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イギリス滞在記(24)最終回! [音楽]

9月24日(火)

今日は朝からロンドンへ出発だ。目指すは、バッキンガム宮殿。エリザベス女王の在位50周年記念のプレートを探しに出発。ビクトリア駅で降りて、歩いてバッキンガム宮殿に向かった。多くの人が同じ方向に向かっている。みんなバッキンガム宮殿に行くんだな。行く道にバッキンガム宮殿の中への入り口を見つけたので、5ポンド払って入った。そこは、いろんな馬につける蔵や馬小屋、馬に乗るための訓練学校、馬車などが展示されており、想像していたような感じではなかった。あれ?と思いながらショップに入った。ショップの中には、いろんな商品が並んでいて、どれもこれもオフィシャル商品ということで、値段が異常に高かった(苦笑)そのなかに、ジュビリーのプレートを発見。おお、品がよくてなかなか良いではないか!お店の人がちゃんと中を見せて割れていないかどうか確認させてくれた。おお、さすがバッキンガム宮殿内のショップは違う!

無事買い物を済ませて、バッキンガム宮殿の正面を見てから場所を移動しようと思っていたら、宮殿の中へ入れるらしく、人の行列が出来ていた。おお、9月末まではバッキンガム宮殿の中に入ることが出来るんだ!ラッキーとばかりに早速チケットを買いに行き、12時からの入場のチケットをゲット!相当な人数の行列に並び、中に入った。中は驚くほどの装飾品が飾ってあって、こんなところに住めるのかなぁと思うくらい異様な雰囲気であった。美術館の中に住むような感じだ。感動しながら、仮設した感じのショップに入り、小さなぬいぐるみを買って、バッキンガム宮殿を後にした。

次に向かうは、デンマークストリート。ここでお土産に音楽関係の本を買おう。いくつか楽譜等を扱っているお店に入った。なかなかいい本がないと思っていたら、ピートが音楽関連業者の住所などを確認するために調べていた本の最新版が置いてあった。50ポンドもしたが、今後の役に立つと思い購入した。
*この本はどこかに行ってしまい見つかりません(苦笑)

そのあと他のお店に入って、ビートルズのギアブックを見つけた。しかし、その隣に最近出たと思われるビートルズの本があるではないか!中を見てみると、こちらのほうが面白そうだったので、こちらにした。さて、お土産も仕入れたので、帰ることにした。

5時半くらいに工房につきメールチェックと近鉄に連絡をさせてもらった。その後、時間は少なかったが、何点か技術について教えてもらった。
まず電源トランスを最大定格のぎりぎりで使用しないこと。ほとんどのメーカーは、ぎりぎりのトランスを使用するため、ほとんどが熱くなったり溶けたりする。ボスのACアダプター(以前発売されていたトランスを使ったタイプのACアダプター)だけが、ピートの行なうチェックを通ったそうだ。ジミーページのペダルボードは、大きな容量のトロイダルトランスを使用しているそうだ。必要な容量の倍近くのトランスを使用するようにしているそうだ。ぎりぎりでトランスを使用すると、ハムフィールドが広範囲に広がり、ハムを拾いやすくなるとの事だ。日本で良いトランスが見つからなかったら、いつでも送るので言ってくれればいいよと言ってくれた。

それから、ピートは預かったミュージックマンのアンプを修理していた。入力部は全てIC構成になっていて、トレモロエフェクトが非常に面白いものであった。途中で逆相になってミックスされるところがあり、ふしぎな感じのトレモロ効果であった。交換したコンデンサを見せてくれた。小さな穴が開いていて、中から噴出したあとがあった。それからリバーブがかからない現象があって、調べてみるとワイヤが断線していた。これは直らないそうだ。構造上修理できないのでこのまま返却すると言っていた。

帰り際、ピートがお土産と言って、紙袋を渡してくれた。なんてやさしいんだ。きっとリンダが用意してくれたんだな。ピートに何度もお礼を言った。おまえのじゃないからな!とか言ってるし。まったく。明日は、車を返しに行くので朝10時から10時半くらいに家に来てくれることになった。今晩は部屋の方つけと、パッキングで忙しくなるなぁ。冷蔵庫のものも整理しないと。


9月25日(水)

今日は帰国の日。早起きして部屋の片付けを終え、スーツケースに荷物を詰め込んだ。そのあと大家さんに挨拶をしに行ったら、風景画をイギリスのお土産にと言って渡してくれた。本当にありがたい。もっと居て欲しかったと言われたので泣きそうになった。家の玄関は締めなくていいからねと言われたので、鍵を渡してお別れをした。良い大家さんと出会えて良かった。またイギリスに来た時は、何かを持って挨拶に来よう。
ピートが迎えに来てくれたので、荷物をトランクに詰め込み、一緒にレンタカー屋さんに車を返しに行った。事故もしなかったし、ぶつけることも無かったので、すぐに手続きが終わった。ピートが、「だいたいレンタカーを借りた時は、どこかぶつけることが多いんだが、どうやってぶつけないで過ごせたんだ?」と言って来たので答えに困った(笑)「運転上手いからだよ」と笑って答えたがピートは凄いなと感心していた。イギリス人は運転荒いのか?

リンダが買い物をしているショップに迎えに行き、3人でヒースロー空港まで移動した。道中は、みんなでこの約2ヶ月の思い出話をして過ごした。ピートは、「俺はこの2ヶ月、良くやったと思う。独立してから人に教えながら仕事をするのは初めての経験だからな。Yuki、お前も良くやった。毎日、日記を書いたりノートにメモを取ったりしていただろう。その姿勢に感動したよ。誰でもできることではないと思う。」と褒めてくれたので非常に嬉しかった。リンダもピートを褒め、自分もピートを褒め、さらに次は二人でリンダを褒め、褒めあって車内での時間を過ごした。
ヒースロー空港に到着し、飛行機に乗るまで少し時間があったので、紅茶を飲もうということになって空港内のショップに入った。イギリスの紅茶は自分には強くて、最初は胃が痛くなったが、今では慣れてしまって砂糖なしで美味しく飲める。しばらく飲めないなぁと思いながら紅茶を飲んだ。

ピートとリンダが、日本に帰ったらどんな感じで仕事をスタートするんだ?と言うので、まずは仕事をする場所を確保して、カスタム品を作ったりペダルボードやラックを組んだり、リペアができるように少しづつ準備をする。プロミュージシャンとの仕事をメインにしたいと言う話をしたら、リンダが良い話があると、ある出来事を話してくれた。

あるミュージシャンに招待されて、ライブを見に行った時の話。ライブ中、ギターの音が急に小さくなってしまい、1曲か2曲、音が出ないまま進んで行ってしまったそうだ。とにかくケーブルを交換して、音が正常に出るようになり、ライブは無事終わったらしいのだが、あとで機材のメンテナンスをするために機材を一式預かったそうだ。調べて行ったら、つなぐと音量が下がるケーブルがあり、その原因がプラグの汚れだったそうだ。「たった1本のケーブルでも、たった1本のプラグでも、正常でなければ音が出なくなったり、音量が下がったりするのよ。ギターやアンプを大切にメンテすると思うけど、ケーブルも大切にメンテしないとダメなのよ。」とリンダが丁寧に説明してくれた。「音を解き放つために、プラグを綺麗にクリーニングしないとね。」と言った途端、ピートが、「それは良いフレーズだな。うーん。」と少し考えて、「Yuki、Free The Toneと言う名前の会社名はどうだ?良い名前じゃないか。」リンダもそれは良い名前ね!とピートに賛成し、私の顔を覗き込んだ。うーん、日本人には馴染まない言葉だけど自分には絶対思いつかない言葉だし、海外の会社みたいだし、なんかカッコいい!即決で、会社名を「FREE THE TON」にすることにした。ピートがメモ用紙に「FREE THE TONE, LTD THE HOLITIC APPROARCH TO SYSTEM DESIGN」と書いた。「これがYukiの目指す道だ。大変な道のりだが、お前ならできると思う。」とメモをちぎって渡してくれた。これは期待に応えなきゃ!ここまで色々教えてくれたピートとリンダに顔向けできない。
それから子育てについてのアドバイスをもらったあと、飛行機に乗るためにゲートに向かった。ピートとリンダとハグをして、心からのお礼を言い、泣くのをこらえながら手を振ってお別れした。

しかし、冷静に考えると日本から訳の分からない若僧を迎えてくれて、本気で特訓してくれた。何かの形で恩返しをしなければバチが当たるな。日本に帰ったら忙しくなるけど頑張ろう!
妻の出産も近いし、やることいっぱいだ。

終わり

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ピートが空港で書いてくれた社名。今は、ちゃんと額に入れて飾ってあります(笑)

お二人と.JPG

前回は、2017年の冬にロンドンでお二人にお会いしました。

<あとがき>
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。24回に渡り、約18年前の日記を公開させていただきました。読み返すと、全く覚えていない事も多々あり、自分の記憶力の無さもありますが、記録しておく事の重要性をあたらめて感じました。人の記憶はあてにならないものですね(苦笑)

ピートから、技術的な事も多く学びましたが、仕事の姿勢、仕事との向きあい方というものを一番学んだと思ます。例えば、その回路は本当に考え尽くした回路なのか。作った後、本当にそれは良い音がするのか(時間をかけて回路だけでなく音の検証をしたのか)、耐久性含め何年も使ってもらえる製品なのか、などなど。自分との戦いに近い部分が多々あります。私もピートに負けじと精進し続けなければと思っています!

