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イギリス滞在記(14) [音楽]

9月2日(月)

今日は、リアパネルのコネクタの配置決めの続きだ。先週に続き、今週もだ。相当時間をかけている。ピートは、考えに考えて大丈夫だと思っていても、必ず間違っているところがあると言っていた。なぜかわからないが、そうらしい。一日時間を置いたりすると、発見しやすいそうだ。早速変更箇所が出てきた。TUNER OUTやDI OUTもグランドリフトスイッチをつけることになった。先週の時点では、出力はトランス出しにしているので、グランドリフトスイッチをつける必要ないといっていたのだが、日本のグランドの状況が不明確な点が多いので、付けたほうがいいだろうと言うことになった。

それから出力トランスの話になった。北欧製のランダールトランスは、2次側にフィードバック用のタップがついているものがあるらしく、50ポンドくらいするそうだ。やはりチェックしてたんだ。10kHz以上や低域の位相を改善しようとするランダールを使って設計するのが良さそうだ。

今日はようやくリアパネルのコネクタ配置を終え、穴加工に入った。ピートから指導されたのは下記のとおり。

・3回、長さや位置を測定し確認してから、1回切る(加工)する。

・穴をあけるときは、小さい穴からあける。一気に大きな穴を開けない。多少ずれても穴が小さければ修正できる。またドリルのセンターを綺麗にしておくことが出来る。センターが綺麗だと、穴位置が正確にでる。

・バリ(burr,sworf)をとる時は穴径の2倍が目安

ピートはその後、ルーティングユニット用基板のチェックを進めた。1回路だけ、測定値が悪いものがあって調べたところ、入力のコンデンサの容量のばらつきと判明した。



9月3日(火)

今日は昨日の続きで、リアパネルの穴加工を始めた。まず、D-SUB用の穴を加工し始めた。リアパネルは鉄板なので、結構硬く、手がしんどかった。ピートにチェックしてもらったら、言うことないく、完璧と誉められた。おまえだましたな!やれるんじゃないかぁ!といわれたが、本当にやったことない。やったといえば、大学の頃実習でやっただけだと答えると、それで十分だ。と言う。目と脳と手がちゃんとそれを覚えてるんだよと、ピートは説明してくれた。“俺は悲しいよ!一年間トレーニングして、何十年もやって出来たのに、お前は今日はじめてで出来ちまうんだから、おー!”とかぶつぶついいながら、目は笑ってた。こっちの腕はパンパンだ!絶対筋肉痛になりそう。穴あけとパネルの削りは本当に大変だ。ちょっとやそっとでは出来ないなぁこれは。ファイリング(filing)するとき注意点を教えてもらった。

・あわてず、ゆっくり削る。

・やすり全体を使って削るようにする。

・自分のリズムを作る。

・早く短くやすりを動かしても、ペースが落ちる。

・必ず手を添えて、パネルが反らないようにする。

・いつも間違ったら、これで最後だぞ、注文し直しだと頭にいれて仕事する。

filing.jpg

ヤスリがけ作業中の私


そういえば、グランドの話でエフェクターのセンドリターンでグランドをリフトしたい場合は、ケーブル側で行なったほうがいいと、ピートから教わった。

今日は、いくつかピートが頼んでくれたツールが届いた。インチで計測が可能なノギスとバイスだ。早速ピートが使って見たいというので、バイスを開けて使った。これがまたものすごい優れもので、
プラグの半田付けやパネルの配線などにもってこいで、ピートも自分に欲しいといいだして、他にあるにもかかわらず、買うことにした。本当にピートはツール好きだ。今日も家のペンキ塗り用のカタログを見て、いろいろ頼んでいた。そういえば、家には草刈きからチエンソーからあったもんなぁ。それから、日本で必要と思われる、物をリストアップして手に入るものは頼んだ。自作しないといけないものが結構ある。がんばって作らねば。

