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SUGIZOさんの最新ギターシステム紹介(2) [楽器機材]

pick.JPG今までSUGIZOさんのリングモジュレーター製作を行ったり、エフェクターやケーブルなど単体製品には携わってきましたが、ギターシステムの構築の仕事をご依頼いただいたのは2011年からです。その時に構築した機材については、私のブログ(2011年11月)でもご紹介しました。現時点で、23,000カウントを超える閲覧数があり、SUGIZOさんのシステムへの関心の高さが伺えます。
現在のLUNA SEAツアーでSUGIZOさんが使用しているシステムは、この時点から大きく変わっています。ファンの方だけでなく、楽器をプレイする方に役立つ内容が含まれると思いますので、このブログを是非読んでみてください。

SUGIZOさんのシステムを構築する上で、一番最初に行わなければならないのが、SUGIZOさんのサウンドバリエーションの把握です。どのようなエフェクターを使用しているのか、どのような組み合わせで音を作っているのか、全ての組み合わせを把握しておかないと、システム構築をする事ができません。

全てのサウンドバリエーションを把握した上で、エフェクターの接続順、エフェクターの再選定を行います。なぜ、再選定を行うかというと、今まで使用して来たエフェクターを全てリストアップしていくと、かなりの量になってしまいます。出来る限りシンプルに、且つ拡張性のあるシステムにしていくために、使用するエフェクターの数とループ数を何度も何度も確認しながら決めて行きます。

今回、システムを構築する上で、非常に難しい課題が4つありました。
1. サウンドクオリティーを犠牲にする事無く、システムのサイズを出来る限り小さくする。
2. 海外でも使用するため、海外で使用するシステムを考慮した仕様にする。
3. 足を使った操作をし易くするため、SUGIZOさんの足下の機材(ペダルボード)は横幅を狭く設計する。
4. 使用するアンプが合計3台あるので、音色ごとの出力レベルを調整するための機器を新たに開発する。

4番目については、2011年に構築したシステムでの課題点でしたので、その当時から解決策を検討していました。ほぼ2年に渡って新システム向けの開発を行っていた事になります(笑)。もちろん具体的にSUGIZOさんに最終的な提案をしてGOサインを頂いたのは、ずっと後の事になります、、、

つづく





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SUGIZOさんの最新ギターシステム紹介(1) [楽器機材]

Attachment-1.jpeg昨年、SUGIZOさんとプロジェクトをスタートし、今回のLUNA SEAのツアー用にフルカスタムでギターシステムを製作しました。すでに多くの方が、SUGIZOさんの新しいシステムのサウンドを聞かれていると思います。非常に多彩なサウンドが次から次へと奏でられるわけですが、恐らく多くの方は聞いただけでは、どのようにしてサウンドを構築しているのか分からないと思います。
少し時間はかかると思いますが、SUGIZOさんのサウンドシステムについて、すこしづつご紹介して行きたいと思います。

今月23日にリットーミュージックから発売になる、拙著『ギタリストとベーシストのためのシステム構築マニュアル』でもSUGIZOさんのシステムの紹介をしています。SUGIZOさんご本人が語る、新しく製作したシステムについてのコメントや、システムの配線図まで公開していますので、こちらも是非チェックしてみて下さい。

次回から具体的にご紹介して行きます。お付き合いよろしくお願いいたします!

システム全体写真「撮影:植田山月」
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フリーザトーン ARC-3/Audio Routing Controller 予約受付開始! [楽器機材]

ARC-3_front1.jpg12/3よりフリーザトーン製品取扱販売店にてARC-3/Audio Routing Controllerの予約受付開始いたしました。
大変お待たせしてしまいましたが、ようやく完成いたしました!

