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イギリス滞在記(5) [音楽]

8月15日(木)

今日もいい天気だ。朝、車で通勤のとき、後ろからおばさんが乗った車にあおられた。むかっ!
ピートの職場についたら、牛が集まってきていて、私の車をみてさらに寄ってきた。じっと見つめてくる。あっちいけーと思いながら、にらみかえしても、じーっと見てくる。ハエがたかっていて、うわくさそー(笑)

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以前、私が設計したエフェクターについての指摘がピートからあった。その内容を思い出したので書くと、
1. スイッチングのノイズが非常に気になる。切り替えは、初段のバッファーの後からの方がいいのではないか?
2. トーン回路やブースト回路は、まったく問題ない。
3. 一番頭のバッファーはいらない。いい音を作るには、回路を複雑にしないほうが良い。
4. コストを抑えるにはパーツを減らしたほうがよい。電源回路もすばらしいと思うが、レギュレーターだけで、十分なのでないか?

以上4点が話の内容であった。
(技術者同士が回路図を見ながら、いろんな観点から意見を言い合うことは非常に重要です。自分では気づかない所も指摘してもらえる可能性があり、さらに良い製品になるかも・・・)

今日も充実した内容であった。まずツールの重要性の説明を受けた。まずいろんなサイズのドライバー、ドリル等をそろえる必要がある等。今日、必要だと言われた工具類は、下記のとおり。
1. いろんな種類のドライバー
2. 同上のレンチ
3. 同上のドリル
4. ユニットを固定するための木とホルダー
5. ドリルがユニットの奥まで入っていかないようにするためのストッパーつきドリル等。スペサーで代用できる。
6. ドラフティングテープ
7. 各種リベット
8. 絶縁シート

等々たくさん。
今日のメインの仕事は、ポールマッカートニーのストロボチューナーを治す修理である。シャーシの補強と、基板の取り付け改造。壊れていたインプットジャックの交換を行なった。時間がかかったがピートに誉めてもらった。うれしー!「まず、自分で考えて、どうすれば信頼性をあげられるか考えてみなさい」といわれたので、がんばった。とりあえずテストにパスしたようだ。

次は、アレンビックのプリアンプの改造を始めた。すでにピートが途中まで改造していたものだったが、フロントパネルについているインプットジャックをリアに移動するということで、追加の改造をした。今日は、途中で終わってしまったが、ジャックへ半田するのが非常にむずかしかった。また穴空けも非常に神経をすり減らすような作業であった。ドリルが穴を空けた後、どんどんドリルが穴に入っていくのを防ぐためにストッパーをカスタムで作っていた。ドリルの歯が1cmくらいしか出ないようになる。デスクの手前端にラックケースを配置し、傷が付かないように木を使ってクランプする。いろんな工夫が見える。いままで培ったものなんだなと実感する。

ところでドライバー類は、ドライバーの番号のカラーコードを、ドライバーの軸に付けていた。判別用。

帰り際に、BUFF BUSTERという新製品のデモをしてもらった。これは以前私が、バッファー後にゲルマニウム物のエフェクターを接続すると、正常な音にならないので、ハイインピーダンスに戻すユニットは作れないか?と話したところからくる。覚えてくれていたのだ。当時は、回路のアイデアまで、渡してもらっていたが、時間がなくて試していなかった。バッファーを通しバフバスターを通した音と、何も接続せず直接ギターの音とを聞き比べ、非常に近い音がでる事を確認した。ギターのピックアップによって音色が変わる。このためトーンアジャストがついている。ギターのピックアップによってインピーダンスが異なるためだと説明を受けた。
その後、このユニットをどのようにデモするのかが問題だなぁとなった。分かりやすく効果を説明するには、どうしたらいいか、、、
今日、エキサイトすることがあるぞ!と言っていたのは、このことだったのだ!
(このBUFF BUSTERのアイデアは、私からのものであったのですが、「時間が経ってもYukiが作らないから代わりに俺が作った。これは俺のものだからなw」 とその後、ピートは製品化してしまいましたw)



8月16日(金)

今日は、朝から昨日のつづき、アレンビックのステレオプリアンプF2Bの改造を行なった。基板にシールド線を取り付け、フロントパネルにブランク用のブラックのキャップを取り付けた。穴のサイズを大きくして、ジャックを取り付けてあったものを外したため、キャップをシリコンで取り付けた。シリコンは、建築で使う大きなサイズの物を使用していた。ピートのペダルボードは、ねじの他にこのシリコンも塗りつけて、補強しているそうだ。
このアレンビックのプリアンプの回路は、あるフェンダーの回路と全く同じ物である。このままだとハムが出てしまうので、ピートは追加で真空管を使用した回路を追加して、出力もバランス回路になっていた。またこのユニットは、電着塗装を行なっていてしっかり塗装を落とすことがアースを確実に落とすために重要である。
また、このプリアンプは低音が強めに出るためピートはMIDスイッチを追加していた。
ピートはフェンダーの回路が好きなようで、相当研究しているようだ。トーン回路のピークは、おおよそ3kHzになっていているそうだ。ピートが持っているマーシャルはトーン回路がフェンダータイプになっているそうだ。
またマーシャルのインプットのリンク方法についてアドバイスがあった。通常クロスの配線をして、ブーストするが、それはフェイズシフトするからだめだそうだ。抵抗とケーブルのもつキャパシタンスによって、位相シフトしパンチのある音が出ないとのこと。よって、入力の前でパラにするか、内部で配線するかとなる。

ピートは音出しのチェックをするとき、必ずハーモニクスのチェックをしている。ハーモニクスが損なわれないようにしているそうだ。また音質もなるだけスムーズにフラットを目指しているらしい。

午後からは、PMS(MIDIルーティングコントローラー)用のソフトを動かすために、MACにインターフェースをつなぐ作業をした。うまくMIDIインターフェースが認識してくれず、今日のところは諦めた。インターフェースは、MIDI MANの1x1という非常に小さいもの。こちらの送ったMIDIファイルは無事認識された。MIDIプレーヤーでも問題なく動いている。OMSというソフトを入れないとだめなようで、そのあとにドライバーをインストールしたが、うまくいかない。日本でもちゃんと確認する必要がありそうだ。とりあえずファイルが開かないという問題は解決した。

夕方早く帰宅し、ここから30分くらい行ったところにある教会所有の小さなホールに行って、ピートのバンドのリハーサルを見た。初見の楽譜をみんなで演奏している。18人くらいの大きな所帯のバンドだった。メンバーのドラムと一人のトランペットがプロだそうだ。休憩中に、近くのパブに行ってビールを飲み、戻って30分練習してピートと帰った。驚かされたのが、ピートは楽譜が読めるということだった。曲をピアノでコピーして、各楽器のパート分までアレンジし楽譜に書いていた。それも手書きで!おそるべしピートコーニッシュ!ピートは、10年くらい前にアレンジの勉強に、土曜日の午前中、ロンドンの大学に行っていたらしい。QUEENと一緒に仕事をしていたフィルハーモニーのアレンジャーが体を壊したあと、音楽が好きで大学で教えていたそうだが、その授業に参加したそうだ。別の意味でのバックグランドがしっかりしているのだなと、本当に感心した。

(つづく)
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