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関西の方がアンプの音の鳴りが良い!? [技術]

「関西の方がアンプの音の鳴りが良いんだよね~」私がこの業界で仕事をするようになった時には既にこう言われていました。大雑把に関東と関西で何が違うかというと商用電源(AC100V)の周波数が違います。関西は60Hzで関東は50Hz。ここでは話を分かりやすくするために、関西60Hz、関東50Hzとして話を進めさせていただきます。
震災の影響で電力会社が電力を融通しあう時にネックになったのも、この電源周波数の違いです。新聞やニュースで取り上げられていましたので、御存知の方も多いと思います。この商用電源周波数についてはこちらに詳しい説明が載っていますのでご興味がある方は読んでみてください。こちらです。

ところでこの50Hzや60Hzというのは何を表わしているかというと、50Hzの場合、1秒間あたり50回の電気的振動が繰り返されているという事を表しています。50Hzの場合は1秒間に50回ということになります。50Hzと言う事は0.02秒(20mSec)に一度、電気的振動を行っている事になります。少し分かりにくいので、弦楽器の振動に言い換えます。太く長い弦を弾いた時、低い周波数の50Hzの音が出たとします。この時、弦は0.02秒(20mSec)に一度振動し、往復しています。

サイン波.jpg少し話がそれますが、日本の商用電源はAC100Vです。実際にその電気的振動を波形で確認してみると、サイン波といわれる形の波形を見る事が出来ます。(状況によっては歪んでいたりスパイクノイズ等が混入している場合もありますが、ここでは除外します。)少しずつ上昇して頂点に届くと、少しずつ下降します。下の頂点に届くと再び上昇します。これを繰り返しているわけです。AC100Vと言われていても、実際の上側(プラス側)頂点の電圧値は約AC141V。下側(マイナス側)の電圧値は約マイナスAC141Vです。その差282V!!!

話がそれてしまいましたので話を戻します。なぜ、関西の方が(60Hz)の方が音が良いと言われているのでしょうか。特にアンプの場合は電力を消費します。スピーカーを駆動するエネルギー効率はかなり悪いですし、まして真空管アンプの場合は、かなりの電力を消費します。電力を消費すると言う事は、アンプは電源供給元からどんどん電力を吸い取っているわけです。供給側はどんどん電力を送りださなければなりません。もうお分かりだと思いますが、関東では1秒間に50回エネルギーを供給しているのですが、関西では1秒間に60回エネルギーを供給しているのです。エネルギーが十分に供給出来ている方が、アンプの反応も早いですし、楽器のダイナミクスに十分な反応を示します。関東に比べて関西は20%アップの割合で電力供給している為に、アンプの鳴りが良いと言われています。

ちなみに、ライブツアー等で持ちまわる安定化電源で、周波数を切り替えて使える物がありますが60Hzに設定して使用している場合が多いようです。


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楽器の位相問題について(2) [技術]

音を作っていく上で重要な「位相」について書いていきます。多くの方が「位相」という言葉を知っていると思いますが、具体的にピンとくる方は少ないのではないでしょうか?既に知識をお持ちの方には物足りない内容だと思いますがおつきあいください。

音を作る上で、具体的に必要と思われる「位相」についての知識は、「正相」と「逆相」です。
例を挙げて説明します。あまり専門的な言葉を使うと分かりにくくなると思いますので、あえて使わないようにします。
スピーカーが目の前にあるとします。音が出ているスピーカーは前後に振動して空気を振るわせています。スピーカーが動き出す瞬間、スピーカーが自分に向かって(前へ)動き出す時、位相が「正相」と呼ぶ事にします。逆にスピーカーが自分の方向と逆に向かって(後ろへ)動き出す場合、これを位相が「逆相」と呼ぶ事にします。
「正相」と「逆相」に動くスピーカーを用意し、全く同じ音を同じ音量で鳴らした時、どのような事が起こるでしょうか?「正相」と「逆相」スピーカーの特性が全く同じとすると(そのような事は実際ありませんが、、、)音が聞こえなくなります。「正相」の音と「逆相」の音が打ち消し合うからです。数字の「1」と「−1」を足すと「0」になるのと同じです。
皆さんがご存知のノイズキャンセリングヘッドホンも同じ原理です。消したいノイズに対して「逆相」のノイズを加えて打ち消すようにすると聴こえていたノイズが少なくなっていきます。