開発にはVAMPSのK.A.Zさんとテックの晃さん、LUNA SEAのSUGIZOさんとテックの辻さんが、協力してくださいました。4人の方の協力無しでは、ここまで完成度を上げることは難しかったと思います。この場をお借りして、御礼申し上げます。

現場の最前線の方と協力して製品を開発するということは、ものすごくシビアですが、実践的で使いやすい製品が生まれます。コスト度外視で、何度もソフトを作り直し、何度も基板を作り直しました。また、布袋さんが海外活動で使用されるということで、サウンド面も妥協せず作り込みました。

是非、フリーザトーンの最新作をチェックしてみてください!よろしくお願いいたします。
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IRON FOREST開発秘話(4) [楽器機材]

421684_428794607156110_562948285_n.jpgIRON FOREST開発秘話(4)です。GIGS BOSONの開発秘話を(3)にしたので、今回(4)としました。紛らわしくてごめんなさい。

IRON FORESTは何にも似ていないディストーションを作ろうという気持ちからスタートしました。
音の太い、チューブアンプで歪ませたようなディストーションは、すでにQUAD-ARROW DISTORTIONがあります。何か、弾き手によって変化する、予想しない使い方が出来るディストーションを作ろうと思い立ちました。もしかすると、店頭でちょっとチェックしただけでは、ギターやアンプの相性によっては、全然良い音がしないかもしれません。でも、じっくり向き合ってギターやアンプやエフェクターとコミュニケーションする事によって、今までは得る事が出来なかったサウンドに出会える可能性を持たせたいと思いました。

EQの効きもGAINの幅も広く、戸惑う方も多いかもしれません。うーん、良い音がしないな、難しいな。となった時は、是非、GAINを絞りきった状態から少しづつGAINを上げて音を確かめて行ってください。どこかのポイントで、あなたのギターとのマチングが取れるポイントが出てくると思います。
またEQはセンター位置からスタートして、マッチングが取れたポイントで微調整して行くのがお薦めです。

ゲインをかなり上げて行くと、FUZZっぽいサウンドにする事もできます。太く前に出てくるFUZZサウンドが、一般的には良いとされていますが、FUZZサウンドは音色として独特なので、バンドアンサンブルの中でマッチさせるには、かなりのセンスが問われると思います。このような理由であえて、少し奥に下がるFUZZサウンドになるように設定しました。バンドサウンドのアンサンブルで、歌を邪魔しないバッキングサウンドとして、少し下がった位置にあるFUZZサウンドもおしゃれだと思っています。

昨年、デイビッド・サンボーンのバックバンドでプレイする超ベテランのギタリストNickyはこのIRON FORESTを絶妙に使いこなしていました。サックスのプレイと重なるようにユニゾンでプレイしたり、プレイするポジションを変え、サックスの邪魔をしないようにプレイしたり。正しく私が意図した用途でIRON FORESTを使用してくれていました。

このIRON FORESTは、自己主張の固まりのサウンドでは無いかもしれません(笑)。しかし、使い手によって、あのサウンドはどのように作ってるの?と思わせる要素があると思います。Roland JC-120のLOW INPUTを使う事によっても、スピードの早い、気持ちの良いバッキングサウンドを得る事ができます。是非、いろんなセッティングを試してオリジナルサウンドを作り出してみてください。




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GIGS BOSON開発秘話(3) [楽器機材]

GIGS BOSON.JPG
今回は、GIGS BOSONについてお話いたします。

このオーバードライブの名前の由来について、よく聞かれます。2012年7月4日に、ヒッグス粒子という新たな粒子が発見されました。それは宇宙誕生の際に、質量を持たない素粒子に質量を持たせる要因となった粒子で、ビックバンや宇宙誕生の重要な一部を構成することとなった「神の粒子」と呼ばれているものです。仮説を唱えたピーター・ウェア・ヒッグスの名をとって、Higgs Boson(ヒッグス・ボーソン)と呼ばれています。 この粒子の発見ですべての仮説粒子が揃い、暗黒宇宙の解明の第一歩となると言われていることから、このエフェクタの出会い(発見)により、GIG(演奏)の世界の発展の新しい第一歩になる事を願って、GIGS BOSON(ギグス・ボーソン)と命名しました。
フリーザトーンは、これまでプロミュージシャンや業務用の仕事しかほとんどしてきませんでした。直接、多くの販売店を通じて、一般の方へお届けする製品は、このGIGS BOSONが第一弾なのです。かなり気持ちが入り込んだ製品です(笑)。