ピートのカスタム品などの製品・作品は、イギリス本国のサイトでご覧いただけます。
ピートコーニッシュ氏のサイト

左側にTHE QUEEN YEARSというメニューがあります。このメニューを選択すると、ブライアンメイの機材情報が載ったページに進みます。このページの一番下の方へ進むと、QUEEN MEMORABILIAというリンクがあります。このリンクをクリックすると、当時、私がピートに見せてもらった色々なQUEENグッズの写真を見ることができます。

また、ピートが製作したエフェクターやカスタム品も、是非ご覧ください。スイッチの位置やノブの色使いなど、ピートならではのこだわりが随所に見られます。

日本では、フリーザトーンが運営する「Tone Gold」というオンラインショップにてピートコーニッシュ製品をご購入いただけます。今でも完全に手作りで製品作りを行なっています。是非、こちらもご覧ください。
Tone Goldのサイトはこちら

最後になりましたが、日記をお読みになって、感想やご質問など、何かございましたらコメント欄にご記入ください。ありがとうございました!

また、このブログを使って、色々お伝えして行こうと思います。
引き続き、よろしくお願い致します。






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イギリス滞在記(23) [音楽]

9月22日(日)

朝から日本に送るためのリスト作成をした。量が相当あるので、リストアップして梱包箱番号を明記し価格をつけるのが大変だ。なんとか午前中に終わらせて、ピートの自宅に出かけた。今日は、最後の週末になるので、ランチを一緒に食べて出かけようということになっている。

騎士と.jpeg
城の中.jpeg

今回もランチをご馳走になり、バトル・アベーという僧院に連れて行ってくれた。ここは、1066年にイギリスがノルマンディー軍に敗北した戦場だそうだ。ちゃんと日本語のオーディオツアーが用意されていたので、内容を理解することができた。イギリスの歴史にはフランス側との戦いがずっとあったそうだ。
ここで何点かお土産を買って、そのあといい所に連れて行ってあげようと言われて着いた所が、海だった。すごく綺麗で、真っ青な海だった。海岸は砂地の所もあったが、ほとんどが小石サイズの丸まった石であった。
海.jpeg

海2.jpeg

ピートとリンダに海をバックに写真を撮ってあげますよと言ったら、幸せそうに腕を組んで写真を撮ったあと、ピートがリンダにキスをしていた。ほんと仲がいい!
さて家に帰って、最後の荷物の整理だ。明日は荷物を出さなくては!


9月23日(月)

今日は朝から、アンプの梱包をした。大きなアンプの梱包は、近鉄エクスプレスがやってくれるといっていたが、ピートの工房から近鉄の倉庫まで裸でもっていくわけにもいかない。ダンボール等を探して梱包し始めたが、こうなったら全部自分でやったほうが、安上がりだなと思って、マーシャルのキャビネット以外は、全部梱包した。21個口だから結構な量だ。

梱包が終わり、ピートにやる仕事ない?と聞いたら、やすりがけするか?と聞かれたので、この際、練習させてもらおうと思い、ペダルエフェクター製作の手伝いをさせてもらった。バッテリーボックスの穴は角穴なので、結構大変。10個くらいやったら、腕はぱんぱんになってしまった。ピートは一日中でもやってられるぜ!といって笑うのだった。

ランチを食べながら、今度作るフルシステムは、アンプをソルダーノに頼んで作ってもらうらしい。ピートのラックシステムがロスで売れるのは、初めての事だと言っていた。そういえば、ラスティーアンダーソンが、フリードーマンというラックを組んでいる人に、システムの製作を頼んだらしい。

ハムノイズの話になった。ルーリードとピートの付き合いが始まったのは、1992年からだそうだが、彼が始めてピートのシステムの音を聞いたとき、約30年間我慢してきたハムノイズが出ていなかったので、涙を流して喜んだそうだ。アメリカでは、ハムは出るものであたりまえのものなんだよ。とずっと言われてきたそうだ。ルーリードは、長年このノイズを解決できないか?と考えていたそうだ。ピートは徹底的にグランドループを作らない主義だ。
ハムの話はさておき、リンダから11月はシステム製作でいそがしくて、手が一杯になるのよと言われた。PMSのルーティングシステム製作が丁度いいタイミングだったので、ほっとした。ピートもリンダも言っていたが、この時期は一年を通すと比較的、時間のある時期にあたると言っていた。あとは12月から1月も比較的、時間があるそうだ。いそいで8月頭からこちらに来て本当に良かった。9月から来ていたのでは、アウトだったなぁ。

午後3時過ぎに近鉄エクスプレスが集荷に来てくれた。作業場がいやに広くなった気がする。そのあとは、時間があったのでピートに真空管の本を読ませてもらったり、出力トランスやインピーダンスの話を聞いた。多くのアンプは、アンプのスピーカー接続のためのインピーダンス表示が不親切で、ユーザーにとって、分かりにくいとピートが説明してくれた。確かにパラレル接続したときの表示なのか、単体で接続したときの表示なのか、非常にわかりにくいアンプが多い。
ピートが教えてくれたが、アンプの適切な出力インピーダンスを調べるには、出力をクリップする寸前にして、接続インピーダンスを切り替え、出力ワットを求め、最大出力の時のインピーダンスが適正インピーダンスになると教えてくれた。トランジスタアンプと真空管は全く違う。真空管アンプは、あるインピーダンスで、出力がピークを持ちそのピークを超えると、なだらかに出力が下がっていく。またこのとき歪率も悪化する。
それから、アンプキャビネットのクリーニングの方法を教えてくれた。なんてことは無いが、金属部を全て外して、お湯に洗剤を入れたものを使って、ブラシでごしごしやるのが一番いいそうだ。これ以外は、綺麗にする方法はないなぁと言っていた。それから、艶をだすため車やさんで売っている、タイヤ磨きをつかうと、新品のようになってさらに良いと言っていた。これはメンテする際に喜ばれそうだ。汚いほうがいいという人も居るかもしれないが(笑)


(つづく)いよいよ次回最終回です。
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イギリス滞在記(22)ルーティングシステム完成! [音楽]

9月20日(金)
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朝、郵便局に寄って郵便を出してからピートの工房に出勤した。ピートは、すでにルーティングシステムのセットアップの準備を始めていた。センターにマーシャルヘッドとピービーのスピーカーを配置。両サイドにエフェクト用として、デラックスリバーブを2台配置した。エフェクターは、ヤマハのSPX1000、BOSS CE-2、DD-2、P-2 FUZZ、NG FUZZを使用した。あらゆるバリエーションでのチェックを行なった。手動でコントロールしたり、PMS-16Uでコントロールしたりして、チェックを行なった。


今回のアンプセットでは、センターのアンプが、両サイドのフェンダーからみて逆相になっていた。
まず、アンプの位相をチェックするときは、ルーティングシステムをMONOにしてから同じ信号をそれぞれのアンプに送り、一つづつ増やしていき、正相か逆相かを確認する。ピートからいくつかのアドバイスをもらった。
「このユニットを持ち帰ったら、自分でいろいろ試して、ミュージシャンがこうしたいと言ったら、不安を持たさないように、すぐに設定できるようにしておくこと。頭のなかに回路を入れておき、信号の流れをわかるようにしておくこと。」
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ピートは、リイシューのフェンダーアンプの中で、デラックスリバーブが一番良いと言っていた。必ずステレオにするときは、同じロットのものを使うこと。フェンダーは、すこしづつ、回路やパーツを変えたりするので、音質が異なる可能性が大きいとも言っていた。

実際にレベル設定が誤っていると、いかにS/Nが悪化するかをデモしてくれた。とにかくギターからいかに大きい信号を取り出せるかが重要だ。ピートがボリュームペダルの位置を、エフェクターの後に接続してキーボード用を使うのが良いと言っているのもうなずける。

つなぎこみを変えたときに、ハムが出た。CE-2ループをONすると、ハムがでる。これはリターン側のシールドを切り配線しないとグランドループになるので、専用のケーブルを容易しないとダメだといわれた。必ず、エフェクターのアウトにつながるところで、シールドを切らなければいけない。(*このカスタムユニットの場合です)
しばらく音だしをさせてもらって、堪能してから、記念写真を撮って梱包の準備を始めた。

記念撮影.png

リンダが、梱包用のダンボールを注文してくれたので、それを使って真空管の梱包をすすめた。数百本あるので、時間がかかったが、なんとか終わりが見えてきた。梱包している間に、ピートがマーシャルアンプの改造をしてあげようと、言ってくれて、改造を始めた。マーシャルのインプットのリンクを内部で行なう改造だ。ハイワットでも同じようにすれば、同じ効果が得られると言っていた。マーシャルでは明らかに、低域のパワー感がアップし、強いパワフルな音が得られる。綺麗に拭いたり、ガリを直してくれたり、非常に丁寧にメンテしてくれた。ガリを直すのに、何かを入れていた。それは何?と聞いたら、これは秘密だから教えない。といわれたので、しつこく食い下がったら、これは俺が作ったスペシャルな物だ、というので、なんだろうと考えていると、ピートがボリュームの素材は、何から出来ているんだ?と聞かれた。カーボンとなんだろうと考えていると、グラファイトとかカーボンだよ、ガリの原因は抵抗体が削られて、減ってきて発生するわけだから、カーボンを入れて足してあげなきゃいけない。クリーナーで流してしまったら、余計に悪くなるのは、このためだと説明してくれた。鉛筆でもいいそうだ。ちょっとこの話には感動した。今までやってた方法は、完全に間違っていたことになる。昔の、ワイヤレスワールドという本の中にその記事が紹介されていたそうだ。ピートも本から知識を得てることが多いらしい。そのあと、メンテの方法を教えてあげるよといって、実際にやり方を教えてくれた。

バイアスの設定について質問をした。バイアスの設定は人それぞれの考え方があるのだが、ピートは寿命を長くするため真空管に電流を流し過ぎないようにするために、浅すぎと深すぎの丁度中間を狙って調整するそうだ。たしかにクロスオーバー歪みを減らすと音がいいのだが、そうすると真空管が熱くなりすぎて、寿命を縮めるので良くないと言っていた。なのでどちらを選ぶかというのが問題になる。この辺は、それぞれの人の考えかたによると思う。

次の質問で、パワー管のマッチングはどうしているのか聞いた。ピートはスクリーングリッドの抵抗の両端電圧を見ながら、マッチングするそうだ。真空管を外して、抵抗を入れて、流れる電流を見る方法もあるが、時間がかかって実践的でないと言っていた。忘れてはいけないのは、一本変えたら、かならず全部の抵抗の電圧を確認すること、パラレルに真空管が接続されているので、影響しあうというのが理由だ。

また負荷をつながないで、スタンバイを入れてしまった場合に何が起こるのか、聞いたら、OPTの一次側のインピーダンスが上がるので、高い電圧が発生し、真空管をダメにしたり、ソケットが焼けたり、最悪の場合は、アウトプットトランスが焼けてしまうと、教えてくれた。

そのあと、いろいろ本を見せてくれた。買ったほうがいいよと教えてくれたのは、RADIO DESIGNER’S HANDBOOKという本で、アメリカの出版らしい。本の番号を控えたので、帰ったら購入することにしよう。それから、ピートがGECの冊子を貸してくれた。本当にYUKIに貸しても大丈夫かなぁといっているので、誰にも見せないし、自分だけの物にしておくから、コピーさせてと頼んだらやっと貸してくれた。ほんともったいぶるなぁ。「ちゃんと返さないと、死ぬことになるぞ!」とかいうので、「死にたくないから盗むのはやめて返すよといっておいた。」おっさん、こういうやり取りが結構好きみたいなんだな。はは。こっちは疲れるぞ!

