよと、冗談で話した。内輪ネタで書けばいいのになぁ。結構話題になるはず。まあ書かないだろうけど。ブライアンメイの機材について問い合わせてきた人に機材写真を送ってあげたりしているそうだが、その写真はあっというまにファンの間に広がるそうだ。不思議がっていたのは、TB-83の問い合わせばかりで、TB-83 EXTRAの問い合わせはほとんどないということらしい。TB-83があまりに有名だからじゃないかなぁと言ったら、まあそうかもねぇ。と言っていた。忘れ去られたのごとく、問い合わせが無いと言っていた。

それから、ピートがぼやいていて、ピートのペダルには取扱説明書が入っていないという苦情がきたらしい。取扱説明書いるかなぁ?と聞いてきたので、いまのパンフレットで十分だと思うと答えたのだが。ユーザーはどうも量産品なみの印刷した取説が欲しいらしいのだ。手作りなんだからそんなの無理だし、プロ向けにほとんど作っているから、エフェクターの取説なんか今までいらなかったんだよ、とぼやいていた。ぶつぶつ言いながらTB-83EXTRAの取説を作っていた(笑)
(今では、ほとんどのピートコーニッシュ製品に取扱説明書が添付されています)


今日はさらにピートの経歴を話してくれた。なかなか興味深い話である。
ピートが初めて就職したのは、イギリスの軍関係の技術職だそうだが、イギリス全国で4人しか採用されなかったうちの一人だそうだ。そこで5年間、びっしり教育を受けたらしい。その内容は、最初の一年間は、金属加工の訓練で、一年間ずっと金属を削って加工したりする作業のトレーニングをしたそうだ。ピートが金属や木工加工がうまいはずだ。角穴の加工もこの頃練習したそうだ。ラックのフロントパネルなどお手の物だ。その後、家電からトランスから強電配線から電気関係のことはほとんど学んだそうだ。ピートの所属する部署は将来的に検査技術者を育成するところだったそうで、検査するためにはどのようにして作られるのか知っていないと検査できないということから、そのような教育と訓練を受けたそうだ。その後、他の部署への異動の話が出たため、いやでやめたそうだ。
そのあと、タバコを作る機械の仕事を始めたそうだ。オートメーション化する真っ最中の頃だったらしい。

明日、ビックバンドのライブがあるので、今日は練習するんだと言って、4時にあがって帰った。



8月30日(金)

今日は、ピートと色々話をした。ピートが所有している紫のマーシャルはシリアルの最後がEのタイプで、72年から75年くらいまでのものは良いと言っていた。あれ、前言っていた時期と違っている気がする(笑)

ピートはペダルの電流を測るとき、入力ジャックのグランドとリングをテスターでつないで、測定していた。そんな手があったとは。気づかなかった!

それから、今後の私の仕事のことをピートと話した。ピートのアイデアとしては、近くに倉庫みたいなのを借りる。または、リハーサルスタジオの一部を借りる。
地下室があれば一番ベスト。音だしは地下でやって、一階か事務所だといいねぇなんて言っていた。それらからピートが仕事を始めたときのことを話してくれた。テムズ川の北側にいたときは、非常にたくさんのミュージシャンが、ショップを訪れてくれたらしい。ところが川の南側に移ったとたん、来客が少なくなって、その後、今の場所に移っても変わりはないと言っていた。当時、ミュージシャンは川を渡って、南に行きたがらなかったそうだ。近いのにねぇ。ピートのアドバイスとしては、ミュージシャンが来れるところにいないと、なかなか商売として成り立たないよ、というのがアドバイスであった。こっちは、機材をスタジオに持っていって、デモすることも考えているんですよと、話したらそれもいいアイデアだが、ほとんどの場合、試すから置いていってくれという話になるよと言われた。

今日は、ピートはアコースティックDIを製作した。チェックではf特チェック、ゲインのチェック、電流値、何度もたたいてノイズが出たりしないか等をチェックしていた。

その後、あるアメリカ人のユーザーの話が出た。フォーラムに書き込みがあって、電池で使用するよりアダプターで使用したほうが、音がよかったと書いてあったらしい。早速、音を確認してみようということになった。TB-83 EXTRAでチェックした。DC電源はピートの作った実験機でルーティングシステムの電源と同じものだ。電池はプロセルの新品。まず波形3kHzを入力し電源を切り替えて、波形の変化がないことを確かめた。次にギターをつないで音だしをした。ここでは、電池とDC電源での差は聞き取れなかった。ピートもその結果に満足していた。もしかするとそのユーザーは電圧が下がっているバッテリーを使って試したのかもしれない。

それから、今後の予定のことを話した。ピートとしては、9月末までになんとかいろいろ教え込むつもりでいたようで、私がイギリスにいて、手伝える作業内容と仕事があればいいが、今のところないから、日本で仕事を進めたほうがよいと言われた。また来るのもお金もかかるし、それよりも赤ちゃんを優先したほうがいいよとも言われた。まあ、自分としては、1年くらいイギリスにいる事を想定してたから、その辺の問題はないと思っているのだが、確かにこちらで仕事が無い場合は、じゃまになるだけだ。

今晩はピートがまた演奏会があるというので、連れてってもらった。例のビックバンドの演奏会だ。リーダーはレスポールさん(本名!)だ。相変わらずビールを飲んでいる。ものすごく狭いスペースに詰め詰めで演奏していた。ドラムが一度変わったが、なんと15歳の少年がJAZZドラムをたたいていた。驚き!ピートはさすがにうまかった。ものすごく真剣に取り組んでるもんなぁ。完全に、アマチュア離れしてた。久しぶりにビールをがぶ飲みして、上機嫌で一緒に帰った。すでに12時を過ぎているので、すぐに眠れた。

レスポールさんと.jpeg

ビッグバンドのリーダーのレスポールさんと


(つづく)
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