このオーバードライブの構想は、ポルノグラフィティの新藤さんから頂いたTwitter経由のメッセージが始まりです。新藤さんから頂いたオーバードライブのリクエストに応えるべくスタートしました。

いつもの方法で、新藤さんのギタートーンを聞きながら、想像しながら音を作って行くわけですが、途中で違うと思い始めました。世の中に、まだ無いトーンを探すには、既にある音をベースに音作りをしていたのでは、それを超える物は出来ないと気付きました。

そこから、全てを白紙に戻して何度も何度も回路を作り変え、求めるサウンドに近づけて行きました。今回求めていたのは、豊かな倍音と弾き心地の良さ。ギターを弾いていて楽しいと思える感覚です。私は、ギターが上手くありませんが、それでも楽しく弾けたら、もしくは少し上手くなったかも!って勘違い出来たら、凄く幸せなわけです。かといって、コンプレッションを強くし過ぎると平坦なサウンドになってしまい、ピッキングのニュアンスはどんどん失われていきます。結果的に、前回ご紹介したHTSサーキットが完成していなかったら、このサウンドは出す事ができませんでした。

実は、HTSサーキット無しのTrue-Bypass回路でも何度もトライしてみましたが、やはり駄目でした。弦を弾いた時の倍音成分のまとわりつきかた(変な表現ですが)が納得できないのです。

HTSサーキットを活用しながら、ギターのボリュームを下げた時、本体のゲインを下げた時、ゲインを上げた時、すべてのパターンを確認しながらトーン回路、GAIN回路、BOOST回路などを仕上げていきました。1台で、様々なサウンドパターンを得る事が出来ると思います。

また、ストラトのリアでプレイした際、出がちな耳に痛いサウンドもなるべく出ないようにバランスを取りました。

今回、新しい機能として付けたのが、「INPUT Z」切替スイッチです。入力インピーダンスを切り替えます。ボタンを押していない状態が1MΩ。押した状態が100kΩです。ギターから直接接続する際は、1MΩがお薦めですが、ワイヤレスユニットや他のエフェクターを通過した後、接続する場合は、ボタンを押し100kΩ側も試してみてください。高音域のぎらぎら感が少し抑えられます。また、若干ですがS/Nも良くなると思います。

設計時に使用したアンプは、FenderのDeuxe ReverbとRoland JC120です。JC120を使用する際は、LOW INPUTへの接続をお薦めいたします。

既に布袋寅泰さんやSUGIZOさんに高い評価を頂き、実際に使って頂いています。お二方が使用しているのは、試作品や特別に手を加えた物ではなく、岩手/花巻の工場で製作した物です。一般の方が販売店にて購入できる物と全く同じ物ですので、是非実際のサウンドを試していただけたらと思います。
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GIGS BOSON & IRON FOREST開発秘話(1) [楽器機材]

421684_428794607156110_562948285_n.jpg10月20日発売予定のGIGS BOSON(ギグス・ボーソン)IRON FOREST(アイアン・フォレスト)の開発秘話を何回かに分けてお伝えしようと思います。今まで様々な製品開発をしてきましたが、今回発売するGIGS BOSONとIRON FORESTは、これほどのめり込んで設計開発した機種はないというくらい入り込みました。そして、それぞれ何度も試作回路を破棄して最初からトライしました。

またフリーザトーンにとって初めての標準ラインナップですので、ある意味フリーザトーンの顔になる存在となります。少しでも手を抜く事はできません。フリーザトーンにはカスタムエフェクターのラインナップが存在しますが、ものすごく手間がかかるため、限られた個数しか製作することができません。少しでも多くの方にフリーザトーンの製品を体験し楽しんで頂くには、標準化したラインナップがどうしても必要です。