また、梱包作業に戻った。特に電源トランスの梱包が大変で、手間取った。箱が全部で10箱になった。家に2箱あるし、ソフトケースが2箱ある。アンプがまた7台あるから、全部で21だ。見積もり250キロでとったけど、倍くらいありそうだなぁ。やはり送料30万円くらい行くかもしれない。

梱包が終わりにちかづく頃、ピートはリクエストしていた、回路図を揃えてくれた。希望したのは、マエストロのエコープレックス、ビンソンエコー、ブギーマークⅠだ。とくにエコープレックスの調整内容の資料は誰も持っていないのでは?と言っていた。

それからビンソンの回路図も用意してもらったが、たぶん役に立たないといっていた(笑)回路図が省略されているにもかかわらず、その部分について記載がなかったり、説明や調整内容がちゃんと載っていなかったりするそうだ。そういえば、STUDERの前身のREVOXをQUEENは使用していたらしいが、このマニュアルはすごく丁寧で、大手会社のサービスマニュアル並であった。ピートは、スピード調整の改造をするのが、大変だったと話してくれた。ついでにQUEENのメモリアルグッズをいろいろみせてくれた。当時のツアーカタログや、ツアーパス、バックステージパスなど、全員メンバーのサイン入りのクリスマスカードまで持っていた。すごい!

さて明日は、自分が運転してブライトンにディナーをピートとリンダと行く日だ。楽しみ!しかし今日は、梱包で疲れた。背中がまるまるぜ。お風呂につかりたいが、シャワーしかないんだよなぁ。



9月21日(土)

今日は、なかなかおきれなくて、11時ごろようやく布団から出た。腰が重い。昨日、梱包作業が大変だったからなぁ。今日、車を自分が運転してブライトンまでディナーをご馳走する予定でいたが、夜遅く運転して、事故を起こしたら大変なことになるなと思い、ピートの自宅に電話して、リンダがでたので、事情を説明して、車に乗せてもらうことにした。いやー悪いことしてしまったなぁ。でも何かがあってからでは、遅いので、これでよしとしよう。これも一つの勇気だよな。

その後、ダンブルを所有する知人から連絡があって、アンプが無事届き、作ったフットスイッチも問題なく動いたよということで、非常に喜んでくれた。イギリスでは、随分真空管が高価らしく、プリ管をいくつか選定して、送ってあげる約束をした。しかし、だいぶ電話で会話ができるようになったので、自分でも驚いている。言語は、時間が解決してくれるんだなとつくづく感じた。こちらもお礼を言った後、家に電話した。もうすぐ会えるなぁ。その後、実家に電話したが、いなかったので留守電に日本に帰ることを入れておいた。

洗濯をしてから、Uckfieldに出かけた。お昼は、久しぶりにマックで食べた。その後、ピートから借りた本と回路図のコピーをした。全部で100枚以上あったので時間がかかった。買い物も済ませてから、自宅に戻り身の周りの整理をした。自宅の荷物は少ないので、意外に早く終わった。

6時ごろピートとリンダが迎えにきてくれた。ブライトンに出かけて、日本食のレストランに行った。すごく混んでいて、なかなか料理がでてこなかった。ピートと日本酒を頼んだら、熱燗が出てきた。ピートは、喜んで飲んでいた。こちらも久しぶりの日本酒だったので、かぱかぱ飲んでしまった。しかしうまい!少しのお寿司と刺身を頼んで、ピートと二人でわけた。リンダは、白身の一部の魚しか食べれないということで、見ているだけだったが、ガリを食べてみたら、おいしいというので、おかわりのガリを頼んだ。ピートも喜んで食べていた。
いろいろ話しながら、今回の滞在のお礼を丁重にした。ピートは、よくやったと誉めてくれたし、リンダも本当は私がやる作業をyukiがやってくれたから、自宅で会計士に見せるための資料の整理が出来て助かったと言ってくれた。本当に、いい人たちだなぁ。今度来るときは、全てやり方が分かっているから、自分でやれるしあまり世話をかけないですむ。あえなくなるから寂しくなるなぁと言ったら、またすぐ会えるわよと、リンダが言ってくれた。今度は、家族で来たら良いわよと言ってくれた。ぜひ、家族にイギリスを見せてあげたい。

なかなかメインディシュが出てこなくて、催促したがなかなか出てこなかった。アパタイザに頼んだてんぷらは、すぐになくなってしまって、しばらく話ながら待った。隣の席は、誕生日を祝う会らしく十数名の若い集団が集まっていて、ものすごい大声で話していたので、こちらも大声で話さなければならなかった。うるせー!
やっとメインが出てきて、リンダはお腹いっぱいとチキンを残していたが、ピートはらくらく全部食べて、デザートも食べるというので、メニューを頼んだ。アイスを食べるというので、3つ頼んだ。いやー腹いっぱい。楽しいディナーだった。帰りはリンダが運転してくれて、家まで送ってくれてた。

家に帰ってからテレビをつけたら、デビットボーイとトムハンクスがテレビに出ていて、トークしていた。デビットボーイがテレビに出て、トークしているなんて、想像がつかなかった。楽しそうに笑いながら、話しているではないか!そいえばこの間見たテレビある番組の曲はルーリードが提供していたし、こちらでは普通に耳にすることができるのだなぁ。しかし、こちらのテレビは、日本のニュースをやらないなぁ。リンダが言っていたが、日本に行ったときにイギリスの新聞を買いたかったらしいが、全てアメリカの新聞ばかりだったので驚いたそうだ。


(つづく)
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イギリス滞在記(21) [音楽]

9月18日(水)

今日は朝からピートは調子が悪そうだった。なんでも夜サックスを吹き始めてしまったので、夜中まで吹いていて、睡眠時間が短かったそうだ。
最後の分のパーツのリストアップを済ませ、ピートに金額を見てもらった。多くは、適当な値段だから問題ないよ。と言っていたのだが、電源トランスとブライアンメイのAC30に入っていたEL84の真空管の値段を見たら、怒り出して(本気で怒っているわけではなく、いつもの調子の怒り方だが)ふざけた値段だ!この値段じゃ売れないからリストから削除しようと言うことになった。まあいいけど(笑)

イギリスでの一般的な真空管アンプの電源トランスの価格を聞くとかなり高価だった。最低150ポンド約3万円だ(当時のレートでの価格)。まあいいかと思っていたら、金額を考え直して、再度オファーしてくれときたので、もうしかたない30ポンドでどうですか?と聞いたら、それなら問題ないと来た。もうおっさん!(笑)

とりあえず、金額と内容のすり合わせを終えてから梱包を始めた。午後ずっと梱包だったので疲れた!でもまだ半分近く残ってる。がんばって早く片つけてしまおう。

ピートから、セルマーのアンプを買わないかといわれた。昔からずっと使っていた真空管アンプで小型の物だが、ピンクフロイドのシステムを製作している時代にずっと使用していたものだそうだ。歴史あるものなので、買いたいと話して、ピートとリンダに記念にサインをもらった。いやっほー!自分へのお土産だ(笑)

ところでピートはエフェクトループ側のワイヤリングを9割くらい終わらせて、各ループのチェックをはじめた。音だしして、エフェクトON/OFF時の音質の差が無いことを確認していた。入力には、A/B/Cボックスを使用して、バランスに変換し、ユニットに信号を入れていた。エフェクトセンドリターンのボリュームにケーブルをつながなくても信号はユニティーゲインで通るようになっていて、ボリュームに何かの異常が発生してもゲインが上がらないようになっている。さすが!
明日は、朝からモレックスの圧着を頼むよ!と言われた。握力がなくなるまでがんばりますよ!先生!

