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イギリス滞在記(7) [音楽]

8月19日(月)

今日は、朝から早速アレンビックのプリアンプの作業にとりかかった。蓋をしめて梱包しようとしたら、ピートに止められた。チェックしてからだよ!といわれて、チェックし始めたら、ぼそぼそぼそというではないか。やっぱりチェックしてよかっただろ!と言われ色々話が始まった。
蓋をする前と、した後は必ずチェックをする事と教わった。ぼそぼそノイズの原因を探るときに、どこから発生しているかを回路図を見ながら冷静に始めた。1chからノイズが出ているが2chからは出ていない。よって共通の電源回路ではない・・・等。トーン回路のトレブルに使用されているセラミックコンデンサのリーケージが原因であろうと断定。パーツを通販で頼んで、今日一日ノイズがどのようになるか電源いれっばなしにした。別のコンデンサを入れて、場所をはっきり特定しないで大丈夫かな?と心の中で思いながら、まずはピートの言うとおりにした。真空管の場合は、グリッドの入力インピーダンスが100MΩとか非常に高いので、ほんのわずかな電流のリークによる電圧の発生がノイズの原因になるとのこと。

F2B.png

こちらが改造したリイシュータイプのアレンビックF2B。


そのあと、ピートが電源電圧がおかしいと言いはじめて、自作の電源ユニットを分解し始めた。電源電圧の表示が実際の電圧と異なっている。調整してもしばらくすると電圧表示が狂ってしまっていた。おそらく表示LCDが異常なのだろうということになったが、いままで数ボルトずれていた事になる。まあ、大きな被害はないので問題ないが、ピートでもこんなことがあるのね、とちょっとホットした。

その後、リンダが作った基板のチェックに入った。しかしリンダの半田つけの速さは驚異的。あっというまに基板を作りあげていた。ピートがリンダに基板を頼み忘れていて、あと一つ作ってくれないかなぁ?と頼みこんでいるときの状況は、うちの状況にも似てたので笑えた。どこも奥さんには頭があがらないとか・・・・(笑)

基板のチェック時にピートが確認していた内容は、
1. ゲイン
2. 周波数特性
3. 入力インピーダンス(約1MΩであること)6dBダウンのポイントを確認していた。
4. 基板ごとの電流値

全ての基板に対して、チェックを行なってから、ペイントをしているとのこと。
ゲインの調整は、おおよそユニティにあわせて、再度組みあがったときに再調整するとのこと。回路の後に、いくつ回路がぶら下がるかわからないからだという説明であった。

今日は、プロフェショナルな仕事を本当にしたいならば、という前置きでいろいろ条件を話してくれた。

1.自分の作業効率を上げるために、ワークステーション(作業台)を作ること。
2.基板を作ったり、配線したりするスペース以外に、汚く汚れてもいいスペースを、隔離して用意しておかないといけない。同じスペースで、削ったりする作業をすると、機材にその切りくずや埃が入ってだめになる。
3.機材を痛めないためにも1階に作業場があるべきである。それがで無理な場合は、専用のリフトが必要。機材が入らないようなリフトでは問題だ。
4.きちんとパーツ等を整理できるように、パーツボックスを用意する。
5.ツールは大事な仕事道具である。必ずマッチした工具を使うこと。ないものは自分で作ること。

ピートとリンダに、今言った内容を信じろ!といわれた。マジで話してくれていただけに、本当にそうしないとだめなのか?と思ってしまったくらいだ。これを全て揃えるのは大変なことである。ただ確かに揃えていかないと仕事にならないのは確かである。マジで考えないと!!!
そのあと、ピートから、作業台の解説をしてもらった。まず絶対必要といわれたのが、
1. テストイクイップメント
・ひずみ率の低い10dBステップのアッテネーター付きオシレーター。
・ステレオのセットに対応するためのアウトプットトランスとオシレーターをパラにするためのトランス。トランスは、信号を通すだけで通常1dBダウンするらしいので、注意が必要とのこと。
・それから非常に重要なのが、正確なミリボルメーター。アナログメーターが一番良いと言っていた。これにフィルターがついているものが必要。
・バリアブルアッテネーター
・パラボックス
・絶縁を確認するためのメガーのテスター
・アースを確認するためのテスター