今回は、製品を生産するのにどのような方法で、どこで作るのか非常に悩みました。一台一台丁寧に、手作りしたいですし、全てチェックした状態で、安心して使っていただきたいからです。コストを下げる方法はいろいろあります。海外で作る方法もありますし、テスト項目を減らして、抜き取り検査で済ませる方法もあります。ただ、フリーザトーンとして恥ずかしくない製品を出したかったので、最初からコストを考えた妥協案は出さない事にしました。ベストと思われる方法を考えてから、見積もってコストがどうなるのか、製作時間を短縮する方法はないのか、もっと効率化できないのか検討を繰り返すというやり方です。

また、私の中で東北地方のお役に少しでも立ちたいという気持ちがずっとありました。震災後、何か出来る事はないかと考えていましたが、考えるだけで何もしていなかったからです。地域の活性化に少しでも貢献する事ができれば、回り回って、お役に立つ事ができると思いました。いろいろ悩み迷いましたが、今回は岩手県にある会社でエフェクターの生産を行う事に決めました。

世の中に発売されているエフェクターの数は数えきれないほどあります。その中でフリーザトーンのエフェクターを手に取った方の本能に訴えかける事が出来るような製品を世の中に出して行きたいと思っています。

次回は、具体的にそれぞれの製品についてお話いたします。是非、おつき合いください。


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ソルダーレスケーブル開発秘話(1) [楽器機材]

SL_STD10_001.jpg 今週、フリーザトーンからソルダーレスケーブルが発売になります。この製品には特別な思いがあります。製品化する為には多くの方の協力が必要で、お客様の手元に届くまでには販売店様の協力も不可欠です。そのような協力体制の中、アイデアを出し構想から約半年で発売にこぎつけました。1月の末頃、ソルダーレスプラグのアイデアが湧きました。そして2月中にはサンプルが完成し、3月には製品と同じレベルの最終試作が完成していました。そして4月〜6月中にさまざまな現場で実際に使用していただいたり、ペダルボードやラック組みに自分で使用したりして、耐久性や使い勝手を確認した上で発売する事になりました。テスト期間を考えると、実質3ヶ月間で商品化できたことになります。これほど、早く完成する事ができたのは、メーカーさんの努力に他なりません。本当に感謝しております。
 今回発売するのは、専用ケーブルのCU-416、ニッケルメッキタイプのソルダーレスプラグSL-8S(Nickel)ゴールドメッキタイプのSL-8SPro(Gold)の3つの製品です。まずは、ニッケルメッキタイプのソルダーレスプラグSL-8S(Nickel)からお話したいと思います。