帰りがけにエコープレックスの修理方法の話を聞いたら、修理は簡単だよとか言っていた。いやそんなに簡単じゃないはずだ。よく話を聞くと、調整マニュアルを持っていて、さらに調整用のジグが必要だそうだ。やはり、知ってなければ直せない内容じゃないかぁ、まったく。教えてもらいたいなぁ。



9月19日(木)

今日は朝からFX側のルーティングシステムを完成させるべく、内部配線の手伝いをした。自分が担当したのは、フロントパネルのレベル調整ボリュームと各基板間の配線だ。モレックスの圧着がメインであった。製作に4時間近くかかるくらいの内容で、ピン数を数えてみたら、約100個あった。これは時間かかるわ。今日は昨日と違って、ピートは終始機嫌がよかった。たぶん今日ルーティングシステムが完成するからだと思う。

ケーブルを作っている間に、ピートはフロントパネルのラベル張りを行なった。一枚一枚どこに張ったらベストか?と聞いてくれてお互いに確認しながら、ラベル張りを行なった。ちゃんとこちらの使い勝手のことも考慮してくれている。ラベル張りが終わる頃、私が作っていたワイヤ作成も完了し、最後のワイヤリングをピートが仕上げた。
次に、信号を入力しレベルがユニティーになるように全てのループを調整していた。入力にインプットのマスターゲイン調整トリムがあるので、全体のレベル調整は、それを使用するとの事だ。各エフェクトループのレベル調整は、非常に慎重に行なっていて、全てのループをONしたときに、全体的にレベルが上がったり下がったりしないように、考慮しているそうだ。各部のレベルの調整をしながら、ユニティーゲインのポイントを一つ一つ確認して、白いドットを打っていた。ボリュームによって、誤差があるし取り付けの誤差もあるので、実測した位置でドットを打つそうだ。本当に徹底している。
次に各エフェクトループに信号を通し、センドとリターンレベルを対照にボリュームを動かしたときに、ユニティーで動いているか確認していた。ピートは、センドとリターンが目でみて対照にしたときに、ユニティーゲインになるように、設計したそうだ。視覚的にもこの方が分かりやすいとの事だ。また、リニアカーブのボリュームを使い、20dBを4等分した角度で、それぞれ10dBの可変幅をもたせられるように設計したそうだ。話を聞くと、ものすごく細かいところまで気を使って設計している。こういうところは、あまり気づかないところだ。それから、ボリュームと基板間のケーブルのピン配線の順番もほとんど共通にしているそうだ。ボリュームも手に入れやすい、標準値の10kΩの物に全て設計し直したらしい。カスタム物をやる場合は、特殊なパーツを使うと、あとで困るので、なるだけ標準のものを使うほうがいいとの事だ。ピートがいつもいう口癖は、「自分の設計は古いものより、現在の新しい設計のものの方がより良くなっている。」だ。

ピートは、出荷が近づくと、仕事のスピードが遅くなるんだよねと言っていた。時間をかけて作成したものなので、送り出すのが惜しくなるそうだ。愛情がこもっているんだもんね!

各ボリュームの位置によるレベルの可変幅は、ノートに書いてもらった。ピートの設計のアンプは、40dBのゲイン幅があって、抵抗値の設定でオフセットできる。よって回路パターンを共通化して作っているそうだ。ゲイン特性を見せてもらったが、絞りきり位置と、回しきり位置でのゲインの特性がほんのわずかに変わっていた。

それから重要なポイントで、各シャーシを全てアースボンド(ケーブルでしっかりつなぐ)するのが、大事だから忘れないようにといわれた。

今日は、クイーンの話になって、全員のサインが入ったクリスマスカードをもらったことがあると言っていた。クイーンのファンはものすごいらしい。クイーンリングを見つけるといいと言われた。そういう仲間の集団があるらしい。

明日は、音だしだ!ミンガスのデラックスリバーブもピートが持ってきてくれたし。楽しみだ!
この後、ピートから預かった本のコピーに行かなくては。

カスタムユニット.jpeg

ラベル貼りが完了したカスタムユニット。一番上にあるのがPMS-16U MIDI ROUTING CONTROLLER。その下が、入出力部用のカスタムユニット。一番下が、エフェクター用のカスタムユニット。

(つづく)
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イギリス滞在記(20) [音楽]

9月15日(日)

今日は朝からたまった洗濯をして部屋の掃除をやった。洗濯機が一度しかすすぎをしないので、再度洗いモードにしないといけない。面倒だがしかたない。

11時半にピートが迎えに来てくれて、パブに向かった。今日はピートのバンドではないが、ほとんど前回と同じ面子だった。ボーカルに男性と女性がいて、さらに別のサックスプレイヤーがいた。ピートはヘルプとしてサックスを吹いていた。曲間はまったくMCがなくて、何の曲をやろうかと相談しながら進めていたので、大丈夫?(笑)って感じだった。ピートは人のバンドだらか口出しはしないけど、あれはないよなぁとぼやいていた(笑)1時間のギグを2回やって、メンバーはそれぞれ10ポンドもらっていた。あいかわらずローディーの私は(笑)分配金無しだった。

裏庭2.jpeg

休憩中にパブの裏庭を散歩したが、広くて綺麗ですばらしかった。裏に池があって、魚が泳いでいた。すごく濁っていたけど、大丈夫なのかな?ちょっと魚の心配をしてしまった。
今日持っていった簡易PAシステムは、ピートの作ったマイクアンプからパワーアンプにダイレクトでつないで、それをJBLのモニタースピーカーで鳴らした。なかなかいい音がしていた。
そのあと夜ライブを見に行くかと誘われたが、ピートがプレイするわけではないようだったので、今日は断った。

裏庭.jpeg

帰った後、イギリスの知人から届いたダンブルのアンプの中を調べた。彼の話の通り随分手が入っていて、パーツが交換されてしまっている。どうやら基板も交換されているようだ。メンテしたら違う音になってしまったので見てほしいと依頼があったので送ってもらったのだが、この状態では解決が難しい。ちょっと方法を考えよう。



9月16日(月)

今日は朝からピートの持っている真空管のストックのリストアップをした。ものすごい量の真空管だ。特にブライアンメイのために交換したVOX用EL84が200本を越える量だった。ものすごい埃でリストアップが大変だったが、夕方までに何とか終えた。中には中古で使えないものから、汚いが新品のものまで、いろいろだった。ピートはしきりにこれは価値があるんだ(笑)と言っていたが、大量なので全部はとても買えない。

ピートはルーティングシステムの内部写真をとり、フロントパネルとリアパネルにラベルを張る作業を行なった。スペースが非常に狭く、限定された範囲でシールを貼らなければならないので、理想的にはいかなかった。これとほぼ同じモデルを作るときは、ラベルのことを覚えておこうなと、二人で話した。

今日はお昼に航空会社に電話して、帰国用のチケット手配をした。25日に席が1席だけキャンセルが出たというので、すぐに抑えてもらった。ラッキー!予定より2日間帰国が早まったが、仕方が無い。よしとしよう。


9月17日(火)

今日も朝から真空管の整理とリストアップ。さらに購入予定の機材のリストアップと金額見積もりをした。次から次へとピートはいろいろ持ってきて、これは価値があるよー。買いたかったらオファーしてねぇとニヤニヤしながら、持って来る。まいったなぁ。もうこれ使わないんだから、頂戴!といいたいものまであるが、くれないそうだ。あげるくらいなら、もったいないけど捨てるよとか言っている。全く困ったものだ(笑)こちらが、一生懸命リストアップして見積もりをしている間に、ピートはI/O側のルーティングユニットのラベル張りを済ませ、写真取りの準備を始めた。ついでに、昨日届いた古いペダルボードの修理品も写真を撮っていた。オークションで購入した人が、ピートに修理メンテを依頼してきたそうだ。15年くらいのものらしい。ボリュームペダル、DD-2とTCコーラスあともう一つエフェクターが入っていた。

写真撮りが終わり、ピートはエフェクトループ側のワイヤリングを始めた。始めだすと本当に手が早い。驚くほどのスピードで、7割くらい終えてしまった。すごいや。リンダは基板の半田付けをずっとやっていたが、集中力がすごくて、ピートが話し掛けても、聞こえないこともあったくらいだ。黙々と半田付けしている。またリンダも驚異的な速さでちゃっちゃと基板を作っていた。

明日、税理士さんに資料をすべて見せなければならないらしく、4時半には帰って書類の準備をするそうだ。この二人も毎日忙しい。最近夜11時過ぎまで仕事してるとか言ってたなぁ。ずっと疲れ気味なのは、そのせいもあるかも。今日は、珍しくリンダもぴりぴりしていた。税理士さんに見せる書類のことで頭がぱにくっているのかもしれない。

そういえば、今日もペダルの注文が入ったとピートが言っていた。結構注文がたまってるようなので、早くルーティングユニットを完成させたいようだ。早く完成させて、修理メンテの方法を教えてもらわないと、帰国までにやるべきことが終わらなくなる。
修理用のパーツを買うことになっているので、回路図のコピーももらうことにした。

夕方、ピートに真空管等のリストを全て完成させて明日、チェックさせて欲しいと頼まれた。あくまで見積もりになりますよと念押した。しかしこの大量の真空管どうなるのだろう。梱包するったって、一日じゃ終わらないぞ。

今日は家に帰ってから、ダンブル用のフットスイッチを製作した。


(つづく)
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イギリス滞在記(19) [音楽]

9月13日(金)

今日は朝からピートの所有するお宝リストアップを行なった。ピートは、ものを捨てるのは非常にもったいないので、なんでも取っておいてあるらしい。日本で売れそうなものがあったら、リストアップして金額のオファーしてほしいと言われた。
ピートが所有しているエフェクター、今までの顧客に作ったペダルボード用のエフェクターで必要なくなったケース、ジミーページが使用していたエフェクターで、現在は使用していないものなど、5箱のダンボールに入っていた。
工房の外で、埃を落としたり仕分けをしてリストアップをした。なかでも、おお!っと思ったのは、ジミーページのペダルボードを作るときに使用したエフェクターのケースがそのまま残っていたことだった。それからデイブギルモアのペダルボードに入っていた、エフェクターの基板が何点かあった。これは買い取って持ち帰らねば。でもこんな貴重なもの売ってくれるのだろうか?リストアップするだけで、数時間かかった。ふー。

その間、ピートはルーティングユニットのI/Oユニットを仕上げるべく、ワイヤリングを進めていた。ワイヤリングが一通り完了したあと、オシレーターからの信号を入力してレベルの確認・調整と機能チェックをはじめた。各入出力のレベルを確認し、各スイッチの動作、リレーの動作を確認した。MONO/STEREOの切り替えでレベルの誤差があったので、原因を探ったら、基板チェックの段階でレベル調整を間違っていたらしい。ピートも間違うのね(笑) 

オシレーターでの信号チェックが完了して、次にギターの信号を入れてチェック。ドライ音用のレベルメーターの振れが他のレベルメーターと異なっており、いろいろ調べたところ、レベルメーターの入力レベル調整ボリュームが初期値のMAXになっていなかったことが分かった。調べている途中は、リンダに新しいのを作ってもらおうか?とか言っていたが、ピートの調整ミスと分かって、このことはリンダに言うなよー、と念押された。どこの家庭もかみさんには弱い。
しかしレベルメーターの精度を全て揃えるのは、すごく難しい。全く同じレベルを何個かのレベルメーターに入力して、振らせると多少の差でも分かってしまうからだ。レベルメーターは、慎重に設計しないと!

