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楽器の位相について(3) 〜ギターやベース〜 [技術]

今回はギターやベースの位相についてです。

皆様がご存知の通りエレクトリックギターやエレクトリックベースには、コイルと磁石を使ったピックアップが、弦の下にマウントされています。磁性体の弦が揺れることによって微小ながらピックアップに電気信号が流れ、この電気信号がシールドを伝って、接続されたエフェクターやアンプに流れます。

ギターやベースのピックアップに使用されている磁石には、ご存知の通り、S極とN極があります。ピックアップに使われている磁石のS極とN極を入れ替えると、電流の流れる方向が逆になります。
また、コイルとして巻かれるワイヤーにも、「巻く向き」があります。ワイヤーを巻く向きを変えても電流の流れる方向が逆になります。

ギターやベースの製造メーカーや、ピックアップ製造メーカーは、これら磁石の向きやコイルの極性を管理した上で製造しているわけです。ピックアップをご自身で交換した方は、ご存知だと思いますが、ピックアップから出ているワイヤーの被覆には色が付いていて、ピックアップの極性を間違って逆に配線しないように工夫しています。ハムバッカータイプのピックアップは、最初から一芯シールド線がピックアップから出ていて、配線し易くなっているものも多数あります。

少し長々と説明してしまいましたが、ピックアップは、磁石の極性やコイルの極性を変えることで、電流の流れる方向が変わる特性を持っています。ということは、ピックアップにも位相(極性)があるということになります。

先にピックアップ側から説明しましたが、今度はギターやベースの弦側からご説明します。
ピックアップの上を弦が行ったり来たりすることで、微弱な電流が生じコイルに電流が流れるわけですが、弦がピックアップに対して、下に動いた時と上に動いた時では、電流の流れる向きが異なります。ピックアップに対して弦が上下に振動することで、電流の流れる向きが変化する信号が生まれます。
もうお気付きだと思いますが、弦をピックで弾く方向を変化させるだけで、信号の位相(極性)が変わります。
ピッキングが音色を変化させる重要な要素の一つですが、ピッキングによって位相も変化させることができるのです。

こうなってくると、ギターやベースの位相が正位相で出力するのか、逆相で出力するのか分からなくなってきますよね。これは私の個人的な見解ですが、ギターやベースから出力するのは、どのような位相であっても良いと思います。演奏家は、耳を使って、ピックアップを選択し、ピッキング方法を変化させ、良いトーンを得られるように工夫します。位相は使用している楽器、奏法とも密接な関係があります。

次回は、楽器用アンプの位相についてお話ししようとお思います。
タグ:位相 楽器
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