 フリーザトーンでは一般的に発売しているプラグやケーブルを購入し、ラックやペダルボードに使用してきました。もう、どれだけの量のケーブルやプラグを使用して来たか想像ができませんが、かなりの量である事は間違いありません。その経験の中で信頼性の高いソルダーレスケーブルがあればと思う事が何度もありました。とにかく短納期で納めなければならない場合や、仕様変更の可能性がある場合です。例えばエフェクターを新しい物に入れ替えたい時、ジャックの位置が変わり、せっかく奇麗に配線した状態を崩さなければならない事が多々あります。ケーブルが届かないという事も多々あります。ユーザーの方が自分で必要な長さのケーブルを自作し入れ替える事ができたら、どんなに良いでしょう。その為には、ある程度のスキルが必要なハンダを使用するタイプよりもソルダーレスタイプがベストです。
 また最近はペダルボードを小さくしたいという希望が多く、プラグが占有するスペースをも、狭くする必要がでてきました。以前は、プラグの抜き差しをエフェクターを外さなくても出来るように間隔を開けていましたが、最近はエフェクターを外さないとプラグの抜き差しが出来ないくらいの配置になっています。
 また仕事柄、ライブ会場やリハーサルスタジオに行く事が多いのですが、ケーブルが一本!足りなかったり、ちょうど良い長さのケーブルがなく、しかたなく3mや5mのケーブルを使わなくてはならない事がありました。現場では時間が限られているため、ケーブルが足りない、必要な長さが無いという状況は非常に時間をロスします。もし数分で必要な長さのケーブルが準備できれば、探すより早く対応することができるかもしれません。
 このような流れから、ソルダーレスケーブルで省スペースを実現しようとアイデア出しを始めました。数日間ソルダーレスプラグの事ばかり考え続け、ある時突然、プラグの中に接点を設ければサイズも小さくする事が可能で簡単に作製することも出来ると閃きました。プラグの内部に接点があれば、接点は強固に守られます。また、プラグのサイズを限りなく小さくする事ができます。必要なのは、ケーブルを固定する為のネジのスペースだけです。ただ、あまり小さくし過ぎるとプラグの抜き差しがしにくくなりますので長さを8mmとしました。テプラなど6mmのテープを貼るのにも丁度良いサイズです。
 ある程度の設計が頭の中で出来たため、メーカーさんに対して具体的な内容を伝える事ができたのが今回のスピード開発に繋がったと思います。また、メーカーさんの持つノウハウも十分にあったのでしょう。サンプル品が1ヶ月も経たないうちに来たときは本当に驚きました。こちらが想定しているスピード以上で物が仕上がってくるのは本当に嬉しい事です。いつも待たせてばかりが多い私は(苦笑)、本当に見習わなければと思いました。

ニッケルメッキタイプゴールドメッキタイプのソルダーレスプラグはシールドの処理方法が異なるのですが、ニッケルメッキタイプは、世界で一番シンプルで簡単に作製する事ができるプラグだと思います。ケーブルを必要な長さに切り、ケーブルの断面を丸く指で整え、プラグの奥まで差し込んで、マイナスドライバーで止めるだけです。マイナスネジがケーブルの外皮を破りシールド線に接触することでグランドの接続が取られます。使用する専用ケーブルのCU-416の外皮はある程度の粘度があり、マイナスネジの溝に絡み付くので、マイナスネジが弛みにくい構造になっています。

多くのメリットを持つ、このソルダーレスケーブルが多くの方にお役に立てればと思います。プラグの内部に差し込む必要があるため直径の細い4mmの専用ケーブルCU-416を用意しましたが、そのケーブルのサウンドの良さにも驚かれると思います。

次回は、作製方法が異なる高音質タイプSL-8SPro(Gold)についてです。お楽しみに!



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Free The Tone Custom SOV-2/OVERDRIVE開発秘話(1) [楽器機材]

DSC04376.JPG久々の開発秘話です。6月1日に発売になった、Free The Tone Custom SOV-2/OVERDRIVE開発秘話です。おかげさまで用意していた30台がすぐに予約いっぱいになり、急遽20台を追加製作いたしました。Free The Toneが独立して一番最初の製品でしたので、感謝の気持ちでいっぱいです。購入して頂いた方、全員に直接お礼を申し上げたいくらいです。この場をお借りして御礼申し上げます。

今回、製作するにあたって、初心に返ろうという気持ちがありました。SOV-2はProvidenceのSTAMPEDE ODの原型にあたりますので、設計したのはかなり前、7、8年前になります。当時の音の好み(方向性)と現在の方向性は少し変わって来ていることを自分でも自覚していましたので、音質に関してはきちっとチューニングし直そうと思いました。
また他社のハンドメイド品とは異なるルックスを持ちたかったため、デザインも思い切って変更しました。箱、マニュアル、保証書に至まで全てにおいて見直しました。
手に取って頂いた方は、他のエフェクターとの違いを感じていただけたのではないかと思います。
全ての文字を手書きで書く決心をするまで、少し時間がかかりましたが(笑)今では決意して良かったと思います。一台一台、手書きですから同じにはなりません。極端かもしれませんが、世の中に一台しかない物とも言えます。ラベルに文字を入れるとき、良い音出してくれよ〜とか、しっかり頼むよ〜とか考えながら作業を進めていくのも、なかなか楽しい作業です。実は、かなり失敗します(苦笑)。数百円もするラベルに書く作業を失敗すると最初はへこんでいましたが、今は開き直って書き込んでいます。
次回は、具体的に何を変えたか、などお話しようと思います。
早速、イギリスのGuitar Techniquesサイトに、Free The Tone Custom SOV-2/OVERDRIVEのレビューが掲載されましたので、是非ご覧下さい。サウンドクリップも聞く事が出来ます。
サイトはこちらです。