次にPMS-16Uとアンプをつなぎ、実際に音を出しながら、プログラムチェンジを行い、動作確認を行なった。最初音を出したときは、感動的であった!音を出すまで本当に長かった。セレブレーションにコーヒーを飲もうということで、コーヒーで祝杯をあげた!

その後は、マーシャルアンプでいろいろ試そうということになって、ピートにいくつか技を教えてもらった。マーシャルアンプの入力ジャックでクロスワイヤリングが有名であるが、ピートが行なっている改造は、内部で配線されていて、さらにクロスではなく入力でパラになっている。フェイズシフトが起こるので、絶対クロスはダメだとのこと。よくやるのは、インプットのハイ側がセパレート、ロウ側の2番インプットをパラレルになるようする改造だそうだ。今回は、I/Oユニット側で個別にマーシャルのハイ1/2に入力した。それぞれをON/OFFすることで、音にバリエーションが出来る。さらにブーストも可能だ。PMS-16Uを使用してコントロールすることで、ボタン一つでスイッチングが可能だ。PMSとピートのルーティングシステムのコンビネーションは最高だなぁと二人で感動しあった。ピートはサウンドにいたく感動したらしく、しばらく音だしをして楽しんだあと、ベースに持ち替えて、再度音だしチェックをはじめた。サウンドの変化を確認しながら、音がさらにクリアで音楽的だろう!と自慢げに話した。ルーティングユニットからのハムノイズは全く無く(もちろんアンプ自体が持っているハムノイズは聞こえるが)ギターの非常に繊細な倍音までクリアに聞こえた。本当にすばらしい音だ!
デモする際に、全てのコントロールを覚えて、すぐにお客様に対応できるようにしておけよ、といわれた。取り扱いに戸惑っていると、顧客から大丈夫か?と思われて変な不信感をもたれると言われた。頭の中に、信号の流れを叩き込んで、すぐに顧客の求めているセッティングに出来るようにすることが重要だと話してくれた。

次に電源電圧を下げて音がどうなるかのテストを行なった。AC80V以下になるとハム音が出始める。レギュレータに必要な電圧以下になるポイントだ。さらに下げていき、AC50Vになってもハム音は出ているが、音は正常に出ている。供給される電源に異常が生じて仮に電源電圧が半分になったとしても、音は出つづけるということだ。これは、ライブの現場を考えると非常に重要なことだ。

そのあと、次は真空管のリストアップを頼むといわれた。大量に持っているが、場所が狭くなるので、必要なときに必要な個数だけ買うようにしたいと言っていた。昔は、ピートのところに真空管だけを買いにくる方がいたそうだ。ロンドンでも真空管を売っているお店が少なかったらしく、エリッククラプトンのローディーがよく買いに来ていたそうだ。ピートは100本単位でまとめて購入していたらしい。以前はピートのショップに通う途中に有名な真空管のメーカーGECがあったそうだ。必要なときは、そこによって買っていったそうだ。それが突然倒産して購入できなくなってしまったと言っていた。最後のKT77のペアも見せてくれた。中古でも非常にレアで数万円で取引されているそうだ。オーディオの世界はすごいからなぁ。楽器では真空管にそこまで出す人はなかなかいないよなぁ。下手するとアンプより真空管の値段の方が高くなってしまう。さて来週は真空管とトランスと他の機材のリストアップをすることにしよう。ソブテックの真空管5881は日本の半額にしてくれると言っていたから助かるなぁ。まあ、他の真空管はそれなりの金額を提示しないと譲ってくれないと思うが。

今日は金曜日なので、Uckfieldのレストランを予約したらしい。一緒にと誘ってくれた。7時に待ち合わせだ。腹減ったなぁ。

家までピートとリンダが迎えに来てくれた。今晩はレストランでディナーなので、一応ジャケットを着て出かけた。レストランでは、本当に楽しい時間が過ごせた。だいぶ二人の英語が分かるようになったせいか、会話も途切れることがなかった。ピートは、でかいピザを頼んで、食べれないだろうと思っていたら、全部食べてしまった。いつも小食なのに!さらにアイスクリームも食べてるし。胃がいくつあるんだ?この人は(笑)。リンダは相変わらず小食で小さなチキンも休憩しながら食べていた。ワインもおかわりしていたし、気分がよかったんだろうなぁ。今日もごちそうになってしまった。
いろいろ考えて、来週土曜日にブライトンの日本食レストランに行ってごちそうすることにした。本当は家に招いて日本食をなにかご馳走しようと思ったがお米が手に入らないし、お好み焼きの材料もないので話にならない。おそらく来週がイギリス滞在の最後の週末になるので、夕食を一緒にとることにした。たまにはこちらがおごらないと。いつもご馳走になってばかりだと悪いもんね。でも面白いのが、ピートと自分だけだと、大体割り勘かこちらがおごったりしている。リンダが一緒にいると、ピートにあなただしてよと一言あるらしくて、おごってくれる。家の財布はリンダが握っているようだ(笑)
夕食後、気分がよかったので、皆んなでしばらくUckfieldの町を散歩したあと、家まで送ってもらった。明日はロンドンに行って、家族のお土産を探そう。ニールズヤードの場所をリンダに聞いたので、そこに行ってみよう。


9月14日(土)
ロンドン市内.jpeg
今日は朝からロンドンに出かけた。午前中どこに行こうか迷ったが、絵が見たいと思いナショナルギャラリーに行くことにした。先にギャラリーに行くつもりだったが、間違ったラインの地下鉄に乗ってしまい。予定変更して先にニールズヤードに行ってお土産を買うことにした。探し回ってようやく見つけた。思ったより小さいお店だったが、所狭しといろいろ置いてあった。エッセンシャルオイルを買うときに、オーガニックか普通のものか聞かれた。なに、イギリスでは2種類あるのか?日本では確か一種類しかなかったよなぁ。もちろんオーガニックのものを購入した。

その後、結構近くにナショナルギャラリーがあることが分かって、歩いて行くことにした。通り道でライオンキングの公演をやっている劇場をみつけたので、CDを購入しようと思って入ったら、まだ開場してなくて、後で出直すことにした。マイフェアレディーのCDもすごくよかったから、ライオンキングも良さそうだ。
そのままナショナルギャラリーへと向かった。ここは無料で入れるが、募金という形でお金を募っていた。もちろん募金をした。多くは払えなかったが・・・。中はものすごく広くて、有名な画家が描いた絵画が多く展示してあった。モネやゴッホ、レオナルドダビンチまで展示してあった。うーんすごい。でもヨーロッパによくある宗教画が多数あって見ても意味がよく分からないので、そのコーナーはほとんど飛ばした。

ロンドン.jpeg足が棒のようになってきたが、がんばってコベントガーデンまでライオンキングのCDを買いに戻った。そのあと、テムズ川の川岸に行ってしばらく散歩した。排気ガスのにおいがすごくて、とてもリラックスした気分になれない。ロンドンはこんなに臭かったっけ?田舎の生活に慣れてしまったようだ。日本に帰ったら、やばいなぁ。






twinings.jpeg

そのあと、近くのテンプルを見に行ったら、ちかくにTWINIGSの本店があったので写真を記念に撮った。ものすごく小さな入り口だった。

少し時間が早いが、KEW GARDENにあるチャンドラーギターに行くことにした。30分くらい辺りをぶらぶらして4時にお店に行った。人が混雑していて繁盛していた。お店の奥に小さな修理の受け付けと工房があって、そこにチャーリーさんが居た。世間話をしたあと、カスタムギターの話になった。カスタムギターの写真を撮りたいと言うと、何点か写真を撮らせてもらった。ギタリスト(イギリスのギター誌)で紹介されたときのコピーをくれた。その裏にお薦めのボディー材やピックアップ等を描いてもらった。奥にある工房には、有名ミュージシャンのピックが壁に貼ってあった。またフレットと弦の高さを調整するためのコンピュータで制御されたオートメーションの機械(Plek)が置いてあった。すべてこれを用いて、最終調整しているらしい。パットメセニーやジョーサトリアーニのギターもこの機械を使用してフレットと弦高の関係を調整しているそうだ。

ビクトリア駅で今月のギター関係の雑誌を購入して帰った。帰りの電車は混んでいた。

plek.jpeg
この機械がPlek。現在ではポピュラーな存在になっていますが、この当時、導入していたメーカーや工房は限定されていたようです。

カスタムギター.jpeg

チャンドラーさんが製作したカスタムギター


アコギ.jpeg

お店の中にはアコースティックギターのコーナーもありました。


(つづく)
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イギリス滞在記(18) [音楽]

9月11日(水)

今日は朝6時に起きて、ピートの工房に行く準備をした。ピートとリンダと待ち合わせしてロンドンへ行く日だ。LEWES駅からビクトリア駅に行き、そこからチューブに乗ってアールズコートまで行った。駅前にある大きなホールが会場だ。PLASAという名前の展示会で、ピートはアンプタウンの人に招かれていたので、無料で入ることができた。一般入場者は12ポンド払って入場していた。たっけー!
日本人の方も何人か見かけた。ヨーロッパ中から来るだけあって、朝10時過ぎというのに結構人が入っていた。まずアンプタウンのブースに行きピートがケースの見積の話をしていた。一応カタログをもらって、挨拶して別のブースを見ることにした。イギリスも代理店の出展が多い。ライティング関係も数多くあった。バリライトはさすがに大きかった。

展示会.jpeg

展示会場の中

ディストリビューター.jpeg

ラックマウントタイプのディストリビューターも展示されていました。
電源コネクターがゴツイ!

