So-net無料ブログ作成

GIGS BOSON & IRON FOREST開発秘話(2) 設計姿勢とHTSサーキット [音楽]

GIGS BOSON & IRON FOREST開発秘話の第2回です。

今回は、どのようなアプローチで設計を進めたのか、また難しい課題に挑戦した結果生まれた「HTSサーキット」についてお話いたします。

私は今まで、エフェクターを設計する時、音を削る(引く)方向で音の調整を行っていました。音を太くしていくほど音のスピード感が少し弱くなり、コードを鳴らした際、各弦の響きを感じにくくなります。そのため音を出来るだけ太くなるように原型を設計した後、少しづつ音を細くしていく作業を行っていました。これが音を削る(引く)という作業となります。また機能も考えられるだけ最初から盛り込み、最終的に必要が無さそうな機能を削って行くという作業を行っていました。
今回は正反対に、物足りないと思ったら音をどんどん足していく方向で進めました。機能も最初はシンプルに、後で必要と思われる機能を追加していく方向で設計を進めて行きました。

設計する際、いつも行っている事なのですが、バンドのアンサンブルの中で、どの位置にこのエフェクターサウンドを持って行きたいかが、頭の中に音として明確に鳴っているため、その音と設計中のエフェクターの音を一致させる作業を行いました。

また、今までフリーザトーンでは限られた方だけに少ロットでカスタムエフェクターを製作してきました。それでは限界が有り、充分にお客様からの要望に応える事が出来たかというと、そうではありません。少しでも多くの方に喜んでいただけるように、音質・品質を下げずにどこまでコストパフォーマンスを上げるかと言う事にも挑戦した製品です。惜しみなく、フリーザトーンの持つノウハウをつぎ込みました。

そしてGIGS BOSONとIRON FORESTを発表するために、どうしても乗り越えたい壁がありました。私が何年も気になって解決したいと思っていた問題点は、エフェクトをONした際とOFFした際の音像の位置、音の質感の違和感を無くす事でした。その答えが、これからお話する「HTSサーキット」です。

HTSとは、「Holistic tonal solution」の略です。総合的に音質を解決(改善)していくという意味です。HTSサーキットは、ペダルエフェクターに全く新しい概念をもたらしたと考えています。

このHTSサーキットは、主に信号の入力部から出力部まで、エフェクターのインターフェイスとなる部分を担います。True-Bypass回路や、一般的に使用されているバッファー回路と電子スイッチのコンビネーション回路が持つ欠点を解決しただけなく、前後に接続される機器との相関性、更にはHTSサーキットに取り込まれているエフェクト回路の動作をも総合的にマネージメントします。

ペダルエフェクターの組み合わせによる相性は、取り扱う信号レベルだけでなく、入出力インピーダンスによる信号の特性に影響されます。True-Bypassを使用したエフェクターを組み合わせて行くと、使用するコンビネーションによって信号の特性がエフェクターを切り替える度に変わってしまいます。この信号の特性の変化が、音質、音像や音の位置に大きく関わります。エフェクターをONにした時とOFFにした時の、根本的な質感の違い、異質な部分を感じた事があるのではないでしょうか。それが、エフェクターに隠された大きな問題点です。

HTSサーキットは、入力回路、ノイズレス•エフェクトON/OFF回路、出力ドライバー回路から構成されます。

入力回路は、入力される信号源の状態に応じて適正に信号を受け取り、不必要な帯域のノイズを除去し、ピュアなギター信号をエフェクト回路に送り出します。GIGS BOSONIRON FORESTのS/Nが非常に良いのも、このHTS入力回路の効果です。このHTS入力回路は、ARC-3(Audio Routing Controller) にも使用されます。

エフェクト処理された信号は、ノイズレス•エフェクトON/OFF回路に送られます。この回路は、FET等のスイッチング素子を使用していないため、電子スイッチ回路が持つ独特の歪感や音の鈍さがなく、ギターのサウンドをより生き生きと伝える事ができます。

ノイズレス•エフェクトON/OFF回路で選択されたエフェクト音、もしくはバイパス音は、出力ドライバー回路に送られ、最終的に次の機器へと送られます。エフェクトのON/OFF状態に関わらず、信号の出力インピーダンスは一定で、常時安定した信号を送り出します。また、エフェクトOFF時のHTSサーキットは、ギター本体の持つサウンドを自然に忠実に出力します。

HTSサーキットによりマネージメントされたエフェクト音とバイパス音は常に同じ質感を保つ事ができます。長年の悩みであった問題点を解決・改善できたと思います。

次回は、それぞれのモデルについてお話しいたします。
nice!(0)  コメント(2) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 2

brian may ga suki

このような機材が増えていくと、きっとVitalizerとも違う概念で音作りが出来るんでしょうね(´-`).。oO(
by brian may ga suki (2012-10-18 10:00) 

林 幸宏

brian may ga suki さんへ
はじめまして。
そうですね、今まではインプット部に音作りの焦点が当てられていましたが、やはりそれだけでは不十分だと言う事が、様々な経験から分かってきました。この開発を機に、どんどん進化すると思いますw
by 林 幸宏 (2012-10-19 02:01) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。