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Shinjiさんのギターシステム完成! [楽器機材]

SIDのギタリストShinjiさんのギターシステムが完成しました。詳細にご紹介したいと思います。

system.JPGシステムの全景です。Shinjiさんの立ち位置はステージ上手になります。上手側からギターの受け渡しや機器の操作がし易いように、ラックのレイアウトや機能の配置を決めています。左側がアンプラック。右側がメインラックです。





main rack.JPGラックの右側には、ワイヤレスユニットやインプットセレクター、S.O.Sユニット(サウンド・オン・サウンド)、アウトプットセレクター、ミキサーユニットなどが配置されています。信号の入出力が右側に集まっています。
そしてラックの左側には、ペダルエフェクターやエフェクターのon/offをコントロールする機能が集められています。

fx s-r unit.JPGこのユニットは一台あたりに6ループ用意されていて、エフェクターを6つまで接続する事ができます。今回は2台製作しましたので、シリーズ(直列)で12ループあります。それぞれのループには、リターンレベルを調整するボリュームと、PMS-16U(MIDIで信号のon/offを行うコントローラー)でコントロールするか、直接ON、もしくはOFFするマニュアルスイッチを用意しました。ワウやワーミーなどは、音量調整したい場合が多々あります。また、フェイザーやコーラスも機種によって、またフレーズによって音量調整をしたい場合があります。リターンレベル調整は、かなり有効な機能だと思います。
また、直接ループをON/OFFすることが出来る為、リハーサル時に簡単にチェックする事ができますし、万が一のトラブル時にもマニュアルで対応する事ができます。

pedal drawer.JPG今回、使用したペダルドローワーはイギリスから取り寄せました。ほとんどのエフェクターは、この引き出しを使用すると2Uで収まります。また、引き出しの裏側がフラットになっていますので、ケーブルを引き回すのに非常に都合の良い製品です。
一番下に配置されているのは、10系統の電源ユニットです。EVENTIDE/Time FactorやProvidence/PEC-04の電源もこのユニットから電源を供給します。

drawer1.JPG一番上のペダルドローワーに乗っているのは、Kelley/Compressor、Providence/SONIC DRIVE(PFX-2)、Providence/SONIC DRIVE(SDR-5)、AMT ELECTRONICS/E1の4つです。





drawer2.JPG2番目のペダルドローワーに乗っているのは、KLON/CENTAUR、MAXON/ROD、EVENTIDE/TIME FACTORです。少し見えにくいですが、TIME FACTORはMIDIケーブルが接続されていて、MIDI制御されています。ツイッターでも少しコメントしたのですが、MAXONのRODは最近のエフェクターとしては珍しく、インプットジャックがエフェクターの左側にあり、アウトプットが右側にあります。誤挿し注意です。

drawer3.JPG3番目のペダルドローワーに乗っているのは、BOSS/GE-10、BOSS/FLANGER、FULLTONE/Ultimate Octave、weed/FREEZERです。BOSSのGE-10はweedによってモディファイされています。


drawer4.JPG4番目のペダルドローワーに乗っているのは、Hughes & Kettner/Tube Rotosphere、BOSS/Tremolo、Retro-Sonic/PHASER、Providence/PEC-04です。Hughes & Kettner/Tube Rotosphereは電圧を昇圧するための電源トランスが向かって右側に配置されており、サイドパネルが樹脂タイプであるため、ケースの右側そばに信号ラインのケーブルを通すと誘導によるハムノイズが乗りますので要注意です。