デジタルパワー・アンプ.jpeg

イギリスに行く直前まで、このようなデジタルアンプを開発していました。



午前中にざっと見て回って、そのあとマイフェアレディーのミュージカルを見るため、THEATRE ROYAL DRURY LANEに移動した。サウンドシティーを止めた後、初めてスタートしたお店の場所をピートに案内してもらった。駅からすぐの所だった。今は面影がなくなっていたらしく、たぶんこのドアの住所だと思うと言って記念撮影した。

お昼を食べた後、大道芸人がいる路地を見つけ、しばらく楽しんだ。なんでもヨガをやっているらしく、体がものすごくやわらかい黒人が芸をやっていた。首の後ろに両足を上げたり、細い筒を通りぬけたり、17インチ四方の箱に入ったりと、なかなか見れないものが見れた。

箱の中.jpeg

小さな箱に入ってしまった大道芸人!


その後、キャスパーと待ち合わせて、シアターの中に一緒に入った。舞台とか舞台裏を案内してくれた。このミュージカルには有名な俳優さんが出ているらしく、「さっきの人がすごくイギリスで有名な人なんだよ」と、リンダが教えてくれた。日本人の自分には、全然わからないけど(笑)キャスパーがいい席をちゃんと予約してくれていたらしく、2階席の一番前だった。ほんと、いい奴だ!リンダがパンフレットを買ってくれた。2時30分から始まって4時10分ごろ前半が終了した。見ていて非常に楽しかったが、話している内容はほとんどわからなかった。早口でしゃべるし、小声が多いし、ミュージカルなのでオーケストラの音楽もあるし、結構英語を聞き取るには厳しい条件だった。最初は、必死で聞き取ろうとしていたが、疲れてきたので、諦めて見ることに徹した。キャスパーは背が高いので、すぐに出てくると分かる。バレーダンサーだけあって背筋がすっと通っていて、ダンスも抜群にうまかった。台詞をいう個所があって、だれだれさんに5ポンドをなにがしというときに、だれだれさんのところをリンダの旧姓の名前を言ったらしい。ピートとリンダは、爆笑してた。あとで説明を受けてわかったのだが・・・。多分両親がきているから、アドリブで名前を変えて台詞を話したんだろうって言ってた。長いミュージカルだと、ときどきジョークとかを織り交ぜるケースがあるそうだ。

my fair lady.jpeg

休憩時にアイスクリームを食べて、(これは自分のおごり)後半約1時間楽しんだ。帰りがけにCDも買って、キャスパーと楽屋口で待ち合わせた。地下鉄の駅まで送ってくれて、お礼を言って別れた。しばらくこれで会わないなぁ。キャスパーとは。本当に親切で人懐っこくていい奴だ!
帰宅ラッシュにまぎれながら、LEWESまで帰った。いやー眠いし疲れた。



9月12日(木)

朝ピートに、今日は多分Yukiがやることはないなぁと言われて、何をしようか相談したところ、ピートが持っている不要なパーツを売りたいから、リストアップしてくれないか?と言われたので、早速リスト作成に取り掛かった。エレハモやMXR、MU-TRON等のパーツがあって、オリジナルパーツや、基板から外したものが残っていた。Yukiが日本で修理を受けたときに役立つだろうといってくれた。ピートの本音としては使用しないパーツを処分したいらしい(笑)、たぶん。最近は修理の仕事もほとんど無いので、ほとんど使わないそうだ。

最近大家さんが、工房のドアを新しくしたり、どこかの人がやってきて、査定をしたりしていくそうだ。どうも、ここを出なければいけないかもしれないと言っていた。3年契約だそうで、後1年残っているがその後はどうなるかわからないなぁと言っていた。
(現在は、この工房から移転し、別の場所でピートは作業を行なっています。)

その話はさておき、パーツの話に戻ると、ブギーはFETROONという真空管の代わりのパーツをMKⅠに使用していたらしく、そのため音質が違うのではと言っていた。一箇所だけこのパーツを使用していたらしい。全然知らなかった。

それから、ピートが持っていたMUSIC GROUND(ショップ)からのペダルリストを見ていたら、DENNIS CORNELLさんの名前が載っていた。なんでもFUZZ FACEのオリジナルデザイナーで、当時のオリジナルパーツを使用して限定150台を作ったと書いてある。アンプを作っているCORNELLさんも全く同じ名前だ。同じ人物なのかな?そういえば、ピートのVOXのファイルにも彼の名前があったので、よくある名前なのかもしれない。

リストアップが終わったあと、日本に帰ってから作るテストベンチの回路図作成をした。ピートに回路図の確認をしてもらい、これで良いだろうという回路図を完成させた。フローティング用のトランスが何点か必要になる。ピートはSOWTERが良いのではないかと勧めてくれた。アンプの出力を受けるラインには30dBmくらい受けられて、10kΩ以上の一対一のアイソレーショントランスが良いと教えてくれた。ただ、トランスを使用するときはフェイズシフトと周波数特性があるので注意しなければならない。
それからピートから、ダミーロードはプラグを使っていろいろ揃えたほうがよいと教わった。100mのケーブルを想定した抵抗とコンデンサーのターミネーションも有効だとのこと。実験には不可欠だ。

出力トランスについて質問があったので、ピートに聞いた。OPTの一次側をオープンにした状態で2次側を負荷のステップアップ・ステップダウンに使用するときの電気的知識が無かったからだ。トランスはそもそもインピーダンス(DCRのことではない)を持っていない。負荷を与えてそれに対応するインピーダンスが発生する。よってOPTの1次側に負荷をつなげない場合は、2次側もインピーダンスは無視できるとの解説だ。テストベンチの回路図でいくとスピーカーもしくは8Ωの負荷がトランスの8Ωタップとパラレルになっているが、アンプ側からみてトランスの巻き線は無視できる(数キロΩ)抵抗値なので、大丈夫なのだとのこと。俺を信じろ!と言われた。もちろん信じてます。

それから、ピートにファクトリーチェック用のPMS-16Uのソフトを見せた。非常にクレバーなソフトだと感動してくれた。

作業が終わった後、LEWESにあるJAZZ CLUBにピートとリンダと出かけた。
JAZZ CLUBに到着して演奏を見ようとしたが、人が一杯で演奏が見える位置がなくて、しばらく演奏だけを聞いていた。演奏は抜群にうまくて、ピートに聞いたら、すごく有名なJAZZバンドらしい。ダブルベースを弾いている人以外は60歳を過ぎてそうだ。ドラマーはレフティーで凄腕だった。何も無かったように平然とした表情で、すごいプレイをしていた。汗もかいてなさそうだ。なんかすごいぞ!

前半が終わって休憩をはさんだあと、後半が始まった。後半は女性ボーカルが入っての演奏。サックスプレイヤーもうまくて、ピートも聞き入っていた。リンダは少し退屈そうにしていた。リンダはもっとモダンなジャズが好きらしい。今日聞いたJAZZは、昔からあるオーソドックスなJAZZだそうだ。そういえば、日本人の夫婦が見に来ていた。LEWESで日本の方に会うのは初めてかも。

(つづく)
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イギリス滞在記(17) [音楽]

9月9日(月)

今日は朝から大工さんが来て、ピートの工房の入り口に新しいドアを取り付けてくれていたが、雨と風がすごくて、途中で作業を中断し明日も来ることになった。大雨の中、本当にご苦労さまです。

その後、リンダが出勤。基板のエッチング作業を行った。本当に基板まで手作りだ。穴あけ作業も手で行なっていた。半田付けの作業中、写真を撮らせてもらった。なかなかチャンスがないからなぁ。ここは逃さず!他の人に見せたらダメよと念を押された(笑)

今日は、リアパネル側のワイヤリングを終わらせようということで、ワイヤリングの方法を再度習いながら、ワイヤリングを決定した。まず、ケーブルの下準備を行なった。ピートが長さを決め、それぞれのワイヤにどこにつながるかを書いたテープを張り、識別しやすいようにした。次にワイヤの片側をコネクタに半田付けできるように加工した。線材の絶縁材を傷つけないように注意して作業をするように言われた。非常に剥きにくいベルデンのケーブルだった。ベルデンのケーブルは本当に作業しずらい!そういえば以前一緒に働いたことのあるSHEP(ビンテージNEVEを生産するライセンスを持っているイギリスのプロオーディオメーカー。NEVEの設立者7人のうちの1人が立ち上げた。)もこのケーブルを使用していた、CANFORDの2芯シールド線に似ている。
スイッチクラフトのXLRコネクタに半田付け作業を開始したが、半田の表面が鏡面状になるように半田付けするのは、大変だった。何度もやり直して、ようやくOKをもらった。ベルデンの絶縁材は、熱に弱く溶けやすいので、半田付けの際は、細心の注意が必要である。スピードも重要であるが、半田付けする際のケーブルの角度が非常に重要であることがわかった。ピートの解説では、コネクタに穴がある場合は、ケーブルを90度に曲げ、機械的強度を持たせることが出来るが、XLRのようにそれが出来ない場合は、しっかり半田を盛ってさらに強度を持たせた半田付けをする必要があると言っていた。それから昔の話しらしいが、ハイワットの半田付けは、軍関係の作業員がバイトでやっていたらしい。なので、ハイワットの半田付け作業やワイヤリングは、軍仕様の手法であったそうだ。確かに、古ハイワットの中を見ると綺麗にワイヤリングされている。

次にPMSを含めて、再度各リレーとLEDと信号が意図した通り、動作するかのチェックを回路図上で行い整理し、次に各ステップで故障が発生した際に、何が起こるかを確認する作業を始めた。PMSが何かの原因で、電源が落ちた場合どうなるか。コネクターが外れた場合どうなるか。ルーティングシステムのリレーが動作しなくなったとき、どうなるか。等、全ての故障を想定して、最善の方法を決め回路構成を再度確認・修正した。ピートがここまでやっているとは知らなかった。ピンクフロイドのデイブギルモアのシステムは、4段階のバックアップシステムを用意したそうだ。ワールドツアーで一度もバックアップを使用することはなかったそうだが。ここまで考えないと、プロフェショナルとは言えないと説明してくれた。ほんとうに、この人はすごい!

