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イギリス滞在記(19) [音楽]

9月13日(金)

今日は朝からピートの所有するお宝リストアップを行なった。ピートは、ものを捨てるのは非常にもったいないので、なんでも取っておいてあるらしい。日本で売れそうなものがあったら、リストアップして金額のオファーしてほしいと言われた。
ピートが所有しているエフェクター、今までの顧客に作ったペダルボード用のエフェクターで必要なくなったケース、ジミーページが使用していたエフェクターで、現在は使用していないものなど、5箱のダンボールに入っていた。
工房の外で、埃を落としたり仕分けをしてリストアップをした。なかでも、おお!っと思ったのは、ジミーページのペダルボードを作るときに使用したエフェクターのケースがそのまま残っていたことだった。それからデイブギルモアのペダルボードに入っていた、エフェクターの基板が何点かあった。これは買い取って持ち帰らねば。でもこんな貴重なもの売ってくれるのだろうか?リストアップするだけで、数時間かかった。ふー。

その間、ピートはルーティングユニットのI/Oユニットを仕上げるべく、ワイヤリングを進めていた。ワイヤリングが一通り完了したあと、オシレーターからの信号を入力してレベルの確認・調整と機能チェックをはじめた。各入出力のレベルを確認し、各スイッチの動作、リレーの動作を確認した。MONO/STEREOの切り替えでレベルの誤差があったので、原因を探ったら、基板チェックの段階でレベル調整を間違っていたらしい。ピートも間違うのね(笑) 

オシレーターでの信号チェックが完了して、次にギターの信号を入れてチェック。ドライ音用のレベルメーターの振れが他のレベルメーターと異なっており、いろいろ調べたところ、レベルメーターの入力レベル調整ボリュームが初期値のMAXになっていなかったことが分かった。調べている途中は、リンダに新しいのを作ってもらおうか?とか言っていたが、ピートの調整ミスと分かって、このことはリンダに言うなよー、と念押された。どこの家庭もかみさんには弱い。
しかしレベルメーターの精度を全て揃えるのは、すごく難しい。全く同じレベルを何個かのレベルメーターに入力して、振らせると多少の差でも分かってしまうからだ。レベルメーターは、慎重に設計しないと!

次にPMS-16Uとアンプをつなぎ、実際に音を出しながら、プログラムチェンジを行い、動作確認を行なった。最初音を出したときは、感動的であった!音を出すまで本当に長かった。セレブレーションにコーヒーを飲もうということで、コーヒーで祝杯をあげた!

その後は、マーシャルアンプでいろいろ試そうということになって、ピートにいくつか技を教えてもらった。マーシャルアンプの入力ジャックでクロスワイヤリングが有名であるが、ピートが行なっている改造は、内部で配線されていて、さらにクロスではなく入力でパラになっている。フェイズシフトが起こるので、絶対クロスはダメだとのこと。よくやるのは、インプットのハイ側がセパレート、ロウ側の2番インプットをパラレルになるようする改造だそうだ。今回は、I/Oユニット側で個別にマーシャルのハイ1/2に入力した。それぞれをON/OFFすることで、音にバリエーションが出来る。さらにブーストも可能だ。PMS-16Uを使用してコントロールすることで、ボタン一つでスイッチングが可能だ。PMSとピートのルーティングシステムのコンビネーションは最高だなぁと二人で感動しあった。ピートはサウンドにいたく感動したらしく、しばらく音だしをして楽しんだあと、ベースに持ち替えて、再度音だしチェックをはじめた。サウンドの変化を確認しながら、音がさらにクリアで音楽的だろう!と自慢げに話した。ルーティングユニットからのハムノイズは全く無く(もちろんアンプ自体が持っているハムノイズは聞こえるが)ギターの非常に繊細な倍音までクリアに聞こえた。本当にすばらしい音だ!
デモする際に、全てのコントロールを覚えて、すぐにお客様に対応できるようにしておけよ、といわれた。取り扱いに戸惑っていると、顧客から大丈夫か?と思われて変な不信感をもたれると言われた。頭の中に、信号の流れを叩き込んで、すぐに顧客の求めているセッティングに出来るようにすることが重要だと話してくれた。

次に電源電圧を下げて音がどうなるかのテストを行なった。AC80V以下になるとハム音が出始める。レギュレータに必要な電圧以下になるポイントだ。さらに下げていき、AC50Vになってもハム音は出ているが、音は正常に出ている。供給される電源に異常が生じて仮に電源電圧が半分になったとしても、音は出つづけるということだ。これは、ライブの現場を考えると非常に重要なことだ。

そのあと、次は真空管のリストアップを頼むといわれた。大量に持っているが、場所が狭くなるので、必要なときに必要な個数だけ買うようにしたいと言っていた。昔は、ピートのところに真空管だけを買いにくる方がいたそうだ。ロンドンでも真空管を売っているお店が少なかったらしく、エリッククラプトンのローディーがよく買いに来ていたそうだ。ピートは100本単位でまとめて購入していたらしい。以前はピートのショップに通う途中に有名な真空管のメーカーGECがあったそうだ。必要なときは、そこによって買っていったそうだ。それが突然倒産して購入できなくなってしまったと言っていた。最後のKT77のペアも見せてくれた。中古でも非常にレアで数万円で取引されているそうだ。オーディオの世界はすごいからなぁ。楽器では真空管にそこまで出す人はなかなかいないよなぁ。下手するとアンプより真空管の値段の方が高くなってしまう。さて来週は真空管とトランスと他の機材のリストアップをすることにしよう。ソブテックの真空管5881は日本の半額にしてくれると言っていたから助かるなぁ。まあ、他の真空管はそれなりの金額を提示しないと譲ってくれないと思うが。