solderless plug pro.JPGPEC-04に接続されている、金色のプラグをご覧ください。省スペースで確実なコンタクトを実現するために開発したソルダーレスプラグを使用しました。フリーザトーンのオリジナルプラグです。かなりの力で引っ張っても、ケーブルはプラグから抜けません。高信頼性を保っています。


amp gizmo.JPGアンプラック内のBOGNER/EXTACYヘッドのチャンネルを切り替える為のMini Amp Gizmoです。当初はアンプラックの裏に配置していましたが、使いにくかったため場所を変更し、メインラックのこの場所へ移動しました。



input and sos.JPGメインラックのインプット部とS.O.S(サウンド・オン・サウンド)、アウトプットセレクター部です。SUREのワイヤレスレシーバーからインプットセレクターに信号が送られ、メインラック左側のペダルエフェクターのセクションに信号が送られます。ペダルエフェクターのセクションから、S.O.S(サウンド・オン・サウンド)ユニットに信号が送られ、アウトプットセレクターで信号の送り先を決めます。アウトプットセレクターからは、BOGNER/EXTACY、÷13/FTR37、スペア用アンプに信号が送られます。

S.O.S(サウンド・オン・サウンド)ユニットは、ROLAND/SDE2500と共に使用し、ディレイ音に、モジュレーションをかけたり、ホールドしたりする事で、効果音を作り出す事ができます。また、効果音に対して原音をミックスする事ができますので、効果音をホールドし鳴らしながら、その音に足してプレイする事ができます。
mixer unit.JPG2Uサイズの2台のミキサーユニット。上側は、BOGNER用のミキサーユニットです。アウトプットセレクターから送られた信号はアンプのプリ部に入り、センドからこのミキサーユニットに入ります。入力信号は、ミキサーユニットの上にマウントされているt.c.electronic/G-Forceに送られ、その出力はミキサーユニットに戻ります。センド(送り)側でも、リターン(帰り)側でも信号のON/OFFが選択できます。ディレイ音を残したい場合は、センドで信号を切り、ディレイ音を残したくない場合は、リターン側で信号を切ります。ドライ(原音)もON/OFF出来ます。また、出力はマスターボリュームやブースト機能が付いています。アンプによって適切な入力レベルが有りますので、どのようなアンプにでも対応する事ができます。
peak meter.jpg下側のユニットは÷13用ミキサーユニットです。2チャンネル分のミキサー回路が入っています。÷13は入力回路が2系統ありますので、それに対応するためです。LEADチャンネルでソロをプレイし、そのディレイ音を残しながら、クリーンチャンネルでアルペジオを弾くと言う事も可能です。
ミキサーユニットの出力には、それぞれピークメーターユニットが装備されています。確実に出力のモニターが出来るようになっています。

pms.JPG上から3番目のユニットがPMS-16Uです。ON/OFFの組み合わせを記憶し、MIDIペダルから操作できるユニットです。このユニットを使用することで、完全にアナログ部とデジタル部の分離が可能となります。(デジタルエフェクター自体はそのまま使用します)カスタムで製作したユニット内にデジタル信号やMIDI制御信号は混在していません。そのため、ギターのトーンが明瞭になり美しい音色を作り出します。

main rack rear.JPGメインラックの裏側です。ケーブル自体、それなりの重量があります。そのため、かならずプラグやジャックに負担がかからないように、サポート(保持)バーを使用しています。奥行きのあるラックユニットを守る為に、サポートアングルも使用しています。輸送時にラックのリアパネル側が揺すられないため、ユニットの故障や配線の接触不良等を防止します。また、配線の確認や変更がし易いように、手が入れやすい配線を心掛けています。