回路構成を再確認したあと、ピートは簡易的にワイヤリングを行い動作チェックを開始した。PMSの動作と各リレー、LED等が間違いなく動作しているのを確認してから、正式な配線を始めた。本当に徹底して各段階でチェックを行なっている。後から修正するのは、本当に大変なので、各段階で確実にチェックするのだと、説明してくれた。

次に自分がやる作業は、LEDアッセンブリだ。LEDの輝度と色を確認して、配線用のワイヤをよじる作業を行い、アッセンブリを準備した。ワイヤのよじり方はこう。バイスに片側を固定し電動ドリルでくるくる回し、最後にひっぱって作るのを教わった。各アセンブリも完成したらチェックするように言われた。本当に徹底してる!
そういえば、点滅するLEDがどういう仕組みで動いてるのか知りたいなぁとピートが言っていた。中に黒いチップが入っていて、どうやらそれが点滅する回路のようだ。日本に帰ったら、だれかに聞いてみよう。60mAくらい流れるといっていた。12V耐圧らしいので、動作させて電圧確認を行なっていた。直列につないでいるダイオードはツェナーダイオードだ。
今日は、だいぶ作業が進んだ。

*赤文字にした箇所は、業務用製品を作る上で特に重要なポイントだと思います。演奏中に何かあってもすぐに対応できる状況をあらかじめ想定・予測しておき設計する。非常にハードルの高い内容です。


9月10日(火)

今日は、昨日の続きで、LEDのアセンブリを午前中に作成した。その後、入力ゲイン調整とブースト量調整のためのボリュームにつながる部分のケーブルアッセイを製作した。ワイヤは3芯シールド線。シールドがドレインワイヤが出ていて、シールドが黒い樹脂のコンダクティブになっていた。ちょっと変わった構造だ。芯線はすごくがっちりしたものであった。ワイヤの両端はモレックスの圧着端子で加工がものすごく難しかった。またピートもチェックが厳しくて、0.3mmくらいの誤差内に収めるように言われた。まじ???って感じだったが、何度かやり直して、ようやく出来るようになった。機械で作れば正確で早いんだろうけど、手作業での圧着なので結構つらかった。作業が終わる頃は手の握力がなくなっていた。明日は、手のひらが筋肉痛だなこれは。リンダも大変な事を知っているので、休憩したらと気を使ってくれた。休憩がてらコーヒーでも入れるか。

今日は、大工のお兄さんが来て、工房に新しいドアを取り付けて行った。随分前に大家さんとの約束で、ドアを取り替えることと、ドア前まで舗装する約束をしていたそうだが、なかなかやってくれなくて、ようやくのことドアが来たそうだ。ドアだけ新品というのもなんか変だ!そいいえば、ドアを見てピートが言っていたが、ピートのお父さんは、バイオリンの修理もやっていたそうだが、直す部分の木目とほとんど同じ物を探してきて、それをはめ込み綺麗に修理していたそうだ。見た目は全く分からないくらいになるそうだ。すごい!

ピートは入力部のワイヤリングを終わらせ、出力部の回路図を綺麗に書き直す作業に入っていた。綺麗に仕上げてから、出力部のワイヤリングに入るそうだ。回路図を綺麗に仕上げながら、最後の確認をしているらしい。時間をかけて確認しながら、手書きで回路図を書いていた。

今日は、真空管の話題をした。ヒーター電源にACを使うかDCを使うかの話だ。電源の違いによるハムは、設計がちゃんとしていれば問題ないといっていた。ピートの実験では、差が見られなかったと言っていた。ピートはDC12.6Vの安定化した電源をヒーターに使用しているとの事だ。理由は、電圧を変動したくないということによる。ヒーター電圧が低いとカソードからの電子が少なく性能が悪化し、反対に電圧が高いと、寿命が短くなってしまう。よって安定化して使用するためにはDC安定化するのが一番良いので、ルーティングシステムに使用している電源と同じ基板を使用して供給しているとのこと。ギルモアのバルブペダルボードやバルブDIもそうらしい。
ピートの使用している電源回路は1.5Aまで使用可能であるが1A以下の使用に抑えているとのこと。熱の余裕度を考えてだそうだ。コンデンサは105℃品を使用するとのこと。ポールマッカートニーのラックシステムを作っていたころは、高輝度LEDの入手が難しかったので、ランプを使用していたらしいが、定格の約10%ダウンで使用すると、寿命が約倍になる特性だったそうだ。

リビング.jpeg

住んでいた家のリビング。壁がレンガ作りで雰囲気が良かったです。

1Fと2F.jpeg

一階がリビングで、二階が寝室になっていました。

(つづく)
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イギリス滞在記(16) [音楽]

9月7日(土)

リンダから電話があって、今日LEWESに行くのならお昼を一緒に食べてから行かない?とお誘いがあったが、今日は断った。リンダは本当気を使ってくれるので、いつもありがたい。でも今日は疲れているので、自分のペースで行動したいし、リンダの誕生日プレゼントも何か見つけたいので、丁寧にお断りした。ピートやリンダも、毎週、私につきあっていたら疲れちゃうしね。

洗濯がたまっていたので、済ませてからまずUckfieldのTESCOに買い物に行って、商店街を回った。今日は、フェスティバルがあるというので、どこでやってるのかなぁと探したら、丁度TESCOの裏にある公園で仮装大会のようなものをやっていた。人は200人くらいいたけど、何をやってるのか良く分からなかったので、すぐに帰ることにした。子供向けのお祭りみたいだった。

リンダに何かいいものがないかなぁと探したが、全然なくて、LEWESに行くことにした。丁度、お城も見てみようと思っていたところだ。駅の裏の駐車場に車をとめて、歩いてLEWESの町を探索した。丁度、品のいいインテリアを扱っているお店があって、そこで品のいいシルバーの写真立てがあったので、それにした。ほっとしたあと、町並みを上っていき、お城にたどり着いた。これがまた古いお城で数百年は経っているようだ。入り口が分からなくて1周してしまったが、閉まっている門を開けて入ることがわかった。わかりにくいなぁ。入ろうとしたら、おばちゃんに呼ばれて、チケット買ってねといわれた。なに?どこでチケット買うの?と思ったら、向かいにある家の中に入ってその中で買うという事がわかった。もう少し分かりやすい案内板を立ててよと思ったが、日本とは違うのは当たり前。チケットを買って、お城を上った。

お城の上は狭い回転階段ではあはあ言いながら上った。上は眺めが良くて、綺麗だった。晴れてよかった。朝は、天気が悪かったからどうしようかと思ったが。そのあと小さな博物館を見た。LEWESの町の歴史の上映もあったが、さっぱり内容がわからなかった。普通のスピードで話されるとまだ理解できん。間合いの取り方がなんかちがうんだよなぁ。変なところでブランクが入るから、わけがわからん。くそー。
そのあと、地ビールを飲みにいこうと、ビール工場に行ったが、お店は4:30で閉まっていて、日曜日も休みだったので諦めた。なんて早いんだ!ビールは夜の飲み物じゃないの?!
というわけで、無事帰った。明日はブライトンでもいこうかなぁ。でも日曜日は車が混むだろうなぁ。朝早くから出かけてもいいかも。

LEWES門.jpeg

城.jpeg

LEWES城の中.jpeg

Lewesの街2.jpeg

Lewesmの街1.jpeg


9月8日(日)

今日はお昼までたっぷりねた。昨日の夜、久々に映画を深夜1時くらいまで見たので眠かった。スタローン主演の映画ではらはらどきどき、見ずにはいられせん。が、スタローンは口の中でぼそぼそしゃべるので何をいっているのか、さっぱりわからなかった。全然、英語のヒアリングが上達しません。ま、楽しめたからいいや。
午後からどこに行こうか考えて、また古城を見に行こうと決めた。天気が曇りだったので、まあ曇りでも楽しめるかと思って、ARUNDELの古城に出発することにした。車で約1時間ちょっとくらいのところだ。かなり大きいお城だった。お城のまわりは、そんなに栄えてなかったが、綺麗なところで近くに大聖堂もあった。中はウインザー城みたいになっていて、絵画とか槍、鎧等が飾ってあった。ここのパンフレットはさすがに日本語がなかった。パンフレットとお土産を買って帰ることにした。車が混むと大変だからと思って、そのままどこにも寄らず帰った。今度はブライトンとかニューへブンとか海の方にドライブに行ってみよう。

arundelの城.jpeg

arundel2.jpeg


(つづく)
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イギリス滞在記(15) [音楽]

9月5日(木)

今日は、朝からピートはIN/OUT側のユニットの基板配置に集中することになった。この作業は私が手伝えるところはないということで、メールをしたり雑誌をチェックしたり他のことをしていた。自分がいると集中できないだとうと思って、奥のコンピューターのあるほうで、メールしたりピートが持っている雑誌を見せてもらったりした。古い雑誌の中にピートの紹介が載っているものがとってあったので、借りてコピーすることにした。