「正相」と「逆相」スピーカーの音が消えないようにするにはどうすれば良いでしょうか?一番シンプルな解決方法はスピーカーに接続されている配線を入れ替える方法です。スピーカーには「+」と「-」の端子が用意されています。ここに接続されている配線を入れ替えるのです。すると、「逆相」で鳴っていたスピーカーが「正相」で鳴るようになります。当然の事ですが、両方のスピーカーが「正相」で鳴った場合は1台のスピーカーで鳴らしている音量より、さらに音量が上がって聞こえるようになります。

ギターやベースアンプを同時に2台鳴らした時、音量が上がる事を予想する訳ですが、中低域の音量が思ったほど上がらない場合があります。また両方のアンプを並べて両方の音を聞いてみると、合わさった音が気持ち悪い事があります。(気持ち悪いという言い方以外に適切な言い方があれば良いのですが、、、ボキャブラリーが少なくてすいません)この場合、1台のアンプに対して、もう1台のアンプが逆相でになっている事がほとんどです。アンプがマルチチャンネルアンプ(2つ以上の音色を切り替えて使用できるアンプ)でない場合、スピーカーの「+」と「-」の端子の配線を入れ替えるのが一番早い解決方法です。
スピーカーを2発以上使用している場合は、キャビネットのインプットジャックで「+」と「-」を入れ替えたり、スピーカーケーブルのプラグに接続された配線を入れ変えるのが簡単な方法です。
マッチレスのDC30コンボアンプにはスピーカーの位相を変えるスイッチがリアパネルについています。良く考えられたプロフェッショナルな仕様です。

その他、アンプに入力する手前で位相を変える解決方法もあります。具体的には、オペアンプなどを使用した逆相回路を使用する方法と信号用トランスを使用して位相を変える(反転する)方法があります。

つづく





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楽器の位相問題について(1) [技術]

今回は非常に重要な楽器の位相の話をしようと思います。

あまり知られていないのですが、多くのワウペダルやペダルタイプのコンプレッサーはエフェクト・オンにすると位相が逆転して逆相になります。
いくつかのマルチチャンネルのアンプは、あるチャンネルだけが位相が逆相になっています。センドリターン回路をオンにするとアンプの出力が逆相になってしまうアンプも多く見られます。
また、なかなか気付きにくいのはディレイ音の逆相です。

バンド演奏中、ある音色だけ聞こえにくく、バンドサウンドの中で埋もれてしまう事はないでしょうか?また、イヤモニである程度音量を稼いでいても、聞こえにくくなることは無いでしょうか?
それはPAやモニター側の問題でないことが多く、使用している機器の組み合わせが原因で、スピーカーから逆相で出力されていることが多いのです。PAエンジニアがフェーダーを上げても、実質音量は上がって聞こえません。

機器類だけの例を挙げましたが、ギターやベースの本体で起こるデッドポイントは、弦と楽器本体の持つ固有振動の位相差が原因で起こります。

音楽関係の仕事に20年以上携わっていますが、位相の問題が非常に把握しずらく解決しにくい問題です。多くの方に知識として知っていただきたいと思いますし、これから説明していく中で解決方法等も紹介して行きたいと思います。

つづく

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本でも書こうか?! [技術]

最近、ライブやミュージシャンの話題も良いと思うのですが、自分にしか書けない技術的な内容をもっと書いていこうと思います。本でも書くか(笑)。なかなか実用的で役立つ本て、以外とないからなあ、、、。どこかの出版社から話が来れば、頑張って書くんだけど・・・(笑)

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お薦めの本(グランディング&シールディング) [技術]

以前、在籍していた日本ビクターの大先輩から薦められた本があります。技術者であれば必須のグランディングやシールディングに関する技術本です。
「Grounding and Shielding Techniques」Ralph Morrison著
という本です。英書ですので読破するには時間がかかるかもしれませんが、内容は大変充実しています。グランディングやシールディングの技術は、機器単体の設計でも重要ですが、システム(機器を複数接続する場合)の設計時には、さらに重要になってきます。グランディングやシールディングに特化した技術書はあまり見かけません。この本は非常に重要な本だと思いますので、是非読んでみてください。
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