rear1.JPGメインラック右側の裏側です。電源ラインが左側を通り、信号ラインが右側を通るようになっています。








rear2.JPGメインラック左側の裏側です。ペダルドローワーが4つもあるので、この部分の配線が一番苦労しました。ドローワーを引き出す際に、ケーブル同士が当たらないように工夫しなければなりません。ケーブルの長さを決めてからプラグを半田付けしていくため、非常に時間がかかる作業となります。



amp rack.JPGこちらはアンプラックです。上がBogner/Extacy、下が÷13/FTR37です。








amp rack rear.JPGアンプラックの裏側はこのようになっています。非常にシンプルです。










amp rack junction box.JPG写真のシグナルジャンクションボックスを使用して、メインラックと接続を行っています。









pedals.JPGShinjiさんの立ち位置に置かれたペダル類で、右からRocktron/ALL ACCESS、Wah Pedal、Whammyです。Wah Pedal、Whammyの信号ラインは、出力側にアイソレーション・トランスが入っている為、長くステージを引き回してもノイズが乗りにくい回路になっています。



junction box.JPG足元のペダル類はこのジャンクションボックスを通して接続されます。


今回のShinjiさんのシステムは、これまでFree The Toneが培ってきた技術のノウハウを集結し製作いたしました。Shinjiさん、半年以上待っていただいてありがとうございました!Shinjiさんの奏でるギタートーンの一助になればと思います。これから始まるツアーが楽しみです。

Shinjiさんご自身のブログにも、今回製作したシステムが紹介されていますので、そちらも是非ご覧ください。アドレスは、こちらです。


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奥田民生さん、小原礼さんのライブ機材をご紹介 [楽器機材]

先月まで行われました、奥田民生さんのツアー(okuda tamio tour 2011-2012 ~おとしのレイら~)で使用された奥田さんとベーシスト小原礼さんの機材をご紹介いたします。
PEDALBOARD.JPG
こちらは、奥田さんの足元に置かれているペダルボードです。中心に置かれているオレンジ色のペダルボードは、奥田さん用に製作させていただいた特注品です。右からWahペダル、FREE THE TONE CUSTOM/SONIC DRIVE 2、Providednce/DLY-4、BOSS/DM-2、BOSS/TUNER、Providence/Phase Force、MXR/FLANGERが接続されています。


SONIC&DLY.JPGFREE THE TONE CUSTOM/SONIC DRIVE 2、Providednce/DLY-4をお持ちの方には、このセッティングは参考になると思います。ディレイタイムは262msecになっていました。




AMPS.JPG今回使用されたアンプは、Marshall/1959、Fender Vibrolux Reverb、そして新しく導入されたREINHARDT/STORM33アンプです。このアンプは、マーシャル系のロックなサウンドを持っています。残念なことに、現在REINHARDT社はアンプの生産をしていなそうです。


VELVET.JPGアンプの上にセッティングされたProvidence/VELVET COMP。










INPUT SELECTOR.JPG次は、小原礼さんの機材です。これは、小原さんにカスタムで作製したインプットセレクターです。インプットは3系統あり、選択したい入力のスイッチを踏めば、その入力のみ選択されるようになっています。各入力はレベル調整が出来るようになっています。




BASS BLASTER.JPGこちらはFREE THE TONE CUSTOM/BASS BLASTER。ベース用オーバードライブです。右から、GAIN、TREBLE、BASS、LEVELとなっています。内部は±15Vで動作していますので、十分なダイナミックレンジを確保することができます。






Ray_tuner.JPG小原さんの足元には、MUTE用リモートスイッチとチューナーが置かれています。このMUTEスイッチはカスタム・インプットセレクターのミュート機能をリモートします。また、チューナーへの送りの信号はインプットセレクターから送られています。




SVT.JPG小原さんが昨年還暦を迎えられたと言う事で、赤くデコレーションされたAMPEG/SVT。ビンテージ品です。

奥田さんのライブはいつも気持ちが安らぎます。早く次のツアーを見たいなぁとツアーが終わるたびに思います。また、次回が楽しみです!
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