夜ピートから電話があって、間違いがあったと連絡してきた。なに?と聞いたらPMS-16Uの16番にマスターミュートをセットしようと話していたのだが、ポートの組み合わせと信号の流れを考えてルーティング側を作ると、PMSの1~8番のどれかに移動しなければならないという話であった。明日、一番に再検討しようということになった。そういえば、ポートを途中で変更したんだった。
(PMSは4つのポートのコネクターが4つあり、合計16個のON/OFF情報を記憶できるシステムになっています。それぞれのポートに、好きに機能を割り当てることができるようになっています。)



9月4日(水)

今日は、朝からPMSのポートのアサインに関してと、マスターミュートに関して検討した。最初は、ピートの案でいけるかと思ったが、フロントパネルとリアパネル、PMSとの関係がおかしくなるので、いいづらかったが、変更してもらった。イギリスではLCRの順番はあまりこだわりは無いらしい。日本だと慣習的に、Lが先番として通用している。だから必ずLCRの順で番号を振っていくわけだがピートにはその感覚が無いので、説明しなければならなかった。
ポートを決めたあと、D-SUBのピン番号とリレー番号を変更したあと、回路図も変更し確認した。それからD-SUBの配線色をまず決めてから、半田付け作業を始めた。コネクターはバイスに固定して作業をした。
ピートは、その間フロントパネルに取り付けるものは、全て取り付けて、ノブとスカートも接着材で止めて、リアパネルの配線作業に入った。グランド周りのベーシックな配線を終わらせ、D-SUBのコネクターも取り付けた。その後、いったん全部を組み立ててから内部にヒンジを取り付け、そこにも回路を載せられるように追加シャーシの加工に入った。本当に全て手作りでやっていた。

今日、教わった内容は次の通り。

・スイッチクラフトのメスのコネクターの半田つけをするときは、半田がコネクター側に流れないように気をつける。バイスで固定し、流れないようにする。コネクタを半田付けするときは、必ず半田付けするピンの形状を確認しなければならない。

・標準ミニプラグは、スイッチクラフト製のものが細ケーブル2本入るため、製作しやすい。

・半田を盛る量を考えて、半田の径を決めて使用すること。

・半田は少ないと、貧弱である。しっかりとした半田をするために半田の量は重要である。富士山の山型に盛ること。そうすれば、強くしっかりとした接触面の大きな半田つけとなるため、一番良い。

・パーツを袋から出すときは、かならず皿か何かに入れて、なくさないようにする事。

・パーツはだいたい足りなくなる場合が多い。よって必ず一つか二つ多めに購入しておいたほうが良い。

・ドリルを使用するときは、服装に注意。ドリルに髪や服を挟まれないように注意。ピートも服を巻きつけてしまい、袖がちぎれたことがあるらしい。

・手袋は必ず用意して、怪我をしないようにする。

・グラインダーで金属を削る場合は、水を用意して冷やしながら(焼きいれ)やるとよい。六角レンチは、先がまるまったら、削ってつかえる。

・なんでも面倒がらずに、急がば回れ!

・バリ取りを両面とも忘れずに!フラットにしないと、ネジがもげる可能性がある。

・ドライバーのサイズには、色コードで見分けられるようにスリーブを入れておくと良い。

その後電源の位置を決め、自分はリレー駆動回路のパーツレイアウトを考えた。
作業の終わり近くで、ピートが今日メモをとった内容を英語ですべて説明してくれというので、全て説明した。ちゃんと理解してくれているかどうか、確認したかったらしい。
全て問題なかったので、ほっとした。なんかテストされているみたいだ。ま、間違ってなかったので、安心したが。ピートもだいぶ安心したようだ。

それから、ピートはリレーを作っている工場で働いたり、バッテリーからインバーターでAC電源を作り出し、電車のランプをつけるようなシステムの設計に携わったことがあるらしい。いったい、どれだけの経験があるのか・・・・恐ろしいくらいだ。


(つづく)
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