今日は金曜日なので、Uckfieldのレストランを予約したらしい。一緒にと誘ってくれた。7時に待ち合わせだ。腹減ったなぁ。

家までピートとリンダが迎えに来てくれた。今晩はレストランでディナーなので、一応ジャケットを着て出かけた。レストランでは、本当に楽しい時間が過ごせた。だいぶ二人の英語が分かるようになったせいか、会話も途切れることがなかった。ピートは、でかいピザを頼んで、食べれないだろうと思っていたら、全部食べてしまった。いつも小食なのに!さらにアイスクリームも食べてるし。胃がいくつあるんだ?この人は(笑)。リンダは相変わらず小食で小さなチキンも休憩しながら食べていた。ワインもおかわりしていたし、気分がよかったんだろうなぁ。今日もごちそうになってしまった。
いろいろ考えて、来週土曜日にブライトンの日本食レストランに行ってごちそうすることにした。本当は家に招いて日本食をなにかご馳走しようと思ったがお米が手に入らないし、お好み焼きの材料もないので話にならない。おそらく来週がイギリス滞在の最後の週末になるので、夕食を一緒にとることにした。たまにはこちらがおごらないと。いつもご馳走になってばかりだと悪いもんね。でも面白いのが、ピートと自分だけだと、大体割り勘かこちらがおごったりしている。リンダが一緒にいると、ピートにあなただしてよと一言あるらしくて、おごってくれる。家の財布はリンダが握っているようだ(笑)
夕食後、気分がよかったので、皆んなでしばらくUckfieldの町を散歩したあと、家まで送ってもらった。明日はロンドンに行って、家族のお土産を探そう。ニールズヤードの場所をリンダに聞いたので、そこに行ってみよう。


9月14日(土)
ロンドン市内.jpeg
今日は朝からロンドンに出かけた。午前中どこに行こうか迷ったが、絵が見たいと思いナショナルギャラリーに行くことにした。先にギャラリーに行くつもりだったが、間違ったラインの地下鉄に乗ってしまい。予定変更して先にニールズヤードに行ってお土産を買うことにした。探し回ってようやく見つけた。思ったより小さいお店だったが、所狭しといろいろ置いてあった。エッセンシャルオイルを買うときに、オーガニックか普通のものか聞かれた。なに、イギリスでは2種類あるのか?日本では確か一種類しかなかったよなぁ。もちろんオーガニックのものを購入した。

その後、結構近くにナショナルギャラリーがあることが分かって、歩いて行くことにした。通り道でライオンキングの公演をやっている劇場をみつけたので、CDを購入しようと思って入ったら、まだ開場してなくて、後で出直すことにした。マイフェアレディーのCDもすごくよかったから、ライオンキングも良さそうだ。
そのままナショナルギャラリーへと向かった。ここは無料で入れるが、募金という形でお金を募っていた。もちろん募金をした。多くは払えなかったが・・・。中はものすごく広くて、有名な画家が描いた絵画が多く展示してあった。モネやゴッホ、レオナルドダビンチまで展示してあった。うーんすごい。でもヨーロッパによくある宗教画が多数あって見ても意味がよく分からないので、そのコーナーはほとんど飛ばした。

ロンドン.jpeg足が棒のようになってきたが、がんばってコベントガーデンまでライオンキングのCDを買いに戻った。そのあと、テムズ川の川岸に行ってしばらく散歩した。排気ガスのにおいがすごくて、とてもリラックスした気分になれない。ロンドンはこんなに臭かったっけ?田舎の生活に慣れてしまったようだ。日本に帰ったら、やばいなぁ。






twinings.jpeg

そのあと、近くのテンプルを見に行ったら、ちかくにTWINIGSの本店があったので写真を記念に撮った。ものすごく小さな入り口だった。

少し時間が早いが、KEW GARDENにあるチャンドラーギターに行くことにした。30分くらい辺りをぶらぶらして4時にお店に行った。人が混雑していて繁盛していた。お店の奥に小さな修理の受け付けと工房があって、そこにチャーリーさんが居た。世間話をしたあと、カスタムギターの話になった。カスタムギターの写真を撮りたいと言うと、何点か写真を撮らせてもらった。ギタリスト(イギリスのギター誌)で紹介されたときのコピーをくれた。その裏にお薦めのボディー材やピックアップ等を描いてもらった。奥にある工房には、有名ミュージシャンのピックが壁に貼ってあった。またフレットと弦の高さを調整するためのコンピュータで制御されたオートメーションの機械(Plek)が置いてあった。すべてこれを用いて、最終調整しているらしい。パットメセニーやジョーサトリアーニのギターもこの機械を使用してフレットと弦高の関係を調整しているそうだ。

ビクトリア駅で今月のギター関係の雑誌を購入して帰った。帰りの電車は混んでいた。

plek.jpeg
この機械がPlek。現在ではポピュラーな存在になっていますが、この当時、導入していたメーカーや工房は限定されていたようです。

カスタムギター.jpeg

チャンドラーさんが製作したカスタムギター


アコギ.jpeg

お店の中にはアコースティックギターのコーナーもありました。


(つづく)
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