ピートが基板配置を終え、シャーシに穴あけを終えたあと、呼ばれて基板のピロー(支柱)をネジ止めする作業をした。すごい数なので驚いた。

お昼は、いつものサンドイッチだが、今日はマスタードとマヨネーズを塗ってきた。ピートが今日のサンドイッチは何のサンドイッチなんだ?と聞くので、それを塗った奴だというと、それはリンダの最も嫌いな組み合わせだと笑っていた。そっか、リンダはニンニクもだめとか言ってたから好き嫌いがはげしいのかなぁ。ジンジャーは大好きとか言っていたが。

午後は、LEDの色を決めて、全てを実際にフロントパネルに取り付け、LEDの輝度を確認しながら、抵抗値を一つ一つ決めていった。ピートがいうには、LEDはばらつきが結構あるので、必ずこのように、一つ一つ確認しているそうだ。すごい手間をかけている。実際にばらつきがあって、LEDを交換した。チェック時はちょん付けで試していた。注意点は下記の通り。

・必ず、LEDチェッカーで輝度が揃っているかどうか確認すること

・黄色のLEDが輝度が低い傾向にあるので、黄色から輝度を設定する。その後他の色を合せるようにすると、うまくいく。

・LEDにつなげる抵抗値を決めるときは、バリアブル抵抗器を使って決める。

・ラック全体の輝度をそろえるため、必ず近くからと遠く離れた場所で確認する。
人間の目の感度カーブは変な特性をしていて、赤に敏感になっているらしい。

LEDの色と抵抗値を決めたら、回路図や資料に数値を書き込んだ。その後、ダイオードマトリクスとLED用の抵抗をつなぐラグ板をピートが作り、それに半田付けするための配線図を作った。配線図には全ての情報を書き込むように言われた。簡単に勘違いをし、誤配線をするため、念には念をいれるということらしい。
ラグ板に半田付けするとき抵抗やダイオードは、ラグ板に近づけて半田付けしてはいけないと言われた。近いと、半田の熱が余計に伝わり良くないと言うことである。半田付けの部分から3mmは離したいと言っていた。それからピートはパーツの足を曲げるときに必ず手を使っている。ニッパー等を使えば綺麗に曲げられるのにと思うのだが、何か理由がありそうだ。今度聞くことにしよう。一回間違うと修正が難しくなるから、手で曲げて鋭角を作らないようにしているのかもしれない。

そういえば、今日は新しい英語の言葉を教えてあげようといわれて聞くと、わけがわからない内容だったので、紙に書いてもらった。
Around the rugged rock, the ragged rascal ran.
ごつごつした岩の周りを、汚い格好をした悪がきが走っていた。という意味だが、発音が非常に難しい。早く言われたら、まったく理解できなかった。そういえば、曜日を聞かれて、今日の日付を答えたりしてしまった。たしか中学校のとき習ったような記憶が・・・。

今日は、ピートの家の犬を予防注射に連れて行くというので、5時少し前にあがった。その後、雑誌をコピーしようと思って、Uckfieldに行ってお店を探した。やっとカラーコピーが出来たが、一枚1ポンドくらいした。たっけー。おばさんが心配してくれて手伝ってくれた。と思ったらお店が5時で終わりだったらしく、早くコピーを終えて欲しかったみたいだ(苦笑)

朝霧.jpeg

9月5日の朝は、凄い霧で視界が悪かった



9月6日(金)

今日は、朝から残りのルーティングシステムのサブシャーシとシャーシに載せる基板の位置決めしたところに、ポインターで小さな穴の印をつけ、ピートが穴あけをした。ピートいわく、怪我したら保険の問題があるから、自分でやるといってボール盤は使わせてもらえなかった。危険がともなうから、それは仕方ない。次にプラスチック製のピロウといわれる支柱を木ネジで止め、全ての基板を取り付ける準備が済んだ。次に行なった作業は、LEDとリレーを駆動するための回路をラグ板に半田つけする作業だ。昨日の続きである。ちゃっちゃと済ませ、ランチにした。

今日はすこぶるピートが機嫌がよくていろんな事を話した。
そういえば自分が作っているペダルやケーブルは、自分の誇りなので、絶対に自分とリンダとで作るんだと言っていた。今回、自分が手伝えているのは、例外中の例外だよなぁ。ほんと。感謝感謝!
(現在は、ピートとリンダ、長男のミンガスの3人でピートコーニッシュ製品は作られています。)

午後はワイヤリングの作業に入った。ピートのワイヤリングの需要なポイントは下記の通り。

・シャーシをばらした状態で動作確認ができるように、ワイヤリングを考える。

・ワイヤーの色や番号には、気をつける。ポート番号、リレー番号にあった色を使って、なるべく誤配線をしないようにする。

・ワイヤの先に行き先やどこから来たかを書いたテープを張っておく。シャーシや基板にも情報をなるべく書き込む。簡単に誤配線をすることを忘れない。

・ワイヤは、機能別に束ねると綺麗に配線できる。

・ワイヤを短くぎりぎりにしないで、美しいループを作り揺れても大丈夫なようにする。またある程度長さに余裕を持たせることで、配線の修正や後日の改造でやり直しができる可能性を持たせることができる。半田付けしたい個所にケーブルを持ってくるときは、必ずケーブルを戻して半田付けするようにする。

・2芯シールドケーブルを使用するときは、かならず2芯の線の長さが同じになるようにケーブルの配置を考える。一方が短く一方が長くというのは、配線のやり直しが効かなくなるので、ダメ。

・コネクタの半田つけ用穴に対して垂直にケーブルを通し、90度曲げて半田付けする。

・リアパネルやフロントパネルに付いているパーツの配線から行い、配線材は余裕を持って切断する。いろんな方法を試してみたが、この配線の順番が一番良いそうだ。

等々の説明を受けて、まずD-SUBのポートの配線から初めた。その間ピートは電源のチェックを始めた。ダミーロードを使って、負荷を与え、電源一次側電圧を上下し出力電圧をチェックしていた。日本は85Vから110Vくらいの間で動作すれば問題ないが、間違って120V電源タップにつなぐこともあるので、120Vでも壊れないようにして欲しいと頼んだ。ピートは、1ランク上のタイプの電源トランスを使用していると言っていた。熱もこちらの方が有利だし、トランスに対する負荷少なくすむ。磁界フィールドも下がるといっていた。磁界については文献を読まないとわからないが。とりあえず電源チェック用のダミーロードは作らないとダメだ。

トランスの話になったので、JVCで働いていた時に電源トランスでずいぶん苦労したことがあると言う話をした。興味があったようでいろいろ聞いてきた。なんでデジタルアンプをやることになったんだ?と聞いてきたので、デジタルミキサーのプロジェクトが途中で中止になったので、そうなたったんだと答えると、なんでデジタル関係の設計をやっていたのに、そこから離れようと思ったんだ?ときた。やっぱアナログが好きだし、音はアナログでしょ!
(当時私はピートに、アナログ技術を学びたいと頻繁に質問をしていた。)

ピートがいうには、ディレイやコーラス等はデジタルで問題ないのにディストーションだけは、上手く行かないなと言っていた。(18年前は、現在のように楽器用デジタルアンプが一般的になっていませんでした。)スティングのレコーディングでチューブDIをかなり多用したらしい。チューブは本当にいい音がすると思う。その話の流れで、サウンドシティーの話になった。急に無くなってしまった時の話をしてくれた。当時イギリスにはテレビを作る製造会社が結構あって、それらは大きな会社だったそうだ。サウンドシティーもその中の一つのテレビを製造する会社が所有していたそうだ。その後、海外のメーカーがイギリスでシェアを奪いはじめ、イギリスのテレビ製造メーカーは全てつぶれてしまったそうだ。サウンドシティーは当時イギリスで一番のお店だったらしく、フェンダーの代理店をやったりアコースティック(ベースアンプで有名)の代理店をやったりして、ものすごい量の在庫と販売をしていたそうだ。なので、当時ピートはものすごい量の修理に追われていたそうだ。その頃、VOXのジェニングスの話とダラスの話をしてくれた。VOXからジェニングスが離れて、VOX MUSIC COMPANEYという会社を設立したあと、VOX社はピートに全てのVOXアンプの回路図のコピーをくれたそうだ。そういえばイギリスではお金を出せば、サービスマニュアルが買えるそうだ。ピートもローランドの回路図等は必要なとき購入するんだよと言っていた。回路図は絶対に必要だと言っていた。なんでも****はバイパスしたときに、f特がフラットでないので、修正するのに随分時間がかかったといっていた。

ピートのお薦めは、マーシャルでもなんでも、パワーのあるヘッドやパワーアンプを使用し、それを周波数特性がフラットになるように必要であれば改造し、それに対してエフェクターやプリアンプで色付けするという方法だ。マーシャルを歪ませて使うという方法は、全く考えていない。そこで歪ませてしまうと、その音だけしか得られないからというのが、ピートの考え方だ。歪みは気に入ったエフェクターを使って作るほうが、バリエーションを得られてよい結果を得ることができるというのが、ピートの考え方のようだ。

今日は、一ヶ月くらいどこかに行ってしまって、配達されなかったというピートが使用しているトランスが届いた。ちゃんとDC抵抗値を測定して正しいものかどうか確認していた。ピートは、必ず届いたものは確認しているそうだ。特に電気製品関係は、すぐに試して問題があれば送り返しているそうだ。それからトランス用のガンシン液もちゃんと持っていて、とくにVOXの古いトランスをガンシンして、鳴き止めしているとのこと。しかし、やっている内容が多岐にわたっていて、さらにそれぞれのパーツについて、深い知識を持っているので、いろんな対処方法がわかるんだろうなぁ。すごい。

今日もピートのバンド練習に誘ってもらった。今日は最後らしい。レスポールさんとも記念写真を撮った。すでにメンバーの人と4回会っているのでみんな挨拶をしてくれるようになった。みんな良いおじさんたちだなぁ。

家の前.jpg

家の前は牧場で、遠くに羊の群が見えます。

(つづく)
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