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楽器の位相について(5) 〜エフェクターと測定方法について〜 [技術]

今回はエフェクターと測定方法についてです。

エフェクターは本当に様々で、使用されている電気回路によって位相も変化します。
測定の手法が異なることで、話が食い違う場合も出てくるかもしれませんので、測定方法について少しご説明いたします。エフェクターの位相については、測定する場合、大きく分けて2つあります。

(1) 時間軸を考慮しないで、波形の向き(極性:ポラリティ)を測定する場合
電気的にプラス側からスタートするテスト信号をエフェクターに入力します。エフェクターからプラス側からスタートする波形が出力すれば、位相は正相が出力すると言えます。この場合、極性(ポラリティ)はプラス(+)側です。
例え波形が出力するタイミングが遅れたとしても、プラス側からスタートする波形が出力すれば、エフェクターとしては、同位相の信号を出力するわけですので、正相の信号を出力したことになります。
あくまで信号の波形の向きを調べていて、時間軸は無視しています。そのため、極性(ポラリティ)がプラス、もしくはマイナスという言い方をします。
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(2)時間軸を基準にした位相測定
時間軸を基準に位相を測定する場合は、入力した信号と出力した信号を同時間で比較し、位相を測定します。一番わかりやすい例としては、テスト信号の山の部分と、エフェクターから出力する波形の山が一致すれば、正相で出力していると判断します。逆に、テスト信号の山の部分と、エフェクターから出力する波形の谷が一致している場合は、逆相で出力していると判断します。

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時間軸を基準に、位相を測定する際に困ることがあります。テスト信号の山の頂点とエフェクターから出力する波形の山の頂点がピッタリ一致せず、ほとんどの場合、少しずれているからです。例えば、FUZZペダルは、微弱な信号でも大きく増幅するため入力波形が崩れてしまいます。元々あった頂点の場所は、どこにあるのかよく分からなくなってしまいます。このような場合は、FUZZのGAINを下げ、増幅率を下げて測定してみます。テスト波形に形状が近くなれば近くなるほど、位相の測定はし易くなります。

時間軸を基準にすると位相の測定ができないエフェクターもあります。
例えばコーラスやフェイザーのような、常時位相を変化させているエフェクターです。ある時は正相、ある時は逆相、ある時は90度位相ずれなど、掴みどころがありません(笑)
時間軸を基準にして位相が測定できないコーラスやフェイザーですが、前述の極性は測ることができます。

そして信号処理をデジタルで行なっているエフェクターも、位相の測定に困るエフェクターです。AD/ADコンバーターを経由する時間や、演算処理の時間が必要なので、デジタルエフェクターでは音の遅延が発生します。時間軸を基準とすると、入力信号に対して位相がずれた状態になります。デジタルエフェクターも極性は測ることができます。

極性がプラスのエフェクターでも遅延が発生していると、結果として位相はどうなるの?という疑問が湧くと思います。入力信号に対して、出力信号が遅延しているということは、位相がずれているということになりますが、どれくらい遅延時間が発生しているのかによって、どれくらい位相がずれるのかが変わります。入力信号と、デジタルエフェクターを通過した音(例えば、デジタルEQでほんの少しエフェクト処理した信号など)をミックスしてみましょう。どんな音になるか試して見るのも面白いと思います。ProToolsなどをお持ちの方は、何サンプルくらいエフェクト音が遅延するのかチェックして見るのも良いと思います。

次回は、エフェクターの逆相についてお話ししようとお思います。
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