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楽器の位相について(2) 〜位相と周波数〜 [技術]

今回は位相と周波数(音の高低)についてです。

周波数の話をする前に、位相の基本的な現象について少し触れます。
・同じ音が2つ、同じ位相(同位相)で出ているとき、音の音量が上がります。
・同じ音が2つ、片側は正相、片側が逆相で出ているとき、音量が下がります。
位相という言葉を使うと分かりにくいと思いますので、別の例えで言い換えてみます。

海や大きな湖などで見ることができる波を思い浮かべてみてください。波と波が重なる時、大きく山なりに盛り上がる場所と、逆に谷となって沈みこむ場所や平になる場所があります。山なりの場所は、同相(この場合は正相と正相)が重なった場所。平らになった場所は正相と逆相が足されて、打ち消しあった場所。谷となった場所は、逆相同士が重なった場所。このように考えると分かりやすいのではないかと思います。

波でも想像しにくい場合は、少し飛躍してしまいますが、ブランコを想像してみてください。ブランコが進もうとする方向に力を加えると(乗っている人の背中を押すと)進もうとする方向にさらに勢いがつきます。これが同相の2つの音が加わった場合のイメージです。
ブランコが進もうとする方向と逆に引っ張ろうとしたり、地面を足ですってブレーキをかけると、ブランコのスピードが落ちます。これがある音(正相)に対して逆相の音が加わった時のイメージです。

次に「周波数」という言葉を絡めてお話を進めます。周波数という言葉に馴染みが無い方もいらっしゃるかもしれません。音の高低を表す際に使用する言葉ですが、「周波数が高い」とは音が高いという意味で「周波数が低い」とは音が低いという意味です。(大雑把な言い方ですが)ピッチが高い、ピッチが低いと言い換えることもできます。

位相を分かりにくく複雑にする原因の一つが、この「周波数」によって変わる「波長」です。
波長は言葉の通り波の長さです。例えば、ギターの基準音の440Hzは、波の長さ(1周期)が約77cmです。(音速340m/Sとして440Hzでは、340/440=約77cmなので波長が77cm) ということは、77cmごとに波の「山」があり、山と山のちょうど半分の所に「谷」が発生するということになります。この「山」を基準とすると、谷の部分が「逆位相(逆相)」となります。人間の耳に聞こえる低い周波数の限界が20Hzと言われていますが、20Hzの信号を伝えるためには、約17mの距離が必要となります。17mって凄く長いですよね?(笑)

さらにさらに困るのが、低音域ほど空気を伝わるスピードが遅くなるという事実です。広い場所で、「せーの!」で金属の高い音と、バスドラの低い音を「同時」に出したとします。かなり離れた場所で音を聞いていたとすると金属の音が早く聞こえ、そのあとにバスドラの低い音が聞こえるわけです。

波長が長く、伝わるスピードが遅い低音域ほど、扱いにくいという訳です。さらに波長が長いため、人間の耳には、低い音であればあるほど、どこから音が出ているのか把握しずらくなります。この特性を利用したのがサブウーファーです。サブウーファーの設置場所は思ったほど厳密ではありませんし、一般的な部屋で使用するサブウーファーは1個で、ステレオペアで無いのはこのためです。

前回、正相と逆相の話をいたしましたが、音が低い音ほど波長が長いため逆相の影響を受けやすくなります。例えば、ドラムのキックの音や、ベースの音、ギターの巻弦側の低音域などが影響を受けやすくなります。逆に、音が高い音ほど逆相の影響を受けにくくなります。ギターソロでハイポジションをプレイしている時などは逆相の影響を受けにくいということになります。

・低音域は、位相の影響を受けやすい。
・高音域は、位相の影響を受けにくい。
位相を理解するために、周波数(波長)についても考慮が必要と感じて頂ければ幸いです。

次回は、ギターやベースの位相についてお話ししようとお思います。


タグ:位相
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