2. 手作りしないといけないツール
・入力インピーダンスを測定するツール
・テスト用入力、モニターセレクター(アンプの出力セレクト用には10A容量のスイッチを)

3. ケース加工用のツール
・固定用ツール(シャーシ等を固定)
・ドリル
・リーマ
・ドライバーやレンチ等
・ピンバイス
・強力な18V以上の電動ドリル
・鉛筆書きを落とすための液体(名前あとでしらべる)
・切りくずを落とすためのハケ

4. 半田付けや基板加工に必要なツール
・半田こて(ピートとリンダはウェラーの50Wの7番が今までいろいろ使って一番良かったと言っている)温度も自動的に調整できるものらしい。7番というのは、半田こてのチップのそこに番号が入っていて、これが温度を決めると言っていた。)
・半田のコテ先のクリーナー
・基板のヤニを落とすためのクリーナー
・ヤニを落とすために使用するハケ

*日本に帰国してからピートが使っていたものと同じ半田ごてを探したが、同じものは見つからなかった。イギリスでも探してもらったが残念ながら製造中止になっていた。残念!

等々あげたらきりがなくらいだ。ピートは必要なものは頼んであげるからいつでも言ってくれと言ってくれた。ありがたい!

グランドループの質問をした。トランスの一次側とシャーシ間に流れるACの電流が信号ラインのグランドといったん共通になると、それを除くことはできなくなる。よって信号ラインのグランドとシャーシを流れるACを別々にし、ノイズが入り込まないようにする必要があると説明してくれた。

今日は基板の調整作業を見せてもらった。しかし説明しながら使用する全部の基板の調整をしてたら、日が暮れてしまう!悪いなぁと思いながら、聞いていた。

お昼には、PMS(MIDIルーティング・コントローラー)用のソフトをピートのiMACコンピュータで動かすことを始めた。MIDIファイルはちゃんとオープンし、動くのだが、MIDIアウトからデータが出力されない。結局諦めた。日本で再度マックを用意してチェックしないとだめだ!くやしー。

カスタムルーティングシステムの仕様の話になった。ギター入力は、マニュアルでのセレクト(トグルスイッチを使った切り替え方式)がいいだろうということになって、PMSからのコントロールは無しにした。アンプ出力以外にDI出力を付け足した。このDI出力は常時出力できるもので、出力レベルは固定にした。PAサイドからするとレベルは一定のほうがよい。またALL MUTEも追加した。出力が3つあるため、何かあったとき全てを一発でOffできたほうが、いいだろうということになった。出力はOn時にLEDが点灯するように決めた。

そういえばDIの話になって、音の帯域を狭めたほうが、強い音が出せると話してくれた。ギターアンプのスピーカーは高い音域を再生できないのだから、あまりハイファイにする必要はないというのが、ピートの考え方だ。TB-83のように3kを強調するというのも音楽的に正しいと思うと言っていた。

PMSと今回のアナログルーティングユニットで使用するコントロール用基板をつなげてチェックした。問題なく正常に動いた。
次にROCKTRON/ALL ACCESSをつないでチェックを始めた。PMSにプログラムナンバーとポートナンバーOnが一致するように(たとえばPGM001の時は、ポート1がOn)プログラムした。ところがペダル側のスイッチ11番から15番がPMSのポートの12番から16番までアサインされているため、プログラムチェンジ番号を出力すると、同時にc.c信号のバリューを送ってしまい一瞬LEDが点灯してすぐに消えるという症状が出てしまった。どうしてこうなるかはわかっているが、どうやって解決したらよいか、いい案が浮かばず、時間切れとなった。うーーー困った!!!さらに一度、ペダルの15番を押したとき、PMS側が反応しなくて、あせった。何度かトライして現象が一度だけ再現した。ペダル側からデータが来なかったのが、原因であることがわかってちょっとほっとした。

(つづく)
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